ジャンル 日本の歴史と文化

早稲田校

戦後社会を生きる

  • 春講座

大門 正克(横浜国立大学名誉教授)

曜日 火曜日
時間 10:40~12:10
日程 全10回 ・04月01日 ~ 06月17日
(日程詳細)
04/01, 04/08, 04/15, 04/22, 05/13, 05/20, 05/27, 06/03, 06/10, 06/17
コード 110267
定員 30名
単位数 2
会員価格 受講料 ¥ 29,700
ビジター価格 受講料 ¥ 34,155

目標

・戦後の時代(占領改革期、高度経済成長期)を理解する
・その時代を生きた人びとの足跡に即して時代を理解する
・『暮しの手帖』「ある日本人の暮し」など、資料を読む

講義概要

戦後の1960年代までの社会を「占領と改革の時代」「高度経済成長の時代」の2つに分け、時代の特徴を話すとともに、それぞれの社会を生きた人びとについて話します。その際に3つのことに留意します。(1)2つの時代の特徴を理解し、(2)私自身の調査や研究をふまえ、それぞれの時代を生きた人びとを、地域や男女のあり方などに即して、具体的にとりあげます。(3)雑誌『暮しの手帖』に連載された「ある日本人の暮し」や夜間中学校など、多角的な視点で時代を生きた人びとについて話します。以上より、その時代を生きた人びとの資料や聞き取りを読み解くなかで、戦後社会の理解を深めることがこの講義の目的です。

各回の講義予定

日程 講座内容
1 04/01 はじめに この講義で取り上げる「占領と改革の時代」と「高度経済成長の時代」の2つの時代について概観し、2つの時代を考えるうえで必要な留意点について話します。
2 04/08 占領と改革の時代 戦前・戦時の時代をふまえ、1940年代半ばから1950年代半ばに至る占領と改革の時代の特徴について話します。占領をどのように理解すればいいのか、世界史の視点や東アジアの視点も加え、広い文脈のなかでこの時代を理解できるようにつとめます。
3 04/15 戦後社会を生きる労働者 企業・工場で働く人びとに視点をすえ、占領と改革の時代の特徴を考えます。戦前・戦時の労働者を振り返り、労働者が選んだ戦後とは何だったのかについて考えます。
4 04/22 戦後の地域社会を生きる 地域社会に即して戦後の意味を考えます。私の調査地である岩手県和賀町を事例にして、戦後において地域であらわれた生存の仕組みをつくる試みを検討し、和賀町については、高度経済成長の時代まで含めて、地域社会の動向を検討します。
5 05/13 高度経済成長の時代 1950年代半ばから1970年代初めまでは、高度経済成長の時代でした。この時代の特徴について考えます。経済成長のあり方とともに、とくにこの時代の移動・消費・教育が社会に与えた巨大な影響の意味について考えます。
6 05/20 企業社会と地域社会を生きる 高度経済成長の時代に企業社会がつくられます。企業社会の特徴について、ヨーロッパの福祉国家とも比較して考えます。高度経済成長は地域社会にも大きな影響を与えました。地域社会がかかえた矛盾と、そのもとでの新たな試みについてもふれます。
7 05/27 家庭の主婦として生きる 企業社会のもとで、家庭の主婦が多くつくりだされました。大企業の社内報を使い、企業社会とかかわった家庭の主婦について具体的に検討します。企業社会と主婦の関係は、日本の高度経済成長を理解する1つの重要な鍵です。
8 06/03 『暮しの手帖』「ある日本人の暮し」 1950年代半ばから1960年代後半まで『暮しの手帖』に連載された「ある日本人の暮し」では、戦争の影響もかかえて戦後社会を歩む人びとの足跡が、編集者・花森安治の写真と文章のなかに刻まれています。いくつかの「ある日本人の暮し」を配布し、この記事を読み解くなかで、時代の特徴について考えます。
9 06/10 高度経済成長の周縁で生きる――夜間中学校 高度経済成長の巨大な影響が席巻するなかで、社会の周縁で生きる人たちの姿は見えにくくなります。ここでは、1970年代初めの夜間中学校を例に、夜間中学校に通った在日朝鮮人の女性と先生の関係から、この時代の教育と社会のあり方を考えます。
10 06/17 おわりに この講義で話してきたことをまとめ、振り返ります。そのなかで、それぞれの時代を生きた人びとに即して時代について考える歴史の視点について、まとめて話します。

講師紹介

大門 正克
横浜国立大学名誉教授
1953年千葉県生まれ。一橋大学大学院経済学研究科博士課程単位取得。博士(経済学)。横浜国立大学大学院国際社会科学研究院教授、早稲田大学特任教授を経て、現在、横浜国立大学名誉教授。専門分野は日本近現代史。地域で歴史を探り、人びとに過去の経験を聞き、歴史と現在を行き来するなかで、日本の近現代を考えてきた。主著に『全集日本の歴史15 戦争と戦後を生きる』(小学館)、『語る歴史、聞く歴史』(岩波新書)がある。
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