ジャンル 現代社会と科学
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ロシア情報保安機関の歴史と現在 ジェルジンスキーからプーチンへ、対ウクライナ・西側戦争、中露協力?
保坂 三四郎(国際防衛安全保障センター研究員)
曜日 | 月曜日 |
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時間 | 19:00~20:30 |
日程 |
全4回
・05月26日 ~
06月16日 (日程詳細) 05/26, 06/02, 06/09, 06/16 |
コード | 710771 |
定員 | 30名 |
単位数 | 1 |
会員価格 | 受講料 ¥ 11,880 |
ビジター価格 | 受講料 ¥ 13,662 |
目標
・ソ連・ロシア情報保安機関の歴史・思想的背景、制度、活動、手法を理解する。
・歴史と現在を横断して分析する視点を養う。
・発展を遂げるインテリジェンスの手段、それを分析する資料について知る。
講義概要
現代ロシアの対外政策・国内政治の理解に必須なロシア情報保安機関の歴史、思想、制度、手法を学ぶ。始祖「チェーカー」から国家保安委員会(KGB)、さらにプーチンのロシア連邦保安庁(FSB)へと引き継がれる伝統、国家・社会への浸透とは?ウクライナの西側接近を妨害する影響工作、ウクライナ全面侵攻を支援する工作、対西側工作(「イリーガル」諜報、破壊妨害工作)の実態についてリークされたメールや調査報道の資料をもとに解説する。近年、中露は政治・軍事・経済面で関係を強化しているが、インテリジェンスの協力は可能なのか。KGBアーカイブをもとに中ソ情報保安機関の対立の歴史を掘り下げ、現代の中露協力の可能性と制約を考える。
各回の講義予定
回 | 日程 | 講座内容 | |
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1 | 05/26 | ソ連情報保安機関の歴史:現代ロシアの源流 | ウラジーミル・プーチンを始めとするロシア国家指導層を生み出したソ連国家保安委員会(KGB)とはどのような組織なのか?情報保安機関の国家・社会への浸透とは?KGBの始祖チェーカー(反革命・サボタージュ取締全ロシア非常委員会)、大粛清の実行機関となった内務人民委員部、スターリン死後のKGB創設の歴史を概観する。共産党と情報機関の関係、エージェントの役割、最近のアーカイブ研究にも触れたい。 [深掘りしたい方向け文献]保坂三四郎『諜報国家ロシア: ソ連KGBからプーチンのFSB体制まで』東京:中央公論新社、2023年。 |
2 | 06/02 | ロシアの情報保安機関:改革の失敗と個人化したインテリジェンス | ソ連崩壊後、民主派の批判にもかかわらず、なぜKGBが連邦保安庁(FSB)として事実上の存続に成功したのか。情報機関に対する議会監視が骨抜きにされた経緯を含め、ソ連崩壊後のロシア情報保安機関の展開を見る。KGBからの継続性と変化(特にマフィアやオリガルヒとの癒着、個人化されたインテリジェンス)にも注目する。 [深掘りしたい方向け文献]保坂三四郎『諜報国家ロシア: ソ連KGBからプーチンのFSB体制まで』東京:中央公論新社、2023年;Hosaka, Sanshiro. “Putin’s Counterintelligence State: The FSB’s Penetration of State and Society and Its Implications for Post-24 February Russia.” Tallinn: International Centre for Defence and Security / Estonian Foreign Policy Institute, December 2022. https://icds.ee/en/putins-counterintelligence-state/ ; Knight, Amy. Spies without Cloaks: The KGB’s Successors. Princeton, NJ: Princeton Univ. Press, 1996. |
3 | 06/09 | ロシアの対ウクライナ・西側工作 | ロシア情報保安機関の具体的な工作(アクティブメジャーズ等)とはどのようなものか。ウクライナの西側接近を妨害する影響工作、ウクライナ全面侵攻を支援する工作、対西側工作(「イリーガル」諜報、破壊妨害工作)の実態についてリークされたメールや調査報道の資料をもとに解説する。 [深掘りしたい方向け文献]保坂三四郎『諜報国家ロシア: ソ連KGBからプーチンのFSB体制まで』東京:中央公論新社、2023年;Hosaka, Sanshiro. “Welcome to Surkov’s Theater: Russian Political Technology in the Donbas War.” Nationalities Papers 47, no. 5 (2019): 750–73. https://doi.org/10.1017/nps.2019.70 ;保坂三四郎「ウクライナ全面侵攻水面下の諜報・防諜戦 : ロシア・ウクライナそれぞれの失敗と教訓」『Cyber Sphere = サイバースフィア』: 一般社団法人先端技術安全保障研究所(GIEST)機関誌 5 (2022): 1–22 |
4 | 06/16 | 中露インテリジェンス協力の可能性と制約 | 2022年、ロシアと中国は「制限のない協力」を宣言し、政治・軍事・経済面で関係を強化している。しかし、もっとセンシティブなインテリジェンスの分野での中露協力は可能なのか。KGB文書に基づき、1969年の中露国境紛争以降の中ソ情報保安機関の対立の歴史を掘り下げた後、ソ連崩壊後の中露情報機関の限定的協力関係を概観する。また、2014年のクリミア違法併合後のロシアの対中依存と極東における中露の地政学的対立という文脈で情報機関の役割を考えてみる。 [深掘りしたい方向け文献]Hosaka, Sanshiro. “A Forbidden Zone of ‘No Limits’ Friendship: Possibilities and Constraints in Sino-Russia Intelligence Cooperation.” Tallinn: International Centre for Defence and Security, January 2024. https://icds.ee/en/a-forbidden-zone-of-no-limits-friendship-possibilities-and-constraints-in-sino-russia/; Hosaka, Sanshiro. “The Sino–Soviet Intelligence War: The KGB Counterintelligence Perspective.” International Journal of Intelligence and CounterIntelligence, 2024, 1–33. https://doi.org/10.1080/08850607.2024.2350423 |
ご受講に際して(持物、注意事項)
◆休講が発生した場合の補講は、6月23日(月)を予定しております。
◆講義内容は社会情勢により変更になる場合がございます。
◆Zoomウェビナーを使用したオンライン講座です。
◆お申込みの前に必ず「オンラインでのご受講にあたって」をご確認ください。
◆本講座の動画は、当該講座実施の翌々日(休業日を除く)17:30までに公開します。インターネット上で1週間のご視聴が可能です。視聴方法は、以下をご確認ください。
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講師紹介
- 保坂 三四郎
- 国際防衛安全保障センター研究員
- 2004年旧ソ連非核化協力技術事務局、18年在ウクライナ日本国大使館などの勤務を経て、21年より国際防衛安全保障センター(エストニア)研究員。ソ連・ロシアのインテリジェンス、偽情報を含む戦略ナラティブなどを研究している。17年ロシア・東欧学会研究奨励賞、22年ウクライナ研究会研究奨励賞受賞。23年、『諜報国家ロシア』が山本七平賞受賞。