ジャンル 日本の歴史と文化

早稲田校

「満洲」とは何だったのか 「思想」家の群像目線から見る

  • 春講座

小林 英夫(早稲田大学名誉教授)

曜日 火曜日
時間 13:10~14:40
日程 全10回 ・04月01日 ~ 06月17日
(日程詳細)
04/01, 04/08, 04/15, 04/22, 05/13, 05/20, 05/27, 06/03, 06/10, 06/17
コード 110262
定員 70名
単位数 2
会員価格 受講料 ¥ 29,700
ビジター価格 受講料 ¥ 34,155

目標

・多様性を持った「満洲国」の特徴の把握を行う
・「満洲国」と関わりを持った文化人の「思想」的軌跡をたどる
・日「満」間の文化的連関の総体的把握に努める

講義概要

多様性を有する「満洲国」の政治・経済・文化の諸特徴を把握するために「満洲国」と関わり合いを持った文化人たちの「思想」の軌跡に焦点を当てた検討を行う。時代的には日露戦争期から始め1945年までの戦前期に焦点を当てて、検討を試みる。こうした作業を通じて戦前期の日「満」間の文化的連関の相対的把握を試みる。こうした関連性の戦後への思想的連鎖に関しても併せ検討を試みる。

各回の講義予定

日程 講座内容
1 04/01 視点の設定 授業開始に当たり取り上げる対象となる人物の範囲の限定と「満洲」との関わりの特徴、日「満」社会へのインパクトについて論ずる。
2 04/08 日露戦争前夜の「満洲」をめぐる言論動向 東京帝国大学教授で日露戦争開戦時に「七博士意見書」を提出、『東亜旅行談』の著者で、世に「バイカル博士」と渾名された戸水寛人を中心に彼らの集団に焦点を当ててその「満洲」観の特徴を検討する。
3 04/15 「文装的武備」を掲げた後藤新平の「満洲」経営論 日露戦後の満鉄の誕生と初代満鉄総裁・後藤新平に焦点を当てた彼の植民地経営論と「満洲」での満鉄経営論について検討する。
4 04/22 「満洲」朝鮮史の先達たちの調査活動 満鉄の満洲及朝鮮歴史地理調査部に結集した白鳥庫吉(東京帝国大学)、松井等(国学院大学)などに焦点を当てて、彼らの「満洲」観を考察する。
5 05/13 「満洲」の政治的動揺を敏感に感じ取った言論人たち 1910年代から20年代初頭に関し「満洲」は大戦景気とその反動のなかで大きく揺れ動く。この揺れを敏感に感じ取った言論人の徳富蘇峰に焦点を当てながら彼の描く「満洲像」の検討を試みる。
6 05/20 張作霖爆殺事件と与謝野鉄幹・晶子の「満洲」観 1928年6月の張作霖爆殺事件を「満洲」旅行中の奉天で出くわした日本人の回想をベースに与謝野鉄幹・晶子に焦点を当てて彼らの「満洲像」の摘出を試みる。
7 05/27 「満洲国」と矢内原忠雄之「満洲」観 満洲事変以降「満洲国」設立過程の内実と植民地研究者だった矢内原忠雄の活動を通じて彼の「満洲像」と彼の植民地分析の意義と限界を考える。
8 06/03 「満洲移民」と加藤完治の「満洲」観 1932年から始まる「満洲移民」過程とその推進を強力に進めた加藤完治の活動を通じて、彼の「満洲像」の摘出を考える。
9 06/10 満洲工業化と石橋湛山の「満洲」観 石橋湛山の「満洲」視察をはじめ敗戦直前の飯塚浩二の満洲紀行にいたるまでの文化人の「満洲」旅行を通じた「満洲像」の特徴検出を試みる。
10 06/17 まとめ 戦前期の「満洲国」像の多様性と戦後への継承性に関して検討する。

講師紹介

小林 英夫
早稲田大学名誉教授
1943年東京生まれ。東京都立大学法経学部卒業後、同大学院社会科学研究科博士課程単位取得満期退学。博士(文学・東京都立大学)。専門分野は、日本近現代史・東アジア史・産業史。著作に『昭和を作った男 石原莞爾、北一輝、そして岸信介』(ビジネス社)など。
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