ジャンル 人間の探求
早稲田校
和辻哲郎【古寺巡礼】とニーチェ哲学
井戸田 総一郎(明治大学名誉教授、フライブルク大学ニーチェ研究センター学術委員)
| 曜日 | 土曜日 |
|---|---|
| 時間 | 10:40~12:10 |
| 日程 |
全8回
・01月10日 ~
02月28日 (日程詳細) 01/10, 01/17, 01/24, 01/31, 02/07, 02/14, 02/21, 02/28 |
| コード | 140522 |
| 定員 | 23名 |
| 単位数 | 1 |
| 会員価格 | 受講料 ¥ 23,760 |
| ビジター価格 | 受講料 ¥ 27,324 |
目標
・ニーチェと和辻哲郎の哲学を通して、「生きる」という問題を探求する。
講義概要
哲学者和辻哲郎の処女作は1913年に刊行された『ニーチェ研究』です。それからわずか6年後に『古寺巡礼』が生まれています。この講座では、『ニーチェ研究』を手掛かりにして、『古寺巡礼』に至る過程のなかに創造的なニーチェ受容の足跡を見出していきます。
各回の講義予定
| 回 | 日程 | 講座内容 | |
|---|---|---|---|
| 1 | 01/10 | 自伝を書く哲学者―ニーチェと和辻 | ニーチェの最晩年の書『この人を見よ』は自伝的な作品です。ニーチェはすでに若い頃から、幼少時代や少年時代についての記述を残しています。和辻も晩年1957年から雑誌に『自叙伝の試み』という連載を始めています。その記述も幼少期、少年期に多くを費やしています。両者のこのような共通点に注目しながら、ニーチェと和辻の生涯を紹介します。 |
| 2 | 01/17 | 文人哲学者としてのニーチェと和辻 | ニーチェは少年期から多くの詩を書くばかりでなく、その哲学の核心の部分で韻律のリズムを伴う詩文が重要な役割を演じています。和辻は、自由劇場などの新劇運動に触発されて一高・東大時代に創作劇や劇評を多く手掛けています。ニーチェと和辻には、詩文や演劇などの文芸に深く関わるという共通点があります。そこに注目しながら、両者の作品の系譜を紹介します。 |
| 3 | 01/24 | 文体の哲学者としてのニーチェと和辻(1) | 『ニーチェ研究』の再版刊行(1914年)に際して、和辻は「『この人を見よ』について」という論考を附録として付け加えています。この論考は、日本においてニーチェの文体にアポロ―チした最初の試みです。文体に関してニーチェ自身が述べている言説も紹介しながら、ニーチェの文体にたいする和辻の感動を再構成していきます。 |
| 4 | 01/31 | 文体の哲学者としてのニーチェと和辻(2) | 「日本語と哲学」という標題のもとで、和辻は日本語の特性と哲学分野の日本語表現との関連を問う興味深い領域を開拓しています。1910年頃の「新しい日本語」(標準日本語)の普及についての和辻の言説も紹介します。ニーチェの文体論からの影響も含めて、『古寺巡礼』の文体にアプローチするための複数の視点を獲得していきます。 |
| 5 | 02/07 | 現代と古代の共鳴―ニーチェの "actio in distans" (隔たりのなかの作用)と和辻の「重層性」 | ニーチェは西洋古典文献学を専門とする大学教授でした。古代仏教文化にたいする和辻の関心は、『ニーチェ研究』刊行から時を置かずに始まる一連の文化論に遡ることができます。さらに博士論文のテーマは『原始仏教の実践哲学』であり、和辻は古代文化に深く専門的に関わっています。ニーチェの「隔たりのなかの作用」と和辻の「重層性」という言葉に焦点を当て、古代を現代に共鳴させる両者の手法を比較検討します。 |
| 6 | 02/14 | 和辻の『偶像崇拝の心理』ー 信仰と芸術が未分化の状態を再現する文体 | 和辻『偶像再興』の最後の論考『偶像崇拝の心理』(1918年)は、『古寺巡礼』が雑誌『思潮』に連載されいる時期に書かれたと考えられます。渡来した仏像に上代人が感動した様子(想像上の様子)を表現するための様々な文体上の工夫をそこに見出すことができます。その工夫について考察を進めます。 |
| 7 | 02/21 | 和辻の『古寺巡礼』ー 天平の伎楽演奏のパーフォーマンスを再現する文体 | 『古寺巡礼』のなかから特に天平期の伎楽演奏に関する記述を取り上げます。和辻は『続記』(しょっき)と東大寺の『要録』を基にして、「できる限りの想像」を試みています。そこには劇評を通して練り上げられた、上演芸術を再現する和辻の文体技法を見ることができます。その技法は、想像上の象徴的な歌舞伎舞台の描写にも及んでいます。和辻の戦後の大作『歌舞伎と操り浄瑠璃』にも触れます。 |
| 8 | 02/28 | 文化を哲学する―ニーチェと和辻における文化理解 | 『日本文化について』(1917年)や『偶像再興』所収の論説『文化』(1918年)などを通して、文化とは何かという問いに向き合う和辻に接近します。文化を哲学するというテーマを、ニーチェの著作や遺稿のなかにも見出していきます。文化理解という問題域のなかでニーチェと和辻を比較考察します。 |
講師紹介
- 井戸田 総一郎
- 明治大学名誉教授、フライブルク大学ニーチェ研究センター学術委員
- 慶應義塾大学経済学部卒業。同大学大学院文学研究科博士課程満期退学。ドイツ・アーヘン工科大学文学部においてDr.phil.(哲学博士)の学位取得。慶應義塾大学経済学部教授、明治大学文学部教授としてドイツ語、ドイツ文学・思想に関する講義を担当した。ベルリンと東京の比較演劇史、森鷗外さらにゲーテ、ニーチェに関しての著書・論文を日独において多数発表している。




