ジャンル 人間の探求

早稲田校

教育を生物学的にとらえなおす 「生まれつき」と「努力」と「教育」の関係

  • 夏講座

安藤 寿康(慶應義塾大学名誉教授)

曜日 火曜日
時間 10:40~12:10
日程 全6回 ・06月30日 ~ 08月18日
(日程詳細)
06/30, 07/07, 07/14, 07/21, 07/28, 08/18
コード 120586
定員 30名
単位数 1
会員価格 受講料 ¥ 17,820
ビジター価格 受講料 ¥ 20,493

目標

・行動遺伝学の理論と研究法(双生児法とGWAS)の基本を理解する
・能力への遺伝と環境の影響について理解する
・学習と教育の生物学的基盤を理解する

講義概要

能力の獲得はもっぱら学校や家庭の学習環境と本人の努力によるとみなされ、そこに遺伝の影響があるという認識は、差別を正当化する優生思想だとしてタブー視されてきました。しかし行動遺伝学は、あらゆる心の働きの個人差に遺伝の影響があることを、双生児法による頑健なエビデンスで示し続け、最近は分子生物学の進展によって、DNAの塩基配列からでも能力(学歴)をある程度説明できるようになってきました。いまや遺伝の影響を無視して教育を論ずることは、知的に不誠実といわざるを得ません。本講座では、学習と教育の成り立ちを生物学的基盤から見直すための科学的知見を紹介し、自己責任論に立つ能力主義や学歴主義への再考を促します。

各回の講義予定

日程 講座内容
1 06/30 教育を生物学的にとらえなおすとは もっぱら社会的、文化的に成り立つものとみなされる教育という営みに、進化的、遺伝的、脳科学的な基盤があるという本講座の概略を理解してもらう。
2 07/07 双生児法と行動遺伝学の基礎 遺伝子を100%共有する一卵性双生児の類似性を二卵性と比較することで、行動や能力を含むあらゆる形質への遺伝の影響の存在を認識してもらう。特に量的遺伝学に基づく双生児法によって、さまざまな心理的・行動的形質の個人差が遺伝・共有環境・非共有環境からそれぞれどの程度説明できるかを推定する基本的な方法論を紹介する。
3 07/14 行動遺伝学から見た能力観 能力への遺伝の影響の存在を認識したうえで、学習環境と意図的な努力が能力の獲得とどのように関連するのかを生物学的に考える。
4 07/21 教育の進化的基盤 教育がヒトにとっての生存戦略であることを、進化的な視点に立ち、動物の学習と比較しながら考える。
5 07/28 教育行動の脳神経学的基盤 脳の機能的ネットワークに関する知見から、教育には公的・形式的側面と、私的・実質的側面があることを説く。また教育による学習をしている時の脳機能について考察する。
6 08/18 新しい遺伝観と教育観 予測の臓器としての脳活動の原理をふまえ、新しい遺伝観と教育観を提案する。

ご受講に際して(持物、注意事項)

◆休講が発生した場合の補講日は8月18日(火)を予定しています。
◆参考図書として以下を読んでいただくと理解がより深まります。購入は任意です。
・『能力はどのように遺伝するのか-「生まれつき」と「努力」のあいだ』安藤寿康著(講談社ブルーバックス、2023年)
・『教育は遺伝に勝てるか』安藤寿康著(朝日新書、2023年)
・『教育脳』安藤寿康著 (大和書房、2026年)
・『こころは遺伝する: DNAはいかに〈わたし〉を形づくるか』ロバート・プロミン著・田中文訳(河出書房新社、2026年)

備考

8月4日は休講となります。補講は8月18日に行います。

講師紹介

安藤 寿康
慶應義塾大学名誉教授
1958年東京都生まれ。慶應義塾大学文学部教授を経て現在同大学名誉教授。教育学博士。専門は行動遺伝学、教育心理学、進化教育学。20年以上、延べ1万組を越す双生児調査により、さまざまな心理学的形質に及ぼす遺伝と環境の影響を研究、また教育の進化的起源の研究も統合し、「進化教育学」の構築を目指している。
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