ジャンル 芸術の世界

早稲田校

前川國男の求めたモダニズム建築と弟子たちの仕事

  • 夏講座

松隈 洋(神奈川大学教授、京都工芸繊維大学名誉教授、京都芸術大学非常勤講師)

曜日 水曜日
時間 10:40~12:10
日程 全5回 ・07月02日 ~ 07月30日
(日程詳細)
07/02, 07/09, 07/16, 07/23, 07/30
コード 120470
定員 30名
単位数 1
会員価格 受講料 ¥ 14,850
ビジター価格 受講料 ¥ 17,077

目標

・身近な生活環境を形づくる建築への理解が深まる。
・現代の建築と都市の成り立ちの歴史が見えてくる。
・建築を通して社会の抱える問題点に気づくことができる。

講義概要

1920年代のヨーロッパでル・コルビュジエやヴァルター・グロピウスらによって創始されたモダニズム建築は、ル・コルビュジエに師事した最初の日本人である前川國男によって、どのようにいかされ、日本でどのような形で展開されていったのか。また、その前川に師事した丹下健三、大髙正人、鬼頭梓は、前川に何を学び、それぞれどのような建築を求めていったのか。そして、彼らが残したものは、現代の建築と都市の在り方を考えるうえで、どのような意味を持っているのか。この講義では、100年プロジェクトとでも呼べるモダニズム建築の歴史的な重要性について考えてみたい。

各回の講義予定

日程 講座内容
1 07/02 前川國男の戦前期の軌跡 ル・コルビュジエに師事し、アントニン・レーモンドの下で実務経験を積んで1935年に事務所を設立した前川國男の戦前期の歩みを概説する。二人から何を学び、どのような建築思想と設計方法論を追求していったのか、東京帝室博物館や在盤谷日本文化会館など、多くのコンペ案や、デビュー作の木村産業研究所や戦時下に建てられた自邸などの仕事を通して検証する。
2 07/09 前川國男の戦後の軌跡 敗戦後、前川國男は、戦前期に深められた建築思想と設計方法論の具体化に向けて、精力的な設計活動を展開する。木造組立住宅プレモス、紀伊國屋書店、神奈川県立図書館・音楽堂から、最晩年の熊本県立美術館へと至る歩みを概観しながら、前川が追い求めた近代建築とは何だったのか、を検証する。
3 07/16 丹下健三の記念碑的造形 前川國男に師事し、戦後日本の近代建築に大きな足跡を残した丹下健三が追い求めた記念碑的造形とはどのようなものだったのか、広島平和記念資料館、香川県庁舎、国立屋内総合競技場、東京カテドラルなどの代表作に結実する建築思想について検証する。
4 07/23 大髙正人のアーバンデザイン 前川國男に師事した戦後派所員の中核的な存在として、前川の戦後の代表的な仕事である神奈川県立図書館・音楽堂、晴海高層アパートや東京文化会館などを担当して独立した大髙正人は、前川の果しえなかったアーバンデザインの道筋を切り拓いていく。同時に、ル・コルビュジエら先駆者の方法を相対化して、屋根のある造形にも取り組んでいく。大髙の求めたものとは何だったのか、その歩みに沿って検証する。
5 07/30 鬼頭梓と戦後図書館のかたち 前川國男に師事し、神奈川県立図書館・音楽堂、世田谷区民会館・区庁舎、国立国会図書館などを担当して独立した鬼頭梓は、デビュー作の東京経済大学図書館をはじめ、日野市立中央図書館、山口県立図書館など、数多くの図書館を手がけ、戦後型の図書館建築のパイオニアとして活躍した。鬼頭が図書館に求めたのものとは何だったのか。「生活の根拠地」をキーワードに、その建築思想を読み解く。

ご受講に際して(持物、注意事項)

◆休講が発生した場合の補講日は8/6(水)を予定しています。
◆本講座は講師による同名または類似名講座の内容に、新たな知見を加え再編成しています。

講師紹介

松隈 洋
神奈川大学教授、京都工芸繊維大学名誉教授、京都芸術大学非常勤講師
ル・コルビュジエに師事した前川國男(1905〜86年)の最晩年に一所員として接し、設計実務に20年間携わった経験を元に、モダニズム建築の歴史と思想を教えています。主な著書に、『未完の建築 前川國男論・戦後編』、『建築の前夜 前川國男論』(2019年日本建築学会論文賞受賞)、『ル・コルビュジエから遠く離れて』、『坂倉準三とはだれか』、『建築家・坂倉準三「輝く都市」をめざして』、『モダニズム建築紀行』、『残すべき建築』、『近代建築を記憶する』、『ルイス・カーン』などがあり、前川國男、坂倉準三、村野藤吾、アントニン・レーモンド、白井晟一、丹下健三、浦辺鎮太郎、大髙正人、山本忠司、瀧光夫、鬼頭梓など、多くの建築展の企画に携わってきました。
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