ジャンル 現代社会と科学

中野校

習近平の闘い 中国を正しく「知る」という大難

  • 秋講座

富坂 聰(拓殖大学教授)

曜日 木曜日
時間 15:05~16:35
日程 全10回 ・09月24日 ~ 12月03日
(日程詳細)
09/24, 10/01, 10/08, 10/15, 10/22, 10/29, 11/12, 11/19, 11/26, 12/03
コード 330707
定員 36名
単位数 2
会員価格 受講料 ¥ 29,700
ビジター価格 受講料 ¥ 34,155

目標

・現在まで自分が持っていた中国理解が正しいか否かを判断する
・新しい目でこの15年の中国の変化と発展と課題を理解する
・習近平政権が、発足から現在までの間にどんな困難に直面し、どう解決してきたのかを学習する
・米国との激しい対立の根源を理解し中国の目指す世界戦略を理解する
・日本にとって最大の外交的課題である中国との付き合い方に示唆を与える

講義概要

習近平政権が発足してから10年の間にGDPと国民所得は倍増した。同時に、その同じ期間に中国社会は深刻だった環境汚染の問題に対応し、きれいな空気ときれいな水を手に入れた。もし西側先進国のどこかの指導者が同じことをやり遂げれば、メディアから絶賛されていただろう。しかし、習近平の西側メディアにおける評価は決して高くない。それどころか経済はボロボロで若者が仕事にあぶれ、言論の自由もなく、対外的には「戦争を発動しかねない危ない国」とのレッテルを張られてしまっている。この大きなギャップが生じたのはなぜなのか。そのため本講座では、メディアの短絡的な報道とは違う中国の真実を学習してゆく。

各回の講義予定

日程 講座内容
1 09/24 ライバル・薄熙来との闘い 正確には習近平の闘いというよりは、胡錦涛の後継者となった習近平を含む「党中央VS薄熙来」という対立の構図だ。この戦いを通して習近平政権誕生前に中国がどんな問題を抱えていて、苦しんでいたのかを学ぶ。
2 10/01 腐敗との闘い① 党内の整頓 習近平政権が発足する前の中国では、「賄賂は社会の潤滑油」という言葉があふれているほど汚職が蔓延していた。官僚たちは濡れ手で粟の賄賂をむさぼり、一方では出稼ぎ労働者を筆頭に格差に苦しむ貧困層の怒りが社会に蓄積されていた。共産党に対する信頼も大きく揺らいでいたと考えられ、当時の胡錦濤国家主席、温家宝総理も強い危機感を口にしたほどだった。そうした中、非常に短期間に党の規律を立て直したのが習近平である。その闘いを具体的な事例とともに学ぶ。
3 10/08 腐敗との闘い② 国有企業と軍との闘い 国有企業は資本的にも党が支配する企業だが、その実態は面従腹背で、さまざまな政治勢力との癒着が深刻で、それまでの多くの政権は「国有企業改革」の必要性を唱えながら、実現させることはできなかった。同じように軍事改革も手を出せない聖域となってしまっていた。それに対し習近平はやはり非常に短期間にこれらの問題に対応してしまった。なぜ、そんなことができたのかを丁寧に解説する。
4 10/15 環境破壊との闘い 習近平政権発足前の中国は、とにかく「環境保護より発展」という価値観が社会に定着していた。一円でもコストを下げるために違法な薬品を使う社会が、いかにしてきれいな空気を手に入れ、河川や湖、海洋の水質を改善することができたのか。同時に生態保護も実現できたのか。その取り組みを詳細に見て行く。
5 10/22 コロナとの闘い 2020年に中国・武漢で感染の爆発が始まった新型コロナウイルス感染症(コロナ)。このパンデミックによりグローバル経済の脆弱性が露呈し、世界のサプライチェーンにも深刻なダメージを与えた。習近平政権がこの未知のウイルスといかに闘い、克服していったのかを、残された課題とともに振り返ってゆく。
6 10/29 台湾独立との闘い アメリカにトランプ政権が誕生し、中国はアメリカとの関係で大きな変数を抱えることになった。その変数が従来からの危機を加速させると心配されたのが、台湾の「独立勢力」の動きである。民進党政権は、「92コンセンサス」という中台間の安全を守るカードレールを捨て去り、中国側を苛立たせ、加えてトランプ政権が対中強硬の姿勢を鮮明としたことに勇気づけられて独立の勢いを加速させた。この逆風に習近平政権がどう向き合ったのかを検証する。
7 11/12 香港デモとの闘い 2019年の香港の民主化デモは、トランプ政権が中国との貿易戦争を仕掛ける中で激化した。日本では、言論の自由を求めた学生・市民を、中国が強硬な手段で排除したという、極めて単純化されたストーリーの中で解説し、中国を叩いたが、実態は「台湾独立勢力と米英の情報機関VS中国」という闘いの側面は無視できない。西側メディアのナラティブを多面的に見直す。
8 11/19 トランプ1・0との闘い 習近平政権に対して関税を振りかざして貿易戦争を挑んだトランプ政権だったが、習近平国家主席を個人的に「尊敬している」と言い続けてきたトランプ大統領は、コロナ禍の中で突如、凄まじい反中国に舵を切った。その背景に何があったのか。米中関係が決定的に悪化した、そのターニングポイントの真相に迫る。
9 11/26 バイデン政権との闘い トランプ政権の反中政策を概ね引き継いだバイデン政権は、その直後に起きたロシア・ウクライナ戦争によって、中国をロシア陣営に属する危険な存在として位置付けるキャンペーンを行い、陣営対立を鮮明にした。貿易戦争ではさらに先端技術の対中輸出規制を追加して強化した。さらに対台湾問題では、バイデン大統領自らが台湾を「守る」と明言したことで中国が強い危機感を抱くことになった。だが、こうした問題も、輸出規制が不発に終わるなど、中国との対立に限界が露呈し、政権の末期には対中融和に舵を切った。その流れを学ぶ。
10 12/03 トランプ2・0との闘い 大統領選挙を勝利したトランプ氏は、政権発足前から関税を武器としてフル活用することを明言していた。そして就任直後から相互関税を発動した。ただその関税は対中国だけでなく同盟・友好国もターゲットとなった。さらにトランプ大統領はカナダやグリーンランドを飲み込むという野心も示した。世界が戸惑う中、トランプ政権の対中外交は、関税が不発に終わった直後から融和に向けて動きだす。両者の間にどんな闘いがあり、その背後でどんな駆け引きがあったのか。今後の展開も含めて解説してゆく。

講師紹介

富坂 聰
拓殖大学教授
愛知県生まれ。16歳で単身台湾に渡った後、大陸へ。北京大学在学中に共同通信社でアルバイトとして学生デモの報道に携わる。中退して帰国後は週刊誌記者として様々な社会問題にかかわる。2003年に独立。2014年から現職。著書は1994年の『龍の伝人たち』から現在まで30冊を超える。近著は「おそるべき『中国一強』時代」。
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