ジャンル 現代社会と科学
中野校
歩いて学ぶ北海道 北の大地の果てにある「日本」を読み解く
カベルナリア 吉田(紀行ライター)

曜日 | 土曜日 |
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時間 | 15:05~16:35 |
日程 |
全5回
・04月05日 ~
05月10日 (日程詳細) 04/05, 04/12, 04/19, 04/26, 05/10 |
コード | 310717 |
定員 | 24名 |
単位数 | 1 |
会員価格 | 受講料 ¥ 14,850 |
ビジター価格 | 受講料 ¥ 17,077 |
目標
・北海道を細かく詳しく学ぶことで、背景に存在する「学校では学ばない日本の歴史」「地方を操る権力者の思惑」「日本が抱えている問題」などを正しく知る。
・一般的にあまり知られていない、北海道のさまざまな地域の、多種多様な文化風俗を学ぶ。
講義概要
広大な北海道を、歩いて周る人は少ないかもしれない。だが丹念に歩くことで、この場所が味わった苦難の歴史と、いま直面するさまざまな問題を実感する。北方領土問題、炭鉱の栄枯盛衰、凄まじい過疎高齢化、原発関連施設誘致の苦悩、知られざる戦争史―。北海道は日本の過去現在未来を映し出す鏡であり、日本の今後を占うために、この場所を深く知ることは重要である。本講座では北海道出身の講師が、自身の足で歩いて見て感じた「北の大地の現実と、その向こうに見える日本」を、スライド併用の実踏ルポを通じてご紹介。雄大で空気がきれいで食べ物が美味しくて、だけではない北海道をぜひ知って、そして学んでいただきたい。
各回の講義予定
回 | 日程 | 講座内容 | |
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1 | 04/05 | 「北方領土が見える鮭の街」標津町 | 「シベツ」はアイヌの言葉で「鮭居(あ)るところ」を意味する。江戸時代から鮭の漁場として栄えてきた標津町は、北海道のほぼ東端にあり、国後島を間近に望む街でもある。市街の中心に「北方領土館」があり、海の向こうにクナシリの島影を眺めるほどに、都会にいては忘れがちな北方領土について様々な想いが去来する。ロシアーウクライナ戦争で解決が遠のきかけている北方領土問題について、鮭の街の散策ルポを交えつつ、改めて考えたい。 |
2 | 04/12 | 「トナカイの街に核のゴミ?」幌延町 | サロベツ原野の懐に抱かれ、雄大な自然が広がる道北の街、幌延町。近年はトナカイ街おこしで奮闘中だが、1980年代から2000年頃にかけて、放射性廃棄物中間貯蔵施設の受け入れをめぐり街は揺れた。結局「核抜き」の地層処分研究施設「深地層研究センター」が開設されて、一件落着したかに見えるが――街を歩いてみると「そうでもない」違和感を覚える。パノラマ風景の片隅に垣間見える過疎高齢化の苦悩と、そこにつけ込む原子力政策の是非を考察する。 |
3 | 04/19 | 「石炭を吸い込んだ無重力」上砂川町 | かつて三井砂川炭鉱で栄えた、道央空知の上砂川町。だが炭鉱閉山後は急激な人口減少と高齢化にあえぎ、炭鉱時代の立坑を無重力実験センターに転用して「無重力のまち」として再生を試みた。小惑星探査機「はやぶさ」誕生にも貢献し「上砂川」の名がつけられた小惑星もあるが――数奇な運命をたどった炭都の実踏ルポを通じて、日本のエネルギー政策の問題点に斬り込みたい。 |
4 | 04/26 | 「機雷爆発とプロパガンダ」湧別町 | 1942(昭和17)年5月、オホーツク海に面する小さな街・湧別町の海岸に機雷が漂着し、所轄警察署の責任において爆破することになった。地元の警察は戦意高揚のため「公開爆破」を計画し、爆破現場に大勢の市民が集合。だが機雷は不意に大爆発を起こし、100名以上もの市民が犠牲になった。北の果てで起こった知られざる戦争事件を通じて、戦争の愚かさを今一度、胸に刻んでいただきたい。 |
5 | 05/10 | 「小林多喜二の残像をたどる」小樽市 | 「蟹工船」で知られる作家の小林多喜二は、幼少期から青年期までを小樽で過ごした。警察の拷問により29歳で死没した「悲劇の作家」のイメージが強いが、小樽の街角には多喜二の足跡がいくつも残り、みずみずしい青春時代の残像が感じられる。彼が働いた伯父のパン屋の跡、高等商業学校に続く長い坂道、そしてデートコースだった神社。戦前の北海道の社会的背景を学びつつ、多喜二の生涯をたどる文学散歩コースを紹介する。 |
ご受講に際して(持物、注意事項)
◆休講が発生した場合の補講日は5月17日(土)を予定しています。
講師紹介
- カベルナリア 吉田
- 紀行ライター
- 1965年北海道生まれ、早稲田大学卒、読売新聞社他を経て2002年からフリー。車を使わず自分の足で歩く「実踏の旅」を重ね、沖縄と島を中心に全国を歩き、紀行文を執筆。近年は出身地である北海道も歩き続けている。最新刊は『秘境駅で途方に暮れた』(イカロス出版)、近著に『アイヌのことを考えながら北海道を歩いてみた』(ユサブル)、『新日本エロい街紀行』(アルファベータブックス)。ほかに『何度行っても変わらない沖縄』(林檎プロモーション)、『沖縄戦546日を歩く』(彩流社)、『狙われた島』(アルファベータブックス)など旅に関する著書多数。趣味はレスリング、バイオリン、料理。