ジャンル 日本の歴史と文化

中野校

地図と戦争 「軍事極秘」図から東ドイツの秘密地形図まで

  • 春講座

今尾 恵介(地図研究家、一般財団法人日本地図センター客員研究員)

曜日 金曜日
時間 15:05~16:35
日程 全6回 ・04月03日 ~ 06月05日
(日程詳細)
04/03, 04/10, 05/08, 05/15, 05/29, 06/05
コード 310212
定員 36名
単位数 1
会員価格 受講料 ¥ 17,820
ビジター価格 受講料 ¥ 20,493

目標

・軍事の視点から地形図の成り立ちをたどる
・日本・東ドイツの事例をもとに地図が隠すものを知る
・地形図に表わされた戦争の影響を読む

講義概要

明治の黎明期に始まった日本の地形図-迅速測図は、西南戦争での苦い経験が直接の動機になりました。その後は日清戦争から太平洋戦争に至るまで、日本全国はもちろん外国領土に至る地図作成に携わったのが陸軍の陸地測量部です。軍事作戦を念頭に地図の書式が決められ、地域によっては地図そのものが秘匿され、擬装工作のウソさえ描かれるようになりました。敗戦後は地図も復興とともに歩み始めますが、冷戦の終結とともに平和が訪れるように思えたのもつかの間、その後も新たな戦争・紛争は跡を絶ちません。地図は時代の要請により駆使され、隠され、そして廃墟をも映し出してきました。「地図」という媒体を通して改めて歴史を振り返ります。

各回の講義予定

日程 講座内容
1 04/03 ルーツは「軍事」だった日本の地形図作成 明治10年(1877)に勃発した西南戦争。新政府軍は土地勘のない九州の戦場で大いに苦労しました。この教訓から陸軍卿の山縣有朋は地図整備の必要性を痛感、「2万分1迅速測図」を文字通り迅速に進めました。日本の地形図のルーツ。
2 04/10 一線を超えた擬装工作−戦時改描 地形図上には、軍事施設だけでなく、工場、発電所、ダムなど戦略的に重要な情報が満載です。明治期に始まった「要塞地帯の空白」だけでなく、日中戦争が始まる頃からは意図的な地図の擬装工作が始まりました。まさに公文書改竄です。
3 05/08 東ドイツの秘密地形図を解剖する 1990年に統一されるまで続いた旧東ドイツでは、ワルシャワ条約機構の構成国として詳細な情報を満載した「ソ連式」の秘密地形図(一般には非公開)が作製されていました。橋の材質、車線数、耐荷重量、樹種の表記など図式の詳細を探ります。
4 05/15 地図に描かれた軍用の鉄道とその結末 近代国家の建設を急ぐ日本は日清、日露からアジア太平洋戦争まで、戦争に明け暮れる国家となりました。軍事輸送路を記した基礎資料が地形図ですが、その中に示された鉄道に焦点を当て、戦後の「平和転換」までをたどります。
5 05/29 戦争の被害を物語る地図 太平洋戦争末期、本土空襲が都市部の「日常」となります。広島・長崎の原爆をはじめ、ほとんどの都市が空襲のために焦土と化しました。その生々しい焼け跡を記した地図−米軍作製の詳細地形図も併せて戦争の傷跡を地図でたどります。
6 06/05 今も続く国境・領土紛争を映し出す地図 21世紀の現在も世界各所で戦争が止むことはなく、各国の「軍事シフト」は止まりません。日本の防衛の「南西シフト」もその一例でしょう。国境・領土紛争は地図に如実に表われますが、それら境界領域を映し出す地図に焦点を当てます。

ご受講に際して(持物、注意事項)

◆休講が発生した場合の補講日は、6月12日(金)を予定しております。

講師紹介

今尾 恵介
地図研究家、一般財団法人日本地図センター客員研究員
1959年横浜市出身。明治大学文学部ドイツ文学専攻中退後、出版社勤務を経て地図・地名・鉄道の分野での執筆活動を開始。著書に『地名散歩』(角川新書)、『地図バカ』(中公新書ラクレ)、『地図帳の深読み』(帝国書院)、『駅名学入門』(中公新書ラクレ)、『地図で読む戦争の時代』(白水社)、など多数。『地図マニア空想の旅』(集英社)で斎藤茂太賞、『日本200年地図』(河出書房新社)で日本地図学会賞、日本地理学会より2019年度日本地理学会賞(社会貢献部門)をそれぞれ受賞。日本地図学会「地図と地名」専門部会主査、名古屋レールアーカイブス会員、深田研ジオ鉄普及委員会委員。

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