ジャンル 日本の歴史と文化
早稲田校
テロと日本政治―満洲事変、5・15事件から2・26事件へ
小林 英夫(早稲田大学名誉教授)

曜日 | 火曜日 |
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時間 | 13:10~14:40 |
日程 |
全8回
・07月01日 ~
08月26日 (日程詳細) 07/01, 07/08, 07/15, 07/22, 07/29, 08/05, 08/19, 08/26 |
コード | 120261 |
定員 | 70名 |
単位数 | 1 |
会員価格 | 受講料 ¥ 23,760 |
ビジター価格 | 受講料 ¥ 27,324 |
目標
・1930年代の昭和の激動期の歴史を理解する。
・1920年代と1930年代の時代的相違の認識を深める。
・国内改革と対外侵攻の連関性を理解する。
講義概要
戦前の「昭和期」は激動のなかでその幕を開けたといわれる。昭和恐慌(1927年)、世界恐慌(1929年)、満洲事変(1931年)から5・15事件〜2・26事件までのテロ事件の連続など。本講座は、こうした激動の跡をたどりながら、主だった人物に焦点を当てて彼らを「現状破壊派」と「新体制構築派」に分けながらその活動の軌跡を検討する。
各回の講義予定
回 | 日程 | 講座内容 | |
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1 | 07/01 | 講義開始にあたって | 1930年代前半に対内的には5・15事件や血盟団事件などが、対外的には満州事変が勃発するが、そうした動きが出てくる原因や背景、そしてそうした動きをする人物を大きく2類型(「現状破壊派」と「新体制構築派」)に分けて検討する分析視角を解説する。 |
2 | 07/08 | 北一輝と「国体変革論」と2・26事件 | 北一輝の生涯と北の思想的到達点だった「国家改造計画」に触れ、その特徴を分析する。そして1920年代鳴かず飛ばずの状態だった北一輝が1930年代活動を開始する背景と盟友西田税との連関、カリスマ化する北の動きを追いながら2・26事件との関連を検討する。 |
3 | 07/15 | 石原莞爾・板垣征四郎と満洲事変 | 満洲事変の勃発要因を分析するとともに同事件を計画、実行した関東軍参謀の板垣征四郎と石原莞爾に焦点を当てて、彼らの思想と行動、特に石原の「世界最終戦論」「東亜聯盟論」の検討を試みる。 |
4 | 07/22 | 大川周明と「大アジア主義」思想 | 北一輝と並ぶ日本の右翼思想家の大川周明に焦点を当てて、彼の満鉄・東亜経済調査局での活動、北一輝との連関と対立、「3月事変」・満洲事変との関連そして太平洋戦争期の南方占領政策との絡みに関して検討を試みる。 |
5 | 07/29 | 橘孝三郎と愛郷塾と5・15事件 | 第一高等学校中退から農民への道を選択した橘孝三郎の悩みと大規模機械農業への挑戦と失敗。愛郷塾と青年教育活動。そして5・15事件への関与を検討する。 |
6 | 08/05 | 井上日昭と血盟団事件 | 井上日昭の生涯の検討を通じて、昭和恐慌のなかで渦巻く世情不安の「突破」を試みて、要人である三井・三菱財閥首脳暗殺へ進む過程を検討する。血盟団の結成と血盟団事件の経緯、井上日昭の限界を検討する。 |
7 | 08/19 | 権藤成郷と日本の農本主義思想 | 昭和期の政治運動の基盤に農本主義があるといわれる。ここでは権藤成郷を取り上げて、西欧化への批判と大化の改新を理想に掲げた彼の著作活動を検討する。 |
8 | 08/26 | まとめに代えてー岸信介・高碕達之助と統制官僚の軌跡ー | 岸信介と高碕達之助という2人の人物に焦点を当てる。そして、2人の戦中・戦後の姿をたどると同時に、戦後総理として高度成長を推進した岸と電源開発総裁、バンドン会議日本代表などとしてアジア外交を推進した高碕を併記してその違いを検討する。 |
講師紹介
- 小林 英夫
- 早稲田大学名誉教授
- 1943年東京生まれ。東京都立大学法経学部卒業後、同大学院社会科学研究科博士課程単位取得満期退学。博士(文学・東京都立大学)。専門分野は、日本近現代史・東アジア史・産業史。著作に『昭和を作った男 石原莞爾、北一輝、そして岸信介』(ビジネス社)など。