ジャンル くらしと健康
中野校
手話―「日本語対応手話」と「日本手話」を学ぶ【継続】
鈴木 隆子(手話通訳士、日本語教師)
曜日 | 土曜日 |
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時間 | 15:05~16:35 |
日程 |
全8回
・07月05日 ~
09月06日 (日程詳細) 07/05, 07/12, 07/19, 07/26, 08/02, 08/23, 08/30, 09/06 |
コード | 320601 |
定員 | 24名 |
単位数 | 1 |
会員価格 | 受講料 ¥ 23,760 |
ビジター価格 | 受講料 ¥ 27,324 |
目標
・聴覚障がい者には「ろう者」「難聴者」「中途失聴者」という方々がいることを知る。
・「日本語対応手話」と「日本手話」の表現や構造の違いを知る。
・「日本語」と「日本語対応手話」「日本手話」の文法の違いを理論的に学ぶ。
・聴者にとって最も難しい「読み取り」を学ぶ
講義概要
最近YouTubeやSNSで手話をアップする方が増えています。言語の正しい知識のない方が私見で解説している場合もあり、残念に思います。手話には「日本語対応手話」と「日本手話」の2種類があり【人間に上下がないと同じく、言語にも上下がない】ことを前提に「日本語」「日本語対応手話」「日本手話」の表現や構造の違いを体系的に学びましょう! 2024年冬学期からは「読み取り」の勉強も毎回おこなっています。手話を学び始めたばかりの方、ブランクがある方、地域の手話講習会を受講中の方、手話通訳者さんなど幅広い方を対象にしています。※当講座の「ご受講に際して」「各回の講義予定」をホームページで必ずご確認ください。
各回の講義予定
回 | 日程 | 講座内容 | |
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1 | 07/05 | 言語を学ぶ際の基本的な知識〜外国語教授法 | 手話は言語である、と言われるようになりました。ところが言語であるのに言語の教授法を全く知らないで教えている講師がほとんどなのは、非常に残念です。外国語教授法について学び、「言語の正しい教え方」「言語を効率的に学習する方法」について知識を深めましょう。 |
2 | 07/12 | いろいろな聴覚障がい者・日本語の敬称の表現&手話の読み取り | 聴覚障がい者というと「ろう者」のことだと思っている方が多いのですが、実際には「ろう者」「中途失聴者」「難聴者」「人工内耳装用者」がいらっしゃいます。それぞれの方のことを知り、それから日本語の敬称を手話に換える方法を学びます。そのあとは手話学習者と手話通訳者にとってもっとも難しい「手話の読み取り」を学びます。「手話」⇒「手話の構造訳」⇒「日本語訳」という流れでステップを踏んで手話から日本語に換える方法を学びます。 |
3 | 07/19 | 平叙文&手話の読み取り | 平叙文(へいじょぶん:話し手や書き手の考えや気持ち、また事実などを表す普通の文)を手話に換えるときのルールを学びます。そのあとは手話学習者と手話通訳者にとってもっとも難しい「手話の読み取り」を学びます。「手話」⇒「手話の構造訳」⇒「日本語訳」という流れてステップを踏んで手話から日本語に換える方法を学びます。 |
4 | 07/26 | 疑問文&手話の読み取り | 疑問文(WH疑問文とYes/No疑問文)の手話表現を学びます。日本手話を尊重する講座では、疑問文のときのアゴの位置や眉の動きなどに重点を置いていますが、まずは疑問文としての正しい語順を学ぶことが先決です。そのあとは手話学習者と手話通訳者にとってもっとも難しい「手話の読み取り」を学びます。手話の表現は日本語から見ると非常に断片的で、そのままでは正しい日本語には絶対なりません。手話の構造を分析してから理知的に日本語に換える勉強をいたします。 |
5 | 08/02 | 語順&手話の読み取り | ろう者にとって手話は母語ですから、学ばなくても正しい順序で文章を作ることができます。母語は本能の中に組み込まれているので文法のルールを教えてもらわなくても正しい語順で文章を作れるのです。しかし第二言語として言語を身につけるためには語順のルールを知ることが不可欠です。語順を学んだあとは「手話」⇒「手話の構造訳」⇒「日本語訳」という流れてステップを踏んで手話から日本語に換える方法を学びます。 |
6 | 08/23 | 動詞の否定&手話の読み取り | 動詞の否定形は英語なら中学一年生が教わる内容です。言語にとって基本中の基本ですが、手話講習会や手話講座では動詞の否定について教わる機会はなかなかありません。ろう者の手話を見て「こういうことかなあ」と推測するにとどまります。正しく体系的に動詞の否定を学んだあとは、「手話」⇒「手話の構造訳」⇒「日本語訳」という流れてステップを踏んで手話から日本語に換える方法を学びます。 |
7 | 08/30 | 動詞の過去形&手話の読み取り | 動詞の過去形も「動詞の否定」と同じく、言語にとって基本中の基本です。しかし講師自身が手話講習会や手話講座で学んだ時を振り返っても、手話の動詞の過去形を体系的に教えていただいた経験はありません。絶対に知る必要のある「動詞の過去形」を学んだあとは、「手話」⇒「手話の構造訳」⇒「日本語訳」という流れてステップを踏んで手話から日本語に換える方法を学びます。 |
8 | 09/06 | 名詞の否定&手話の読み取り | 名詞の否定も動詞の否定と同じく、英語なら中学一年生が教わる内容です。このような基本的な内容を知らずに、どのようにして言語を正しく使えるようになるでしょうか。名詞の否定には内容によって、表現方法が2つあるのでそれを学びましょう。そのあとは、「手話」⇒「手話の構造訳」⇒「日本語訳」という流れてステップを踏んで手話から日本語に換える方法を学びます。 |
ご受講に際して(持物、注意事項)
◆2025年度春講座からの継続講座です。
◆今学期は、「外国語教授法」ということから学びます。
◆「日本語と手話を比較対照する」という新しい視点および「読み取り」の指導をおこないますので、新規の方も歓迎いたします。
◆テキストは不要です。講師の作成したプリントを配付します。
◆参考図書『ろう者と聴者の懸け橋に:「手話通訳士」兼「日本語教師」の挑戦』(鈴木隆子著、大月書店)、『はじめてでもそのまま使える手話会話フレーズ228』(鈴木隆子監修、池田書店)を事前にお読み頂くとより理解が深まります。
講師紹介
- 鈴木 隆子
- 手話通訳士、日本語教師
- 東京都武蔵野市吉祥寺出身。立教大学文学部英米文学科卒。大学時代は東京六大学野球のチアガール。手話通訳士・日本語教育能力検定試験に合格した日本語教師。宅建士の資格もあり。日本で唯一の「聴覚障がい者のための手話でおこなう日本語講座」を開講。外国人向けの日本語教育をもとにした独自の教授法で指導。著書は「ろう者と聴者の懸け橋に」「はじめてでも そのまま使える手話会話フレーズ228」等。手話通訳士であり、日本語教育能力検定試験に合格したプロの日本語教師として、聴覚障がい者に手話で「日本語の文法」「日本語の文型」「ビジネス講座」を指導している唯一の教師。