ジャンル 人間の探求
早稲田校
『正法眼蔵』に学ぶ 「有時」巻の講読
粟谷 良道(禅研究者)

曜日 | 火曜日 |
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時間 | 13:10~14:40 |
日程 |
全10回
・04月01日 ~
06月17日 (日程詳細) 04/01, 04/08, 04/15, 04/22, 05/13, 05/20, 05/27, 06/03, 06/10, 06/17 |
コード | 110515 |
定員 | 30名 |
単位数 | 2 |
会員価格 | 受講料 ¥ 29,700 |
ビジター価格 | 受講料 ¥ 34,155 |
目標
・『正法眼蔵』の各巻を順次講読する。
・道元の思想、教えについて学ぶ。
・禅の世界、道元の宗教体験の世界にふれる。
講義概要
今期は「有時」の巻を講読する。この巻は、仁治元年(1240)、道元(1200〜1253)が41歳のときに著した書である。この巻には道元の説く時間論が示されている。冒頭には「古仏言」とあり、道元が古仏と慕う中国禅宗の祖師である薬山惟儼(745〜828)の言葉を引用している。そこには「有時高高峰頂立、有時深深海底行」とある。あまりにも有名な言葉である。また、道元は「松も時なり、竹も時なり」「青原も時なり、黄檗も時なり、江西も石頭も時なり」とも述べている。果たして道元は「時」をどのように受けとめているのか、道元が展開する時間論、宗教的体験にもとづく宗教的時間とはどのような世界なのか、詳しく解説する。
各回の講義予定
回 | 日程 | 講座内容 | |
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1 | 04/01 | 「有時」巻の講読(1)――「有時」巻について―― | はじめに、この「有時」巻について、この巻が説かれるまでの経緯について解説し、そして、この巻で道元はどのようなことを述べようとしているのか、また、この巻はどのような意図で書き著されたのか、などについて解説する。 |
2 | 04/08 | 「有時」巻の講読(2)――古仏の説く有時について―― | この巻の冒頭には、講義概要で述べた薬山惟儼の言葉である「有時高高峰頂立、有時深深海底行」の二句を含め都合8句の有時について述べた句が示されている。それらは、それぞれ有時について述べている句であるが、これらの句がどのようなことを意味しているのか、それらについて解説する。 |
3 | 04/15 | 「有時」巻の講読(3)――有時の有と時の関係について―― | ここでは、有時の有と時の関係について示されている。冒頭の有時についての8句を述べたあと、その有時について述べているのであるが、有時とは言っても、有は時であるとして、その時をどのように受けとめるべきであるか、道元の拈提が示されている。その拈提について解説する。 |
4 | 04/22 | 「有時」巻の講読(4)――尽界としての有と時について―― | ここでは尽界と示されているのであるが、尽界とは尽十方界のことであり、その尽界として有時が受けとめられているのである。有時が尽界であるとするのは如何なることを意味しているのか、また、尽地とも示されているのであるが、それは如何なることを意味しているのか、それらの点について解説する。 |
5 | 05/13 | 「有時」巻の講読(5)――有時に対する有人説への批判について―― | ここでは、仏法を学んでいない凡夫が有時の語を聞いてどのようなことを思い浮かべるかを示し、その凡夫の受けとめ方は間違っているとして、それがどのように間違っているかを指摘して、道元が受けとめている有時についての見解が示されている。その有時に対する有人説への批判について解説する。 |
6 | 05/20 | 「有時」巻の講読(6)――経歴する有時について―― | 講義概要で述べたように、道元は、有時について「松も時なり、竹も時なり」と述べており、そのことを述べたあと、飛去という言い方、経歴という言い方、このような言い方を用いて有時について言及している。そのなかで、有時には経歴の功徳があると述べているのである。どのような意味なのか解説する。 |
7 | 05/27 | 「有時」巻の講読(7)――尽有尽時としての有時について―― | 有時を尽界として受けとめていることは前にも示されているが、ここでも尽界について示されている。そして、それが究尽であるとしているのであるが、そのように示されるのは、有と時を尽有と尽時として受けとめる関係として示されているのである。それはどのような意味なのか解説する。 |
8 | 06/03 | 「有時」巻の講読(8)――尽力と経歴について―― | ここでは尽力と経歴について示されている。この尽力には重要な意味が込められており、有時も経歴も尽力であることが重要であるとしている。その上で経歴について言及し拈提されている。経歴と有時については前にも示されているが、ここでは、あらためて経歴について示されている。そのことについて解説する。 |
9 | 06/10 | 「有時」巻の講読(9)――馬祖道一の説く有時と揚眉瞬目について―― | ここでは馬祖道一(709〜788)が薬山惟儼(745〜828)に対して示した教えが取りあげられている。それは有時と揚眉瞬目の関係である。その馬祖道一の教えについて道元が拈提を加えている。馬祖道一が示す有時と揚眉瞬目の教えについて、その教えに対する道元の拈提、それらについて解説する。 |
10 | 06/17 | 「有時」巻の講読(10)――葉県帰省の説く有時について―― | ここでは葉県帰省の教えが取りあげられている。それは「有時意到句不到……」と示される教えである。そして、その葉県帰省の教えについて、道元の拈提が加えられている。葉県帰省の教え、その教えに対する道元の拈提、それらはどのような意味なのかを解説する。 |
講師紹介
- 粟谷 良道
- 禅研究者
- 1953年生まれ。駒澤大学仏教学部卒、同大学院人文科学研究科博士課程満期退学。曹洞宗宗学研究所研究員、曹洞宗総合研究センター専任研究員、主任研究員を経て、2014年3月に退職。2006年4月〜2023年3月駒澤大学講師。専門分野は禅学、仏教学。著作に共編『道元引用語録の研究』(1995年、春秋社)、共編『観音経読み解き事典』(2000年、柏書房)、編著『禅語録傍訳全書』第7〜9巻(2001〜2002年、四季社)などがある。また漫画原作に『道元さまものがたり』上巻(2003年、曹洞宗宗務庁)、下巻(2003年、曹洞宗宗務庁)、続巻(2015年、曹洞宗宗務庁)などがある。