ジャンル 芸術の世界
中野校
印象派、再発見―制度・美術市場・コレクションから読み解く
井口 俊(東京外国語大学講師)
| 曜日 | 火曜日 |
|---|---|
| 時間 | 15:05~16:35 |
| 日程 |
全8回
・09月29日 ~
12月01日 (日程詳細) 09/29, 10/06, 10/13, 10/20, 10/27, 11/10, 11/17, 12/01 |
| コード | 330425 |
| 定員 | 24名 |
| 単位数 | 1 |
| 会員価格 | 受講料 ¥ 23,760 |
| ビジター価格 | 受講料 ¥ 27,324 |
目標
・「印象派」とはどういったグループ、そして芸術運動であったのか、同時代の文脈を踏まえ理解する。
・19世紀フランスの美術界の制度について学ぶ。
・印象派の活動を支えた友人たちや画商の働きを知る。
講義概要
1874年にパリで開催されたグループ展に参加した画家たちが「印象派」と呼ばれるようになってから、約150年が経ちました。当初は強い批判も受けましたが、現在では世界中で展覧会が開催され、数多くの観客を魅了しています。ただ、その人気ゆえに、「初心者向け」の芸術と捉えられることも少なくありません。しかし実際には、私たちがよく目にする作品は一部に過ぎず、その全体像を掴むのは決して容易ではないのです。また、画家たちの活動を取り巻く同時代の状況も意外に知られていないでしょう。本講座では、美術制度、美術市場、コレクションという3つの視点を軸に、皆さんと共に印象派芸術の魅力を再発見したいと思っています。
各回の講義予定
| 回 | 日程 | 講座内容 | |
|---|---|---|---|
| 1 | 09/29 | そもそも「印象派」とは? | 講義全体のイントロダクションとして、「印象派」とはどういったグループであり、芸術運動であったのかを、最新の研究成果を踏まえながら改めて確認します。彼らの社会的、経済的背景に注目することで、想像よりもずっと幅広く、多様な芸術家たちの姿が見えてくるでしょう。 |
| 2 | 10/06 | 印象派の修行時代 | 本講義で取り上げる画家たちの大半は、青年期にパリで美術教育を受けています。彼らの学びの場としてだけでなく、出会いの場ともなった画塾のあり方に加えて、友情の証となった肖像画、共同制作の実践などを論じます。 |
| 3 | 10/13 | 芸術家たちの登竜門としての「サロン」 | 印象派の画家たちが職業画家として歩み始めた1860年代のフランスにおいて、絵筆のみで生計を立てるには、国家が主催する展覧会である「サロン」での活躍が必要不可欠でした。同時代のサロンをめぐる状況を詳細に解説したうえで、彼らが「印象派」になる前に発表した作品群を見直します。 |
| 4 | 10/20 | 「印象派展」再訪(1) | のちに「印象派」と呼ばれる芸術家たちのグループ展である、いわゆる「印象派展」は、1874年から1886年までの間に全8回開催されました。ただし、その参加者は常に一定ではなく、モネやルノワールも途中で距離を置きますが、結果として新しい世代が加わる契機ともなりました。ここではまず、第1回から第4回までの印象派展の開催状況や展示作品を取り上げ、その歴史を詳しく学びます。 |
| 5 | 10/27 | 「印象派展」再訪(2) | 前回の続きとして、第5回から第8回までの印象派展を取り上げます。ポスト印象派に位置付けられるゴーガンから、新印象派のスーラやシニャック、象徴主義のルドンに至るまで、世代や流派も異なる画家たちが参加し、そのあり方が拡張していった印象派展の軌跡を歴史的に辿ります。 |
| 6 | 11/10 | 画商たちとの協働 | まだ認知度が低く、生活も苦しかった画家たちを経済的、精神的に支えながら、彼らの作品の評価が高まるように働きかけ、国際的な美術市場での流通にまで導いたのは画商たちでした。ここでは特にポール・デュラン=リュエルを中心に、印象派と画商たちとの協力関係について検討します。 |
| 7 | 11/17 | 印象派のコレクターたち | 印象派の画家たちの活動を支えたのは画商だけではなく、その作品を実際に購入した友人や愛好家たちの存在も見逃すことはできません。印象派展の参加者の一人でもあった画家カイユボットをはじめとする、同時代のコレクターたちに光を当て、彼らの収集した作品が現在の印象派のイメージ形成にいかに貢献したかを考えます。 |
| 8 | 12/01 | 日本における印象派受容 | 日本国内の印象派コレクションは、世界的に見ても非常に優れたものです。その礎を築いた松方幸次郎(国立西洋美術館)や大原孫三郎(大原美術館)、石橋正二郎(アーティゾン美術館)らの収集活動を辿りながら、日本における印象派受容の歴史と特徴について考察し、講義全体を締めくくります。 |
ご受講に際して(持物、注意事項)
◆スクリーンに作品図版などを投影し、講義を行います。その際、教室内が暗くなりますので、必要に応じて手元用のライトなどをご用意ください。
◆休講が発生した場合の補講日は、12月8日(火)を予定しております。
講師紹介
- 井口 俊
- 東京外国語大学講師
- 東京都生まれ。東京大学大学院総合文化研究科博士課程修了。2021年に博士(学術、東京大学)を取得。専門分野は、西洋近代美術史、特に画家マネを中心とした19世紀フランス美術。東京外国語大学などで西洋美術史、フランス語を教えるほか、展覧会図録の翻訳(「オルセー美術館所蔵 印象派―室内をめぐる物語」展、国立西洋美術館、2025年、など)にも多数関わる。主な論文として、『フランス第二帝政期の前衛絵画受容史―美術批評とサロン戯画に見るエドゥアール・マネとその周辺画家たち』(東京大学大学院総合文化研究科、博士論文、2021年)、共訳書として、アントナン・プルースト『エドゥアール・マネの思い出』(三浦篤監修、泉美知子、井口俊訳、中央公論美術出版、2024年)がある。




