ジャンル 日本の歴史と文化
早稲田校
平成の天皇と昭和の戦争―活動と情報発信から見た歴史観
井上 亮(ジャーナリスト、元日本経済新聞記者)
| 曜日 | 金曜日 |
|---|---|
| 時間 | 15:05~16:35 |
| 日程 |
全8回
・04月03日 ~
05月29日 (日程詳細) 04/03, 04/10, 04/17, 04/24, 05/08, 05/15, 05/22, 05/29 |
| コード | 110272 |
| 定員 | 30名 |
| 単位数 | 1 |
| 会員価格 | 受講料 ¥ 23,760 |
| ビジター価格 | 受講料 ¥ 27,324 |
目標
・皇室の視点からアジア太平洋戦争を見る
・平成の天皇の活動が国民の歴史認識に与えた影響を考える
・歴史に対する象徴天皇の役割を考察する
講義概要
平成の天皇の幼少期の戦争体験、戦後民主主義と戦争責任への向き合い方、即位後の戦没者慰霊など昭和の戦争に関わる活動、発言を俯瞰していくことで、象徴天皇が戦争の歴史に関わる意義を考える。その行為が日本人の歴史観、戦争観に与えた影響も考察する。
各回の講義予定
| 回 | 日程 | 講座内容 | |
|---|---|---|---|
| 1 | 04/03 | 戦時下、皇太子誕生の熱狂 | 明仁皇太子は満州事変2年後の1933(昭和8)年に生まれた。昭和の戦争は満州事変が起点とされており、戦時下の誕生だった。皇太子誕生は戦争へ向かう陰鬱な空気を一時的に吹き飛ばし、空前の熱狂を巻き起こした。戦争とともに育った皇太子の幼少期と時代の情勢を振り返る。 |
| 2 | 04/10 | 太平洋戦争と疎開生活 | 日本の敗色が濃厚となった1944(昭和19)年、明仁皇太子は沼津、日光に疎開する。皇太子の疎開生活と終戦直後の徹底抗戦派による皇太子奪取作戦の攻防から日本の戦争政策の崩壊を見る。 |
| 3 | 04/17 | 青年期の葛藤と「革命的」結婚 | 軍国主義から民主主義への急激な転換は青少年に大人への不信と既成概念への反抗を生んだ。「アプレ」と呼ばれる世代で、その一人である明仁皇太子は父・昭和天皇と戦争への懐疑で煩悶する。そして従来の皇室から見ると革命的といえる「平民」正田美智子との結婚を機に将来の象徴としてのあり方、戦争の歴史への考えを深めていった過程を見る。 |
| 4 | 04/24 | 沖縄と向き合う | 明仁皇太子が昭和の戦争を深く考えるにあたり、重要なポイントとなったのが沖縄だった。20万人の犠牲者を出した地上戦の悲劇を知ることがあの戦争全体を考察することにつながる。皇太子は沖縄戦を「知る」「忘れない」ことを国民に発信していく。 |
| 5 | 05/08 | 象徴天皇と戦争 | 即位した明仁天皇は記者会見などで戦争について積極的に言及していく。戦争責任論議を恐れて戦争への関りを避けてきた昭和と様変わりした。戦争の歴史に踏み込み、戦没者・遺族を慰撫することが象徴天皇の役割だと定め、行動で表したのが1995年の戦後50年慰霊の旅だった。 |
| 6 | 05/15 | 海外戦跡地での慰霊 | 戦後60年の2005年、慰霊の旅は海外のサイパンに及んだ。天皇の海外訪問としてはきわめて異例であった。バンザイクリフで拝礼する天皇と皇后のうしろ姿の映像は「象徴天皇、戦争、慰霊」について国民に強い印象を与えた。戦争の歴史を語り継ぐにあたって象徴天皇の果たす役割の大きさを示した。 |
| 7 | 05/22 | 戦争の記憶を喚起する | 2015年、戦後70年の年に天皇、皇后は南洋の激戦地パラオのペリリュ―島を慰霊訪問した。翌2016年にはフィリピンでの慰霊とともに残留日系人と面会、2017年にはベトナムで残留日本兵の家族と言葉を交わした。慰霊の旅は「忘れられた戦場」と「忘れられた犠牲者」について日本人の記憶を喚起するものになった。 |
| 8 | 05/29 | 「お言葉」に見る歴史観、戦争観 | 歴代の中で明仁天皇ほど記者会見、行事での「お言葉」などで国民に向け多くの情報発信をした天皇はいない。その発信のかなりの部分を「戦争」が占めていた。皇太子時代からの戦争に関する情報発信からその歴史観、戦争観を探り、国民に与えた影響を考察する。 |
講師紹介
- 井上 亮
- ジャーナリスト、元日本経済新聞記者
- いのうえ まこと。1961年生まれ。全国紙記者として歴史問題、皇室などを担当。元宮内庁長官の「富田メモ」報道で2006年度新聞協会賞を受賞。2022年度日本記者クラブ賞を受賞。著書に『比翼の象徴 明仁・美智子伝』(上中下、岩波書店)、『宮内庁長官』(講談社現代新書)、『天皇と葬儀』『焦土からの再生』(ともに新潮社)、『熱風の日本史』(日本経済新聞出版社)、『非常時とジャーナリズム』(日経プレミアシリーズ)、『天皇の戦争宝庫』『新左翼と天皇』(ともにちくま新書)、『象徴天皇の旅』(平凡社新書)、共著に『「東京裁判」を読む』『「BC級裁判」を読む』(ともに日経ビジネス人文庫)などがある。




