ジャンル 人間の探求

中野校

ケアの贈与論

  • 夏講座

岩野 卓司(明治大学教授)

曜日 金曜日
時間 10:40~12:10
日程 全3回 ・07月31日 ~ 09月04日
(日程詳細)
07/31, 08/28, 09/04
コード 320501
定員 24名
単位数 1
会員価格 受講料 ¥ 8,910
ビジター価格 受講料 ¥ 10,246

目標

・ケアと贈与の関係についての理解を深める。

講義概要

現代のグローバル資本主義は、経済の自由や雇用の自由などを主張する新自由主義とリンクしている。ここでいう自由な人間は、理性的な判断のもとで振舞うことのできる健常者がモデルになっている。しかもこの自由人は、競争に勝つことが求められる人間像を前提にしている。その結果、障がい者や高齢者のような人間はこのモデルから暗黙の裡に排除されているのだ。新自由主義のもたらすこういった排除に対して、ケアの発想は人間関係を根本から考え直す手がかりを与えてくれる。そこには、一人で生きていけない人たちに寄り添うという発想があるからである。講義では、ケアによる人間関係を贈与やサービスとのかかわりから考察していく。

各回の講義予定

日程 講座内容
1 07/31 ケアとは何か? ケアとはどういうものか。それは一人で生きていけない者たちとのコミュニケーションに他ならない。ケアについての定義を検討したあと、家族によるケアや社会保障を例を取りながら、ケアと贈与やサービスとはどういう関係があるかを考えていく。
2 08/28 贈与の秘密 文筆家の平川克美は『俺に似た人』のなかで、父の介護について記している。彼は1年半にわたり父を介護をしたが、彼の作る手料理は特に父を喜ばせた。そのとき、彼はどうして自分は介護をするのかを問うのだが、父を喜ばせることに贈与やサービスの本質を見ようとしている。ここでは、私たちはなぜケアをするのかと、なぜ贈与をするのかとのかかわりを、考えていく。
3 09/04 泥棒幻想 介護施設で高齢者が介護者に対してたまに「お前は私の財産を狙っている」という暴言を吐いたりする。しかも、一生懸命親切にお世話をしている介護者ほど、そういう目に合う。それはどうしてなのか。講義では、モースの贈与交換の考え方を参考にしながら、考えていく。

ご受講に際して(持物、注意事項)

◆参考図書:岩野卓司著『贈与論―資本主義を突き抜けるための哲学 』(青土社)、岩野卓司著『贈与をめぐる冒険 新しい社会をつくるには』(ヘウレーカ)、岩野卓司著『返さない借り つながる贈与』(朝日新聞出版)、マルセル・モース著『贈与論』森山工訳(岩波文庫)、平川克美著『俺に似た人』(医学書院)、平川克美著『21世紀の楕円幻想論』(ミシマ社)、三好春樹・芹沢俊介著『老人介護とエロス』(雲母書房)、三好春樹著『関係障害論』(雲母書房)、深田耕一郎著『福祉と贈与』(生活書院)

講師紹介

岩野 卓司
明治大学教授
博士(哲学) 哲学、宗教、文学、人類学などの領域を横断的に探究し続けている。著作に『ジョルジュ・バタイユ』(水声社)『贈与論―資本主義を突き抜けるための哲学』(青土社)『贈与をめぐる冒険 新しい社会をつくるには』(ヘウレーカ)『返さない借り つながる贈与 資本主義を克服する、新しい共同性』(朝日新聞出版)など、編著に『共にあることの哲学』『共にあることの哲学と現実』(以上、書肆心水)、『はじまりのバタイユ』『野生の教養』『野生の教養II』(以上共編著、法政大学出版局)など、訳書にジャック・デリダ『そのたびごとにただ一つ、世界の終焉I・II』(岩波書店)、『バタイユ書簡集』(水声社)(すべて共訳)などがある。

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