ジャンル 世界を知る

中野校

文化遺産に学ぶユーラシア文明史

  • 春講座

大井 剛(元東京成徳大学教授)

曜日 火曜日
時間 10:40~12:10
日程 全6回 ・04月01日 ~ 06月17日
(日程詳細)
04/01, 04/15, 05/13, 05/20, 06/03, 06/17
コード 310312
定員 24名
単位数 1
会員価格 受講料 ¥ 17,820
ビジター価格 受講料 ¥ 20,493

目標

・人類の文明を代表するような美術作品や考古遺物を観察する。
・ユーラシア各地の文明とそれをささえた人びとの暮しを知る。
・人類史における文明の意味をさぐる。

講義概要

数百万年にわたる現生人類の歴史のなかで、文明といえる暮しのかたちを形成したのは、長くみつもっても一万年にすぎません。文明の歴史は人類史のきわめて短期間の現象といえます。なぜ、どのように文明がかたちづくられたのでしょうか。それぞれの文明を代表する美術作品や考古遺物を手がかりに、それを生み出した集団の特徴や文化の交流を考えながら、ユーラシア各地をめぐりましょう。人類史の謎をとく手がかりが得られるかもしれません。各回完結の講座です。
※持ち物等についてはホームページでご確認ください。

各回の講義予定

日程 講座内容
1 04/01 草原の道を駆ける騎馬遊牧民 〜スキタイと匈奴〜 ユーラシア北方の交通路「草原の道」で三千年前頃から活動した騎馬遊牧民の集団がいました。それをギリシャ人はスキタイとよび、中国人(漢人)は匈奴とよんでいます。かれら遊牧民は、農耕民の住む地域に接触しつつ、独自の文明を生みました。遊牧という生活形態がどのように営まれたのか、遺された黄金製品やフェルトに描かれた図像を通して垣間見ることにしましょう。
2 04/15 アッシリア宮殿の壁面浮彫 〜メソポタミア文明の発掘〜 古代メソポタミア文明をになったシュメル人、バビロニア人の都市国家群をおさえて、アッシリアは史上もっとも早い世界帝国を築きました。その帝王の権威と権力を象徴する、宮殿の壁面をかざった石の浮彫(レリーフ)から、アッシリア人の文明を観察します。とりわけ滋賀県にあるミホ・ミュージアムに常設展示されているアッシリア・レリーフをとりあげ、それが日本にやってきた履歴にも注目します。
3 05/13 エトルリアの壺 〜古代ローマ文明の先駆者〜 エトルリアとはイタリア半島中西部の地域で、いまのトスカーナ地方をふくむ古代の広域をさします。そこに独得の文明を築いて暮したエトルリア人は、のちに大文明をになう古代ローマ人たちの先駆者といえましょう。十九世紀の西欧に「エトルリア・ブーム」をひきおこしたほどの熱狂を生んだ、エトルリア人の遺した青銅器、陶器、墓の壁画などから、その文明の独自性とギリシャ文明との交流のありさまを観察します。
4 05/20 シルクロード商人の祈り 〜ゾロアスター教の信仰〜 かつて東西交易のルート、シルクロードをめぐって活躍したソグド人商人がいました。中国の唐王朝のなかば、のちに安史の乱とよばれる大反乱をひきおこした安禄山も、ソグドの血統といわれます。ソグド人の墓が中国の西部をふくむ中央ユーラシア各地に発見されています。そこにはソグド人のあつい信仰をものがたる図像の浮彫がありました。絵ときからゾロアスター教の信仰に迫ります。
5 06/03 海底の宝もの 〜東シナ海の沈没船〜 考古学の調査対象となる遺跡は陸上にあるとは限りません。近年ますます発達してきた水中考古学の成果によりながら、海中から引き上げられた沈没した商船のありさまを観察します。わけても朝鮮半島、韓国の南西沖でみつかった中国と日本とを往き来したらしい中世の沈没船に着目します。積荷であった陶磁器、銅銭などは、なにを物語るでしょうか。
6 06/17 気候変動からみた人類史 〜年縞による実年代研究の現在〜 ちかごろ激しく荒れる天候は、世界各地に災害をもたらしています。それは人類の活動がもたらした結果であるとも疑われるようになりました。その人類の活動が「文明」であるとすれば、その文明もまた地球の気候が生んだ現象であったことが、気候変動の歴史から見えてきました。日本で発達した「年縞」という年代研究の方法をくわしく解説し、人類文明史の本質を考えます。

ご受講に際して(持物、注意事項)

◆ハンドアウトを配付します。筆記用具で書きこみできます。
◆画像をたくさん投影します。見るための道具が必要なかたは、お持ちください。

講師紹介

大井 剛
元東京成徳大学教授
東京大学大学院人文科学研究科博士課程単位取得満期退学。東京大学文学部、ユネスコ東アジア文化研究センター勤務、学習院女子大学・山梨大学・麗澤大学大学院等の非常勤講師を経て、東京成徳大学教授(2006〜2018年度)。専門は東アジア文化交流史。論文に「年号論」(『アジアのなかの日本史』第5巻)など。
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