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スキャンダルのイギリス史―コーヒーと紅茶と男と女
齊藤 貴子(早稲田大学・上智大学大学院講師)

曜日 | 水曜日 |
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時間 | 13:00~14:30 |
日程 |
全5回
・04月09日 ~
05月14日 (日程詳細) 04/09, 04/16, 04/23, 05/07, 05/14 |
コード | 710301 |
定員 | 30名 |
単位数 | 1 |
会員価格 | 受講料 ¥ 14,850 |
ビジター価格 | 受講料 ¥ 17,077 |
目標
・当時の世間を騒がせ、後世まで語り継がれてきた歴史的スキャンダル (事件、事故、情事etc.)をつうじてイギリスを知る。
・イギリス(イングランド、スコットランド、ウェールズ、北アイルランド)の歴史を芸術的観点から考察する。
・イギリスを例にスキャンダリズムのありようについても可能な限り理解と考察を深める。
講義概要
古の昔から21世紀の今日に至るまで、イギリスという国はスキャンダルに事欠きません。政治・経済の分野はいうに及ばず、宗教や芸術といった文化方面でも、歴史上のエポック・メイキングとなるような重大な不祥事がいくつも起こってきました。そしてまた、たとえ王室だろうと官邸だろうと、対象を常に同じまな板の上にのせ、実際に起こった出来事を正しく伝えることで、良くも悪くもスキャンダリズムを貫いてきたのがイギリスという国でもあります。本講座では、中世から現代までの各種歴史的なスキャンダルをつうじて、イギリスという国そのものへの理解と関心を深めていきます。今期は17世紀王政復古期のスキャンダルを取り上げます。
各回の講義予定
回 | 日程 | 講座内容 | |
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1 | 04/09 | 「最高の草葉」をもたらした?「王妃の中の王妃」 | 長い英王室史上、最初にして(おそらく)最後の父王の公開処刑にともなう王室断絶、そして11年の共和政時代を経て、1660年に悲願かなって王政復古を果たした国王チャールズ2世。青年時代をつうじて故国を離れた亡命生活を余儀なくされ、ようやく本来いるべき場所に戻り、16世紀に花開いた劇場文化の復活や、自身の華やかな女性関係等をもって「陽気な王様」と呼ばれた彼のもとに嫁いだのが、当時のヨーロッパ超大国ポルトガルの王女キャサリン・オブ・ブラガンザです。古株の愛妾たちが闊歩する伏魔殿のようなイングランド宮廷で、はじめて紅茶をふるまい評判になったという孤独な王妃の虚実ない交ぜの伝説を、17世紀イギリス文学(とくに詩)の世界に目配りすることで具体的にご紹介したいと思います。 |
2 | 04/16 | 「陽気な王様」のやむにやまれぬコーヒー禁止令 | あらゆる快楽と娯楽を極端に罪悪視した前時代共和政への反動のように、明るく弾けた雰囲気に満ちて始まったのが、王政復古を遂げたチャールズ2世の時代です。しかしながらチャールズ2世は、当時大流行し、もはや市民生活に欠かせぬものとなっていた喫茶店の元祖「コーヒーハウス」の営業を事実上禁止する旨を、自らの名において宣言します。この禁止令はいったん可決されたものの施行前に廃止され、コーヒーハウスはすんでのところで国家権力による抑圧を免れましたが、「陽気な王様」がなぜ国民の楽しみを奪うような真似をするに至ったのか――コーヒーハウスの歴史とともに、為政者としてのチャールズ2世のやむにやまれぬ事情を解説します。 |
3 | 04/23 | いちど読みだしたら止まらない?サミュエル・ピープスの『日記』① | 17世紀の記録文学として英文学史上あまりに名高い、海軍書記官サミュエル・ピープスの『日記』。元々暗号で記されていたのもむべなるかなで、艶っぽい話も満載のその生々しさは特筆ものです。「陽気な国王」チャールズ2世の時代を実際に生きていたピープスの日記をとおして、当時の人間の目からみた共和政崩壊後の17世紀イギリス――ペストの流行やロンドン大火など終末的とも思えた出来事等――をまずは浮き彫りにします。 |
4 | 05/07 | いちど読みだしたら止まらない?サミュエル・ピープスの『日記』② | ピープスの『日記』の(本当の)面白さは、彼自身はもちろん、王室関係者(チャールズ2世の愛妾たち)等やんごとなき方々のスキャンダルがつぶさに記録されている点にあります。近現代のタブロイド紙もかくやというその醍醐味を、日記からの引用はもちろん関連資料をつうじて詳しく紹介し、解説してまいります。 |
5 | 05/14 | 17世紀のシンデレラ「可愛くって小粋なネル」 | チャールズ2世は英王室史上でも指折りの艶福家として知られ、第4回で紹介するサミュエル・ピープスの『日記』にも、有名な愛妾がひとりならず登場します。そのなかでも、現在のドルーリー・レーン劇場のオレンジ売りから身を起し、イギリス最初期の女優として知られるネル・グウィンに焦点をあて、肖像画その他の資料をつうじて、チャールズ2世最愛の女性ともいわれた彼女個人にまつわる様々な(面白)エピソードを紹介します。また共和政期で一時断絶した同国における舞台芸術の再興の経緯をも辿っていきます。 |
ご受講に際して(持物、注意事項)
◆休講が発生した場合の補講は5月21日(水)を予定しています。
◆Zoomウェビナーを使用したオンライン講座です。
◆お申込みの前に必ず「オンラインでのご受講にあたって」をご確認ください。
◆本講座の動画は、当該講座実施の翌々日(休業日を除く)17:30までに公開します。インターネット上で1週間のご視聴が可能です。視聴方法は、以下をご確認ください。【会員】授業動画の視聴方法(会員向け) 【ビジター・法人会員】授業動画の視聴方法(ビジター・法人会員向け)
講師紹介
- 齊藤 貴子
- 早稲田大学・上智大学大学院講師
- 早稲田大学教育学部英語英文学科卒、同大学院教育学研究科博士課程修了後、助手を経て現職。専門は近代イギリス文学・文化。主として詩と美術の相関を研究。『ラファエル前派の世界』(東京書籍)、『英国ロマン派女性詩選』(国文社)、『肖像画で読み解くイギリス史』(PHP研究所)、『イギリス恋愛詞華集―この瞬間を永遠に―』(研究社)など著訳書多数。