ジャンル くらしと健康
中野校
手話―「日本語対応手話」と「日本手話」を学ぶ【継続】
鈴木 隆子(手話通訳士、日本語教師)

曜日 | 土曜日 |
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時間 | 15:05~16:35 |
日程 |
全9回
・04月12日 ~
06月14日 (日程詳細) 04/12, 04/19, 04/26, 05/10, 05/17, 05/24, 05/31, 06/07, 06/14 |
コード | 310601 |
定員 | 24名 |
単位数 | 1 |
会員価格 | 受講料 ¥ 26,730 |
ビジター価格 | 受講料 ¥ 30,739 |
目標
・聴覚障がい者には「ろう者」「難聴者」「中途失聴者」という方々がいることを知る。
・「日本語対応手話」と「日本手話」の表現や構造の違いを知る。
・「日本語」と「手話」の文法の違いを理論的に学ぶ。
講義概要
「手話は言語である」という考えが広まっています。【言語である】のですから、手話を指導する講師は教授法を学んだうえで、言語を身につけるプロセスをキチンと考えて指導しなければなりません。手話には「日本語対応手話」と「日本手話」の2種類があり【人間に上下がないと同じく、言語にも上下がない】ことを前提に「日本語」「日本語対応手話」「日本手話」の表現や構造の違いを体系的に学びましょう!手話を学び始めたばかりの方、ブランクがある方、地域の手話講習会を受講中の方、現在手話通訳として活動されている方など幅広い方を対象にしています。
当講座の「ご受講に際して」「各回の講義予定」をホームページで必ずご確認ください。
各回の講義予定
回 | 日程 | 講座内容 | |
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1 | 04/12 | 母語と第二言語について | 「手話は言語」とはいっても、地域の手話講習会や民間の手話講座では教授法に乗っ取った言語指導はしていないようです。「母語と第二言語は違う」ということは日本語教育の世界では常識ですが、手話の世界では認識していない方も多いので第1回目にキチンとお話をしたいと思います。 |
2 | 04/19 | 文法を理解したうえで、通訳体験をしてみましょう(1)【「は」と「が」の違い】 | 日本語の「私は」「私が」の違いを解説したうえで、手話に換えるとどういう表現になるかを説明します。手話通訳者の研修で「私は」と「私が」の違いについて間違った説明をしているろう講師に会ったので、間違った知識が出回ってしまうことを危惧しています。文法の勉強をしてから手話通訳の体験をしてみましょう。 |
3 | 04/26 | 文法を理解したうえで、通訳体験をしてみましょう(2)【NMS】 | 日本手話を重んじている方々が重要に思っている「NMS(非手指動作)」について、キチンと説明を受けることはあまりないと思います。この講座ではキチンと解説したうえで、手話通訳の体験をしてみましょう。登録手話通訳者や手話通訳士を目指していなくても、日常生活の中で聞こえない方の手話通訳をすることがあるかもしれません。 |
4 | 05/10 | 文法を理解したうえで、通訳体験をしてみましょう(3)【二重否定】 | 日本語では「〜でないわけではない」のような二重否定の表現がたくさんあります。それをどういうふうに手話に換えたらよいかを学びます。そのあと、手話通訳の体験をしてみましょう。街の中で聴覚障がい者が困っている場面に遭遇した時、助けたい気持ちがあっても手話通訳に慣れていないと、見て見ないふりをしてしまいがちです。 |
5 | 05/17 | 文法を理解したうえで、通訳体験をしてみましょう(4)【指さし】 | 日本語や日本語対応手話では「人を指さすのは失礼」とされています。聴者はみな「指さすことは失礼」と言われて育ったと思います。しかし日本手話の世界では「指さし=英語のYOU] として使われることが多くあります。指さしについてきちんと説明を受ける機会はなかなかないと思いますので、しっかり学びましょう。 |
6 | 05/24 | 文法を理解したうえで、通訳体験をしてみましょう(5)【助数詞と概数の表現】 | 英語の授業では「助数詞や概数」の表し方についてキチンと教わります。しかし手話講習会では、このような基本的な文法項目をキチンと指導しません。この講座ではキチンと説明したうえで、手話通訳の体験をしてみましょう。 |
7 | 05/31 | 文法を理解したうえで、通訳体験をしてみましょう(6)【あいまいな表現】 | 日本語はハッキリと表現することを避け、【気持ちを察してほしい】という文化です。それを「ストレートな表現を特徴とする手話」に換えるのはとても大変です。あいまいな日本語のニュアンスをいかに手話に換えるかを学んだうえで、手話通訳の体験をしてみましょう。 |
8 | 06/07 | 文法を理解したうえで、通訳体験をしてみましょう(7)【地の文と会話の文】 | 「『…』と言いました。」のような地の文と会話の文をいかに切り替えて視覚的に表現するか。地域の手話講習会や手話通訳者の研修で教わる機会はないと思います。手話通訳者は「地の文と会話文」の表現方法について適当に表している方が多いので残念です。解説したうえで、手話通訳の体験をしてみましょう。 |
9 | 06/14 | 文法を理解したうえで、通訳体験をしてみましょう(8)【現場の事例】 | 手話通訳の現場の事例をいろいろご紹介します。それから、「街で困っている聴覚障がい者を見かけたときに躊躇せずに、手助けできるようになること」を目指して手話通訳の体験をしてみましょう。 |
ご受講に際して(持物、注意事項)
◆2024年度冬講座からの継続講座です。
◆今学期は、改めて「私は」「私が」の違いを手話表現するところから学びます。
◆「日本語と手話を比較対照する」という新しい視点での指導ですので、新規の方も歓迎いたします。
◆テキストは不要です。講師の作成したプリントを配付します。
◆参考書籍『ろう者と聴者の懸け橋に:「手話通訳士」兼「日本語教師」の挑戦』(鈴木隆子著、大月書店)』『はじめてでもそのまま使える手話会話フレーズ228』(鈴木隆子監修、池田書店)を事前にお読み頂くとより理解が深まります。
講師紹介
- 鈴木 隆子
- 手話通訳士、日本語教師
- 東京都武蔵野市吉祥寺出身。立教大学文学部英米文学科卒。大学時代は東京六大学野球のチアガール。手話通訳士・日本語教育能力検定試験に合格した日本語教師。宅建士の資格もあり。日本で唯一の「聴覚障がい者のための手話でおこなう日本語講座」を開講。外国人向けの日本語教育をもとにした独自の教授法で指導。著書は「ろう者と聴者の懸け橋に」「はじめてでも そのまま使える手話会話フレーズ228」等。手話通訳士であり、日本語教育能力検定試験に合格したプロの日本語教師として、聴覚障がい者に手話で「日本語の文法」「日本語の文型」「ビジネス講座」を指導している唯一の教師。