ジャンル 現代社会と科学

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縮減する日本社会と人口減少のミライ

  • 冬講座

原 俊彦(札幌市立大学名誉教授、日本医療大学特任教授)

曜日 火曜日
時間 15:30~17:00
日程 全6回 ・01月27日 ~ 03月03日
(日程詳細)
01/27, 02/03, 02/10, 02/17, 02/24, 03/03
コード 740760
定員 30名
単位数 1
会員価格 受講料 ¥ 17,820
ビジター価格 受講料 ¥ 20,493

目標

•客観的なデータをもとに人口減少を正しく理解する
•人口減少を理解する上で必要な知識を身につける
•人口減少の未来についての想像力を養う

講義概要

現在(2025/1/1)の日本の総人口は1億2千400万人余りで、前年から55万人減少、日本人に限れば1億2千万人余りで16年連続で減少、年間の減少数は初めて90万人を超え過去最大を更新しています。これは「少子高齢化」の必然的な帰結であり、この人口減少は今後も進んでいきます。人口減少は労働力の不足、経済規模の縮小、社会保障制度の財源不足など様々な問題を引き起こし、すでに社会インフラの維持や経済活動の継続が困難になる地域も出始めています。この講義では経験的・主観的議論を排し客観的データをもとに人口減少を正しく理解するとともに、縮減する日本社会への適切な政策的対応と、人口減少のミライを考えます。

