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オンデマンド

【オンデマンド】親鸞VS.日蓮 全く異なるようで実は似ている二大巨人の思想と行動

  • 春講座

正木 晃(宗教学者)

コード 910501
定員 −名
単位数
会員価格 受講料 ¥ 19,800
ビジター価格 受講料 ¥ 19,800

目標

・思想も行動も全く異なると思われがちな親鸞と日蓮が、実は同じ時代を共有し、よく似た方向を目指していた事実を学ぶ。
・旧仏教と全く異なると思われがちな鎌倉(新)仏教が、実は旧仏教から絶大な影響を受け、旧仏教の存在なしでは成り立たなかった事実を学ぶ。
・以上の考察をへることで、親鸞と日蓮が日本の宗教史上に果たした功績を客観的に把握する。

講義概要

日本の仏教信仰は、親鸞を祖とする浄土真宗、ならびに日蓮を祖とする日蓮宗の二大信仰が主流を占める。ちなみに日蓮宗の場合、伝統教団の信者数は浄土真宗に全く及ばないが、創価学会や立正佼成会などの新宗教系教団を網羅すると、浄土真宗の信者数をはるかに超えて、日本最大の規模となる。親鸞の来世信仰や他力信仰は、日蓮の現実志向や自力信仰と全く異なる。また歴史を振り返るとき、浄土真宗と日蓮宗は鋭く対立し、暴力の応酬まであったことから、まったく異質と思われがちだ。しかし実はよく似ている事実を、宗祖の親鸞と日蓮の行動と思想から解明する。キーワードは同じ時代を共有する者が選び取った異なる道である。

各回の講義予定

講座内容
1 鎌倉時代の宗教状況 平安末期を経て鎌倉幕府が成立した頃から、日本の宗教界にも従来とは異質の動向が現れた。いわゆる「鎌倉(新)仏教」が登場し、布教の対象が民衆にまで広げられ、誰でも実践できる方法が開発された。ただし宗教界の圧倒的な主流はまだいわゆる旧仏教だった。その間の軋轢にさらされ、苦闘しながらも、親鸞や日蓮たちによって次の時代をになう仏教が模索されたのだ。
2 親鸞の生涯 親鸞の90年にも及ぶ生涯を振り返りつつ、彼が真に求めた救いとは何だったのか、考察する。師の法然との出会い、後鳥羽上皇による弾圧などを体験した親鸞は「主上臣下、法に背く」と主張し、権力者が正しい教えを弾圧するならば、徹底的に戦う道を志向することになる。
3 日蓮の生涯 日本仏教史上、最も過酷な弾圧にさらされた人物の一人が日蓮だった。その苦難は親鸞を遙かに上回る。そしてこの苦難がひるがえって、彼に現実改革の志向を選ばせた。ただし日蓮の本質は、よく言われるような激烈な行動家ではなく、むしろ緻密な学僧であり、この点で親鸞と共通する。
4 浄土経典と阿弥陀仏 インド仏教には来世信仰も他力信仰もなかった。ところが紀元後1-2世紀に突如、このタイプの信仰が出現し、その典型例として阿弥陀仏に対する帰依が始まった。阿弥陀仏とは何者か、極楽浄土とはいかなる場所か、無量寿経などから考察する。
5 法華経と永遠不滅の釈迦牟尼仏 インド仏教には人は誰でも仏になれるという思想も、永遠不滅の仏が存在するという思想もなかった。ところが法華経は「万人成仏」と永遠不滅の釈迦牟尼仏という思想を掲げて登場し、インドではほぼ無視されたものの、東アジアでは仏教の主流となった。インドでは無視された思想が東アジアでは主流になれたのはなぜか。これは考察に値する課題だ。
6 念仏(南無阿弥陀仏)VS.題目(南無妙法蓮華経) なぜ南無阿弥陀仏と称えれば、死後に極楽浄土へ往生できるのか。なぜ南無妙法蓮華経と唱えれば、現世において仏になれるのか。そして由来や効能において、念仏と題目は全く異なるのか、それとも実は似ているのか。
7 旧仏教(密教)からの影響 最近の研究によれば、親鸞も日蓮も旧仏教、とりわけ真言密教のから絶大な影響を受けていた事実が明らかになっている。しかも親鸞も日蓮も、同じように、覚鑁という密教僧の思想を学び、みずからの教学に取り入れた事実も明らかになっている。つまり鎌倉(新)仏教は旧仏教から多くを学びつつ、旧仏教では不可能だったより多くの人々の救済を模索したのだ。
8 教行信証(正信偈)と歎異抄 親鸞の真意を主著の教行信証を要約した正信偈から学ぶ。また「悪」にまつわる見解の相違が教行信証と歎異抄に見られる事実に注目し、親鸞の思想を深く理解するためには、歎異抄ではなく、教行信証を読み解く必要があることを指摘する。
9 立正安国論と観心本尊抄 日蓮の現実改革路線を立正安国論から、日蓮の独想的な法華経信仰を観心本尊抄から学ぶ。この二つの著作を理解できれば、日蓮の思想はおおむね把握できる。
10 現代の浄土真宗と日蓮宗教団 21世紀を迎えた今、浄土真宗も日蓮宗も、信者の高齢化や布教の不振が目立つ。思想面も停滞したままだ。その反面、伝統教団とは一線を画す団体が台頭している。この現状を踏まえ、浄土真宗と日蓮宗教団の今後を考察する。

ご受講に際して(持物、注意事項)

◆視聴期間は一般申込開始(2024/03/05)から学期終了翌月末(2024/07/31)までになります。一般申込開始(2024/03/05)以降はお申し込みいただけましたら視聴可能になります。
◆この講座は
 2023年度 秋期 「親鸞VS.日蓮」 (09/30〜12/16 土曜日、全10回)
 で開講した講座のアーカイブ講座になります。
◆途中映像音声の乱れるところがありますがご了承ください。
◆オンデマンド講座のため講義内容に関する質疑は受付けいたしかねます。あらかじめご了承お願いいたします。

講師紹介

正木 晃
宗教学者
1953年、神奈川県小田原市生まれ。筑波大学大学院博士課程修了。専門は宗教学(日本仏教・チベット仏教)。文献研究に留まらず、現地調査を実施しチベット・ヒマラヤ地域の調査は20回に及ぶ。高度でありながら誰でも理解できる仏教学を志向。著作は『「ほとけ」論』『現代日本語訳 法華経』など多数。

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