ジャンル 人間の探求

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脳の成長と老化と故障 脳はどのように変化するのか?

  • 春講座

櫻井 芳雄(京都大学名誉教授)

曜日 金曜日
時間 13:00~14:30
日程 全8回 ・04月24日 ~ 06月19日
(日程詳細)
04/24, 05/08, 05/15, 05/22, 05/29, 06/05, 06/12, 06/19
コード 710535
定員 30名
単位数 1
会員価格 受講料 ¥ 23,760
ビジター価格 受講料 ¥ 27,324

目標

・乳幼児期-思春期-成人期-高齢期における脳の変化を理解する
・成長から老化にいたる過程で生じる脳の障害や精神疾患を理解する
・迷信を正し故障と回復の実態を知ることで脳の真の特性を理解する

講義概要

本講義は、まず、乳幼児期-思春期-成人期-高齢期それぞれにおける脳と心の変化について、環境や経験の影響も含め、最新の脳科学的・心理学的知見に基づきわかりやすく解説します。また、それらの時期に現れやすい脳の故障についても、幼児期に顕在化する自閉症、思春期に発症しやすい統合失調症と強迫性障害、成人期に増えるうつ病、高齢期に生じる認知症(アルツハイマー病)などを取り上げ、最新の研究成果を踏まえ解説します。さらに、脳に関し広まっている様々な迷信を紹介し、それらが間違っている理由を具体的に説明します。最後に、その故障と回復から見えてくる脳の特性に焦点を当て、脳が単なる精密機械ではないことを解説します。

各回の講義予定

日程 講座内容
1 04/24 脳の形成と成長 ー 誕生から思春期まで 脳の形態は出生時にほぼ完成しますが、その働きを担う神経回路はその後も変化し続けます。そして思春期にかけて次第に整備され、独特の性質を持つ神経回路が生じます。第1回では、出生後に見られる神経回路の発達、乳幼児期における環境の影響、能力毎に異なる感受性期、成長期にみられる脳の回復力、思春期の行動特性と神経回路の整備、思春期の神経回路の特性と危うさ、思春期と薬物依存および拒食症、などについて解説します。
2 05/08 脳の成熟と老化 ー ただ衰えるだけなのか? 成人期になると脳は成熟し安定期に入ると考えられがちですが、安定は長続きせず高齢期に向かう変化が次第に始まります。しかし、老化していく脳にも優れた能力が備わっていること、またその能力を向上させることも可能であることがわかってきました。第2回では、成熟した脳の実態、老化していく脳と心の特性、老化に伴う脳の萎縮と能力の対応、身体と脳の相互作用、運動による脳機能の維持と向上、などについて解説します。
3 05/15 経験と環境による変容 ー 脳は変わり続ける 脳は成長から老化にいたる各段階で特有の変化を示しますが、同時に、毎日の経験により変化をくり返しています。また人が置かれた環境も変化の要因であり、特殊な環境が脳に大きな変化をもたらすこともわかっています。第3回では、脳の働きと遺伝の関係、学習による脳の活動と構造の変化、記憶による脳の個性化、感覚の変化による神経回路の変化、トラウマが生む脳の変化、宇宙空間での脳の変化、などについて解説します。
4 05/22 生得的な故障 ー 自閉症とサヴァン症候群 脳には先天的な故障もあり、その代表が自閉症です。幼児期になってその特徴が現れますが、出生後の環境や育て方は関係ありません。また、重い自閉症は学習障害を伴いますが、それにも関わらず特別な才能を発揮することがあり、それをサヴァン症候群と呼びます。第4回では、自閉症の実態と原因、脳の構造と機能の変化、神経回路の特徴、サヴァン症候群と記憶力、カレンダー計算の謎、発達障害とは何か、などについて解説します。
5 05/29 思春期・青年期の故障 ー 統合失調症と強迫性障害 10代半ばから20代前半までの思春期や青年期は、精神疾患が発症しやすい不安定な時期です。なかでも統合失調症はその代表であり、長期にわたる治療を要することもあります。また強迫性障害も発症しやすく、周囲から理解されにくい難しい疾患です。第5回では、統合失調症の実態と原因、脳の構造と機能の変化、治療法の変遷、強迫性障害の実態と原因、脳の興奮状態、運動チックと共通するメカニズム、などについて解説します。
6 06/05 成人期・高齢期の故障 ー うつ病と認知症 成人期の脳も安定しているわけではなく、故障することもあり、その代表がうつ病です。また高齢になるにつれ発症する精神疾患が認知症であり、その代表がアルツハイマー病です。第6回では、うつ病の実態と原因、神経伝達物質の変化、悲しみの中枢、新たな治療法の模索、アルツハイマー病の実態と原因、記憶障害による妄想、脳の構造と機能の変化、生活上のリスク要因、治療薬の効果、真の原因の探求、などについて解説します。
7 06/12 さまざまな迷信 ー 嘘と誇張に惑わされないために 脳については多くの迷信が広まっています。それらは脳の故障の正しい予防と治療を妨げるだけでなく、偏見や差別を広め、怪しげなビジネスを誕生させ、多くの人達の生活に悪影響をもたらします。第7回では、能力は3歳までに決まる、男性と女性の脳は違っている、左脳と右脳の働きは違っている、脳の活動を測ると心が読める、いつか脳と脳をつないで直接コミュニケーションできるようになる、などが迷信であることを解説します。
8 06/19 脳の故障と回復からわかること ー 単なる精密機械ではない 脳の故障は様々な精神疾患や障害をもたらしますが、脳の構造的変化と疾患や障害の程度は必ずしも対応しません。また、脳が広範囲に壊れても機能が回復することがあります。つまり脳は単なる精密機械ではありません。第8回では、脳からアルツハイマー病を予測できるか、機能代償による脳損傷からの回復、人工内耳による脳の成長、感覚代行による脳機能の復活、脳とコンピュータ(AI)の本質的な違い、などについて解説します。

ご受講に際して(持物、注意事項)

◆休講が発生した場合の補講日は6月26日(金)を予定しております。
◆脳科学に関する予備知識がなくても受講可能です。文系・理系も関係ありません。
◆講義全体に関係する参考図書として『まちがえる脳』(櫻井芳雄著 岩波新書 2023年刊 ISBN:978-4004319726)を薦めます(必須ではありません)。
◆Zoomウェビナーを使用したオンライン講座です。
◆お申込みの前に必ず「オンラインでのご受講にあたって」をご確認ください。
◆お申込みいただいた有料講座の動画は、当該講座実施の翌々日(休業日を除く)17:30 までに公開します。インタ ーネット上で 1 週間のご視聴が可能です。視聴方法は、以下をご確認ください。
【会員・法人会員】授業動画の視聴方法(会員・法人会員向け)
【ビジター】授業動画の視聴方法(ビジター向け)

講師紹介

櫻井 芳雄
京都大学名誉教授
京都大学大学院文学研究科博士課程中退。医学博士。広島大学総合科学部助手、富山大学医学部助教授、Johns Hopkins大学客員助教授、生理学研究所客員助教授、京都大学霊長類研究所助教授、京都大学文学研究科教授、同志社大学脳科学研究科教授などを歴任。専門は行動神経科学と実験心理学。主な著書に『ニューロンから心をさぐる』(岩波書店)、『脳と機械をつないでみたら』(岩波書店)、『考える細胞ニューロン』(講談社)、『脳の情報表現を見る』(京都大学学術出版会)などがある。2023年出版の『まちがえる脳』(岩波新書)で第77回毎日出版文化賞(自然科学部門)を受賞。
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