各回の講義予定

日程 講座内容
1 01/27 人口減少対策のパラダイム転換 現在(2025/1/1)の日本の総人口は1億2千400万人余りで、前年から55万人減少、日本人に限れば1億2千万人余りで16年連続で減少、年間の減少数は初めて90万人を超え過去最大を更新しています。また2024年の出生数は68.6万人で初めて70万人を割り込み合計出生率も1.15と過去最低を更新しています。一方、死亡数は約160.5万人で、前年より約2.9万人増加、これも統計開始以来、過去最高を更新しています。日本では、すでに過去30年以上にわたり、様々な少子高齢・人口減少対策が実施されてきましたが、その成果は全く見えず不安と焦りのみが高まっています。しかし、その一方、少子高齢・人口減少は、もはや日本だけではなく世界の大半の国々が直面する喫緊の課題となっています。ここでは、現在までの人口減少対策の背景にある政策パラダイムを明確化するとともに、原理的に政策効果が期待できない理由を示し、これに代わる政策パラダイムや政策目標・政策課題を提示します。
2 02/03 縮減する日本社会の課題 「失われた30 年」は死語にならず、日本経済の低迷は世代を超えて続いています。コロナ・パンデミック、ウクライナ戦争なども発生し、トランプ2.0 の高関税政策が海外需要依存度の高い産業の先行きに暗い影を投げかけています。しかし日本経済の低迷はこれら外的要因によるものではなく、日本が世界に先駆けて少子高齢・人口減少に突入したことの帰結であり、この波はすでに地球全体に広がり始めています。生産・消費の中核をなす働き手の減少にいかに社会経済システムを対応させるか。「縮減する日本社会の課題」は今や世界共通の課題になりつつあります。ここでは、今後、急速に進行する生産年齢人口の減少と縮減を正しく認識するとともに、働き手の減少にともなう消費需要と労働需要の縮減、雇用形態・雇用条件・賃金格差の変化、結果として生じる有効需要の縮減にいかに対処すべきか、ケインズ政策の見直しと、有効需要創出のための所得再分配とその財源、グローバルな協力体制について検討します。
3 02/10 人口減少、北海道民の暮らしはどうなるか? 日本創成会議が「消滅可能性都市」リストを発表して10年。2024年4月に人口戦略会議が新たな『地方自治体「持続可能性」分析レポート』を発表。同レポートによれば北海道の179市町村の65%超が「消滅可能性自治体」(子どもを産む中心となる20〜39歳の女性が30年ほどの間に50%以上減る地域)とされ、とりわけ人口減が深刻で「自然減と社会減の両方の対策が極めて必要」な全国23自治体に当別町と歌志内市が入りました。ここでは北海道全体、石狩、空知、後志などの地域自治体を例に、人口戦略会議のレポートを人口学的にどう解釈すべきか、また今後30年のうちに進む地域の人口減少や年齢構造の変化を踏まえ、これからの地方自治や社会保障のあり方、超高齢化人口激減社会をいかにして乗り切るかについて考えます。
4 02/17 ドイツの出生動向―家族の多様化と復活の可能性 ドイツの少子化は日本より早く1960年代に始まり70年代中頃からは合計出生率が1.4をわずかに上下する範囲の低出生力が続いていました。しかし、2006年から2016年の1.59まで一時回復、ドイツの「小さな奇跡」と呼ばれた時期もありましたが、2017年から再び低下し始め、直近の2023年には再び1.35まで下落しています。ここでは日本と近似性の高いドイツの少子化と、日本とは異なり早くから進められてきたドイツの外国人の受け入れを例に、急速に進む少子化と移民受け入れの影響、また近年の急減の背景として指摘されている、コロナパンデミック、ウクライナ戦争、経済的不確実性、気候変動などの「複数の危機multiple Krisen」との関係を検討します。先の参議院選挙で焦点となった「外国人の受け入れ」問題について人口学的な視点から考えます。
5 02/24 家族のミライ・ミライの家族 ここでは三編の現代小説を取り上げ、そこに描かれた家族のミライについて考察します。『百年法』(山田宗樹 2012)では、レトロウイルスを利用した不老技術“HAVI”により不老不死が実現するが、寿命が社会的に管理される世界が描かれています。平均寿命が百歳に近づき世代交代の遅延やライフサイクルの延伸により家族の維持・形成は困難となり家族は消滅に向かいます。『LOVE&SYSTEMS』(中島たい子2012)では、結婚の国家管理が進み、国家がパートナー選択を行い家族形成を促す社会と、結婚制度は廃止され子育てが全面的に社会化する社会が対置されています。『消滅世界』(村田沙耶香2015)では男女の「セックス」から子どもが生まれるということはなくなり、生殖・出産・子育てのすべてが社会化した世界が描かれ、そこでは家族は集団化し、個人間の関係に基づく家族は消滅します。このような家族のミライにリアリティはあるのか、またミライの家族はどのようなものになるのかについて考えます。
6 03/03 暗黒森林理論と持続可能な人口の原理 ここでは劉 慈欣 (りゅうじきん、リュー・ツーシン)の中国SF《三体》3部作を取り上げ、この物語の中核をなす「暗黒森林理論」を紹介するとともに、その背景となった「フェルミのパラドックス」(なぜ宇宙人とのコンタクトが起きないのか?)や「ドレイクの方程式」(銀河系に存在しうる地球外文明の数を推定する算術的な式)について解説します。さらに自著「サピエンス減少」(2023)に書いた「持続可能な人口の原理」をベースに、暗黒森林理論に反証するとともに、超長期的・宇宙的視点から(日本人も含めた)人口の持続可能性と宇宙文明の在り方について考えます。

ご受講に際して(持物、注意事項)

◆休講が発生した場合の補講日は3月10日(火)を予定しております。
◆Zoom ウェビナーを使用したオンライン講座です。
◆お申込みの前に必ず
「オンラインでのご受講にあたって」
をご確認ください。
◆お申込みいただいた有料講座の動画は、当該講座実施の翌々日(休業日を除く)17:30までに公開します。インターネット上で1週間のご視聴が可能です。視聴方法は、以下をご確認ください。
【会員・法人会員】授業動画の視聴方法(会員・法人会員向け)
【ビジター】授業動画の視聴方法(ビジター向け)

講師紹介

原 俊彦
札幌市立大学名誉教授、日本医療大学特任教授
1953年東京生まれ。早稲田大学政経学部卒・フライブルグ大学社会学博士(Ph.D)、北海道東海大学・札幌市立大学教授を経て,札幌市立大学名誉教授。2024年より日本医療大学総合福祉学部特任教授。近著にAn Essay on the Principle of Sustainable Population,『世界』2021年8月号特集を機に岩波新書「サピエンス減少―縮減する未来の課題を探る」(2023)。共著『SDGsの人口学』(佐藤龍三郎・松浦司編)原書房(2023)など。

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