ジャンル 日本の歴史と文化

早稲田校

吾妻鏡を読む

  • 春講座

新井 孝重(獨協大学名誉教授)

曜日 火曜日
時間 10:40~12:10
日程 全10回 ・04月01日 ~ 06月17日
(日程詳細)
04/01, 04/08, 04/15, 04/22, 05/13, 05/20, 05/27, 06/03, 06/10, 06/17
コード 110222
定員 30名
単位数 2
会員価格 受講料 ¥ 29,700
ビジター価格 受講料 ¥ 34,155

目標

・『吾妻鏡』を正確に読む。
・個々の記事を正しく解釈し、意味を理解する。
・鎌倉時代の政治史を考える。

講義概要

『吾妻鏡』は鎌倉時代史を研究するうえで重要な史料です。これを丁寧に読み進めながら、武家政権の政治と武士の暮らしを観察します。源頼朝の幕府創業以来、武家の政権が固まり安定するまで、権力の内部では多くの政変や陰謀事件が起こりました。政変・陰謀にまつわる鎌倉中の合戦や騒動は、『吾妻鏡』に生々しく記録され、それらの歴史的意味をいまに伝えています。

各回の講義予定

日程 講座内容
1 04/01 和田合戦の総括 和田合戦の討死、負傷者、恩賞のリスト作成。
北条氏家来の幕府内での影響力の増大。
権力内での構造的変化が推測される。
2 04/08 合戦の余震 鎌倉中の不穏な空気。在京武士の参向を禁じ、兵の鎌倉集結を抑止する。大地震が起こる。これ、「兵動あるべき」の前兆と、人びとは怖れた。
3 04/15 不安のなかの「平和」 戦火罹災の将軍御所が再建され、実朝の引っ越しが盛大に行なわれた。藤原定家は実朝に歌書を送る。こうした中にも地震が頻発する。畠山子息の謀叛も発覚。
4 04/22 鎌倉武士の実朝批判 謀叛人の首をとってきた下野国の武士に対して、将軍実朝がそこまでせずとも、と嘆息した。これをきっかけに武士は歌、鞠(まり)に興じる将軍を激しく批判する。
5 05/13 将軍家の日常 公家から西国御領に臨時の公事が課せられる。幕府はこれにつき京都側と調整をはかる。実朝、定家より万葉集を贈られる。そのさい定家、所領の地頭非法のことを訴える。冬十二月、将軍、幕府吏僚の邸宅にて雪見して歌を賞す。
6 05/20 将軍家と仏教勢力 建保2年(1214)初夏、延暦寺衆徒が園城寺へ発向、坊舎堂塔を焼く。実朝、ただちに堂舎修造を御家人に命ずる。将軍の仏教勢力への姿勢は注目される。
7 05/27 幕府の交通政策 初期の鎌倉の交通政策は、海道筋宿駅の充実におかれていた。この頃から、民間旅行者の便に配慮するようになる。諸国の関と渡場の地頭に、旅人の煩いを止めるべきを令す。
8 06/03 京都の思惑、実朝の姿勢 後鳥羽院が仙洞歌合一巻を実朝に贈る。後鳥羽院が何故、朝廷文化の一端を実朝に浴せしめたのか。これから以後の政治の展開との関連で注目される。
9 06/10 陳和卿、鎌倉に来訪 東大寺再建の功労者、陳和卿が鎌倉に到り、実朝は和卿と対面した。その後、実朝は、中国の医王山に渡るべく唐船の建造を命じた。幕府内における実朝の苦悩がうかがえる。
10 06/17 公暁、鶴岡八幡宮寺の別当となる 三井寺に修行した二代将軍頼家の子公暁が鎌倉に到着し、八幡宮寺別当となる。公暁と実朝の運命のドラマがこの時からはじまる。

ご受講に際して(持物、注意事項)

◆パソコン・ボイスレコーダーの持ち込みはご遠慮ください。
◆講義の進捗に多少の遅速が生じることがあり、各回の講義内容が変わることがあります。
◆2024年度秋学期の同名講座の続きですが、新規受講の方も大歓迎です。

講師紹介

新井 孝重
獨協大学名誉教授
1950年埼玉県生まれ。早稲田大学第一文学部卒業、同大大学院文学研究科博士課程単位取得満期退学。博士(文学)。専門は日本中世史。著書に『中世悪党の研究』(吉川弘文館)、『東大寺領黒田荘の研究』(校倉書房)、『黒田悪党たちの中世史』(NHK出版)、『日本中世合戦史の研究』(東京堂出版)など。
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