ジャンル 現代社会と科学
中野校
内部告発の行方を検証―兵庫県と鹿児島県警のケーススタディ
奥山 俊宏(上智大学教授、ジャーナリスト)
曜日 | 月曜日 |
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時間 | 15:05~16:35 |
日程 |
全4回
・08月04日 ~
09月01日 (日程詳細) 08/04, 08/18, 08/25, 09/01 |
コード | 320704 |
定員 | 24名 |
単位数 | 1 |
会員価格 | 受講料 ¥ 11,880 |
ビジター価格 | 受講料 ¥ 13,662 |
目標
・兵庫県の幹部職員による内部告発とその行方を検証する
・鹿児島県警の元幹部による内部告発とその行方を検証する
・兵庫県知事選を契機に発生した偽情報、個人攻撃の拡散を検証する
・公益通報者保護法改正、公職選挙法改正など対策を検討する
講義概要
大組織で60歳まで勤め上げ、最高幹部へとのぼりつめた根っからの公務員が年度末の3月、自分の組織のトップの不正を明らかにする文書をジャーナリストに送る内部告発に踏み切ったものの、当のトップによってそれを把握されてしまい、規律に反したと決めつけられ、不利益に扱われ、自殺を図るところにまで追い詰められた、そんなできごとが昨年、兵庫県庁と鹿児島県警で相次いで発覚し、社会に衝撃を与えました。兵庫県では内部告発が契機となって知事が失職して知事選が行われ、そこでは、内部告発者に対する個人攻撃や真偽不明の情報が大規模に拡散されました。これらの事実関係を俯瞰的に振り返って検証し、対応策を議論したいと思います。
各回の講義予定
回 | 日程 | 講座内容 | |
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1 | 08/04 | 兵庫県幹部職員による内部告発とその行方 | 兵庫県西播磨県民局長による内部告発はどのように行われ、どのように扱われ、どのように波紋を広げたのかを振り返って俯瞰的に検証する。内部告発者保護の考え方がどのように生まれ、どのような規範が打ち立てられたのか、その歴史をたどり、公益通報者保護法などそれら規範に照らして、元西播磨県民局長や知事の対応にどのような問題点があったのかを探る。 |
2 | 08/18 | 鹿児島県警元幹部による内部告発とその行方 | 鹿児島県警元生活安全部長による内部告発はどのように行われ、どのように扱われ、どのように波紋を広げたのかを振り返って俯瞰的に検証する。同県警がニュースサイト「ハンター」の事務所を家宅捜索して内部告発を把握したのは、戦後日本で初めての重大事であり、報道機関の取材源秘匿など憲法上の価値と並べて問題点を探る。 |
3 | 08/25 | 兵庫県知事選に際して飛び交ったデマ、真偽不明情報、個人攻撃 | 兵庫県議会は、同県幹部職員の西播磨県民局長による内部告発への初動対応の不適切さを指摘して、斎藤元彦知事に対する不信任決議を全会一致で可決し、知事は失職した。これに伴って行われた知事選では、N国の立花孝志党首が立候補し、元西播磨県民局長に対する個人攻撃が大規模に行われ、斎藤知事の再選につながった。この経緯を検証する。 |
4 | 09/01 | 公益通報者保護法改正、公職選挙法改正など対策の検討 | 兵庫県や鹿児島県警で起きた出来事について、それをどのようにとらえるべきか、どのような対策を打ち立てるべきか、議論が続いている。その一つの解として、3月4日、政府は公益通報者保護法改正案を閣議決定し、衆議院は公職選挙法改正案を可決した。これら議論や対策を検証し、足りないものを探り、講義参加者と意見を交わす。 |
講師紹介
- 奥山 俊宏
- 上智大学教授、ジャーナリスト
- 1966年、岡山県生まれ。1989年、東京大学工学部卒、同大学新聞研究所修了、朝日新聞入社。水戸支局、福島支局、東京社会部、大阪社会部、特別報道部などで記者。2013年から朝日新聞編集委員。2018年、司馬遼太郎賞、日本記者クラブ賞を受賞。朝日新聞記者33年を経て2022年から上智大の文学部新聞学科で教え、ニュースサイト「Atta!」を編集。
著書に『内部告発のケーススタディから読み解く組織の現実』、『バブル経済事件の深層』、『秘密解除 ロッキード事件』など。