ジャンル 文学の心

早稲田校

『百年の孤独』から読むマジック・リアリズムと世界文学

  • 夏講座

マヌエル アスアヘアラモ(早稲田大学准教授)

曜日 火曜日
時間 10:40~12:10
日程 全5回 ・07月01日 ~ 07月29日
(日程詳細)
07/01, 07/08, 07/15, 07/22, 07/29
コード 120155
定員 30名
単位数 1
会員価格 受講料 ¥ 14,850
ビジター価格 受講料 ¥ 17,077

目標

・20世紀のラテンアメリカ小説の大まかな流れを確認し、その中におけるマジック・リアリズムについての理解を深める。

講義概要

ガブリエル・ガルシア=マルケスの代表作『百年の孤独』は、単なるラテンアメリカ文学の枠を超え、世界文学の一部として広く読まれてきた。本講義では、本作を中心に、マジック・リアリズムという文学手法がどのように生まれ、発展し、そして世界文学の流れの中でどのように位置づけられるのかを考察する。ガルシア=マルケスの文学的背景や、彼以前・以後のマジック・リアリズムの作品にも目を向けることで、この文学手法が持つ歴史的・文化的意義を深く理解することを目的とする。

各回の講義予定

日程 講座内容
1 07/01 オリエンテーションとラテンアメリカ文学の文脈 本講義の目的と進め方について説明した後、ガルシア=マルケスの生涯と彼が活躍した時代のラテンアメリカ文学の動向を概観する。特に、1950〜60年代の「ブーム」と呼ばれる時期に焦点を当て、当時の社会・政治状況が作家たちに与えた影響を探る。
2 07/08 『百年の孤独』以前のマジック・リアリズム マジック・リアリズムの起源とされる作品を取り上げ、ガルシア=マルケスがどのようにこの手法を発展させたのかを考察する。事例として、アレホ・カルペンティエルの『この世の王国』とチヌア・アチェベの『崩れゆく絆』を比較し、植民地主義と歴史の再構築という観点からマジック・リアリズムの意義を検討する。
3 07/15 『百年の孤独』の誕生 ガルシア=マルケスがどのように『百年の孤独』を書き上げ、編集し、出版に至ったのかを詳しく見ていく。また、作品の構造や語りの技法、登場人物の象徴性について分析し、マジック・リアリズムがどのようにこの作品の中心的な手法として機能しているのかを考える。有名なチャプターや場面も取り上げ、ガルシア=マルケスのマジック・リアリズムについても考える。
4 07/22 『百年の孤独』の受容と翻訳 『百年の孤独』はラテンアメリカだけでなく、世界中で翻訳され読まれてきた。しかし、翻訳を通じて読まれる際に、作品の意味や読まれ方が変化することもある。本回では、スペイン語圏とそれ以外の国々での受容の違いに注目し、翻訳による解釈の変容について考える。 この小説はなぜ第三世界において大きな反響を及ぼしたかについて考える。
5 07/29 『百年の孤独』以後のマジック・リアリズム 『百年の孤独』の影響を受けた作品を取り上げ、ラテンアメリカのみではなく、全世界においてマジック・リアリズムがどのように発展・変容したのかを考察する。その現象の事例として、チリ人のイサベル・アジェンデの『精霊たちの家』とインド出身のサルマン・ラシュディの『真夜中の子供たち』を比較し、地域ごとのマジック・リアリズムの変容について議論する。

ご受講に際して(持物、注意事項)

◆休講が発生した場合の補講日は8/5(火)を予定しています。
◆ 必須:ガブリエル・ガルシア=マルケス『百年の孤独』(新潮文庫)
2回目(任意):チヌア・アチェべ『崩れゆく絆』(光文社古典新訳文庫)、アレホ・カルペンティエル 『この世の王国』(サンリオ文庫)
4回目(任意):イサベル・アジェンデ『精霊たちの家』上・下 (河出文庫)、サルマン・ラシュディ 『真夜中の子供たち』上・下 (岩波文庫)

テキスト

テキスト
『百年の孤独』(新潮文庫)(ISBN:978-4102052129)

講師紹介

マヌエル アスアヘアラモ
早稲田大学准教授
ベネズエラ生まれ。 博士(学術、東京大学)。ラテンアメリカ文学、世界文学研究。 多言語を操り、翻訳論と世界文学研究の視点から、現代ラテンアメリカ文学を中心に日本をはじめとした他国での形成プロセスを読み解く。早稲田大学で世界文学研究ゼミを担当。共著にThe Reptant Eagle: Essays on Carlos Fuentes and the Art of the Novel、論文に「Where is World Literature? 世界文学とは、何処か?」などがある。
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