ジャンル 日本の歴史と文化

早稲田校

日本の現代 「敗戦」から「60年安保闘争」まで

  • 春講座

黒川 みどり(静岡大学名誉教授)

曜日 火曜日
時間 10:40~12:10
日程 全10回 ・04月01日 ~ 06月24日
(日程詳細)
04/01, 04/08, 04/15, 04/22, 05/13, 05/20, 05/27, 06/10, 06/17, 06/24
コード 110205
定員 30名
単位数 2
会員価格 受講料 ¥ 29,700
ビジター価格 受講料 ¥ 34,155

目標

・日本現代史の流れを論理的・構造的に理解する。
・1945(昭和20)年の「敗戦」から、「戦後復興」を経て1960(昭和35)年の「安保闘争」までの歴史を理解する。
・〈今〉と向き合うために必要な問題意識を培う。

講義概要

「敗戦」から「60年安保闘争」までを対象とします。政治史にかぎらず思想や文化、人々の暮らしなどにも重点を置きながら戦後15年間を論じます。また、ジェンダーの視点や沖縄・在日朝鮮人・被差別部落などマイノリティの視点からもとらえ返すように努めてゆきたいと思います。今期は必要に応じて史料などをできるだけ数多く紹介し、具体的に示したいと考えています。基本事項はふまえつつも、昨年度から内容を更新して、あらたな切りで講義をつくってゆきたいと思いますので、再受講の方も歓迎いたします。

各回の講義予定

日程 講座内容
1 04/01 「帝国」の崩壊と人流 敗戦にいたる経緯を述べたうえで、それに伴う復員・引揚げ・残留・抑留について、「内地」のみならず、樺太・千島、満州、朝鮮、中国などの「外地」、沖縄にもふれながら述べてゆきます。さらに「進駐軍」を迎えてはじまった人びとの暮らしのなかで、闇市、戦争未亡人、戦災孤児などの問題をとりあげます。
2 04/08 占領の開始と民主化政策の進展 戦後の新たな国際秩序のなかで開始された占領政策の開始、日本国憲法の制定、象徴天皇制の成立、政党政治の復活について述べます。さらに、非軍事化・民主化のスローガンのもとに行われた、人権指令・言論の自由化、婦人参政権、公職追放にはじまり、財閥解体・農地改革・労働改革の三大改革、ならびに教育の民主化などについて、農村社会や学校教育の実態など日本社会の動向と重ね合わせながら具体的にみてゆきます。
3 04/15 東京裁判と戦争責任の追及 極東国際軍事裁判(東京裁判)について、その問題を含めて考察します。さらに天皇の戦争責任をめぐる当時の知識人たちの議論についても述べます。
4 04/22 占領政策の転換 冷戦の進行とともに朝鮮戦争が起こるなかで、レッド・バージと公職追放解除など占領政策の転換が行われたことについて論じてゆきます。さらに台湾でおこった二・二八事件、韓国の四・三事件にもふれながら、ドッジ・ラインによる労働者の生活の圧迫、メーデー事件と破防法、下山・三鷹・松川事件について述べます。また再軍備と憲法の見直しが議論され、単独講和への道のりが準備されていく状況を見通します。
5 05/13 「近代」の希求―戦後初期の思想と文化 戦争への反省から日本の近代化の内実を問う議論が噴出します。丸山眞男や、竹内好ら近代の復権と求める人々の思想・言論活動、『近代文学』につどう文学者のグループ、活動を再開した日本共産党とマルクス主義者たちを中心にとりあげます。次いでGHQによる原爆被害などに対する言論統制が行われていたことを論じます。また、映画や文学をあげながら庶民の文化なども述べてゆきます。
6 05/20 復興から独立へ 対日講和を急ぐアメリカの主導で占領の終結が行われ、1952年の講和条約発効により日本はサンフランシスコ体制に組み込まれてゆきました。講和をめぐっては、学者・文化人たちによる平和問題談話会や社会党・総評などの日本平和推進国民会議が結成されて全面講和を求める運動が展開されており、それらの主張を検討しながら講和条約のもった意味について考えます。
7 05/27 反基地闘争と原水禁運動/立ち上がる人びと 沖縄で起こった島ぐるみ闘争や内灘闘争などの反基地闘争、ビキニ事件を契機とする原水禁運動について述べ、さらには、日本母親大会、部落解放運動、集団就職、小児麻痺/薬害/森永砒素ミルク事件、などさまざまな社会運動についてもみてゆきます。
8 06/10 大衆社会時代の幕開け 度重なる好景気により人びとの生活にゆとりができていくなかで広がっていった大衆文化をとりあげます。主婦論争、全盛時代を迎える映画、週刊誌の創刊などのさまざまな娯楽の開花、ミッチー・ブーム。それらを外観した上でいくつかテーマを絞り、大衆社会・文化の実相を述べたいと思います。
9 06/17 55年体制の成立と日米安保体制 戦後38年間の日本政治の枠組みとなった55年体制、ならびにそれを支える日米安保体制について述べます。保守合同、社会党の統一、財閥の復活、日ソ国交回復、日本の国連加盟、アジア諸国との国交回復、等を取りあげます。合わせて、日本共産党の六全協による方針転換とそれが運動に与えた影響についても論じます。
10 06/24 安保闘争と知識人 1960年の新安保条約締結をめぐり国論は二分されますが、岸内閣が衆議院での強行採決を行ったことによりデモ隊が国会を取り巻き安保闘争が全国に広がります。竹内好らの「民主か独裁か」の呼びかけや、清水幾太郎・丸山眞男、日高六郎らの知識人の声をとりあげなら、安保闘争について論じます。

ご受講に際して(持物、注意事項)

◆本講座は「日本史基礎講座」シリーズの現代通史の前半にあたり、2024年度秋学期「日本の現代」を続編とするものです。

備考

※講師都合により6/3は休講となります。補講は6/24に行います。

講師紹介

黒川 みどり
静岡大学名誉教授
博士(文学、早稲田大学)。専門分野は日本近現代史・思想史・部落史。主著に『共同性の復権―大山郁夫研究』(信山社)、『評伝 竹内好』(共著、有志舎)、『評伝 丸山眞男』(有志舎)、『描かれた被差別部落―映画のなかの自画像と他者像』(岩波書店)、『被差別部落認識の歴史』(岩波現代文庫)、『差別の日本近現代史』(共著、岩波現代全書)、『増補 近代部落史』平凡社ライブラリー)、『被差別部落に生まれて―石川一雄が語る狭山事件』(岩波書店)、『評伝 丸山眞男 その思想と生涯』(有志舎)など。これまでに早稲田大学・立教大学(現在)、東京大学、千葉大学等講師を務める。高校日本史教科書(実教出版)執筆。

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