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オンデマンド

【オンデマンド】「ジプシー音楽」の過去と現在 リスト、バルトークから東欧演歌まで

  • 春講座

伊東 信宏(大阪大学教授)

コード 910403
定員 −名
単位数
会員価格 受講料 ¥ 11,880
ビジター価格 受講料 ¥ 11,880

目標

・音楽の歴史を批判的に捉える力を身につける。
・ロマ(ジプシー)の歴史を理解する。
・音楽と民族の関係について再考する。

講義概要

ロマ(ジプシー)は、ヨーロッパにおいて、古くから音楽に関係の深い民族として、しばしば伝説や説話の中で取り上げられ、舞台作品や音楽作品の題材ともなってきた。しかし、同時に厳しい差別の対象ともされ、過酷な現実にさらされてきた。さらに現在では、ロマの音楽や文化は、また新しい形で脚光を浴びている。つまり、ロマの音楽は、「民俗音楽」でもあり、いわゆる「クラシック」の歴史にも関係が深く、「大衆音楽」の一形態でもある。歴史的対象であると同時に現在的現象でもある。これらを多角的に考えながら、音楽について調べ、考える手法を学ぶ。

各回の講義予定

講座内容
1 「ジプシー音楽」とは何か 「ジプシー音楽」と言われても、あまりピンとこない、という方は多いかもしれませんが、実は「ジプシー音楽」は結構身近にあります。例えばCMや時代劇の音楽(ジプシー・キングス)。あるいは『昼下がりの情事』の音楽(「ジプシー・ワルツ」)。これらを示しながら、講義の全体を概観します。
2 なぜ「ジプシー音楽」は「ハンガリー音楽」と混同されたか 19世紀後半、西欧の人々はジプシー音楽とハンガリー音楽をあまり区別していませんでした。その混同を広めてしまったF・リストの「ハンガリアン・ラプソディ」について考えます。
3 バルトークがたどった道 リストが広めた誤解をハンガリー音楽の立場から正そうとしたバルトークは、ハンガリーの田舎で2万局もの民謡を採集し、それを自分の創造の基礎に据えようとしました。その足跡をたどります。
4 ラヴェルの「ツィガーヌ」 ラヴェルの作品「ツィガーヌ」(それはフランス語で「ジプシー」を表します)は、バルトークの仕事と潜在的に対立するものでした。その「偽物の美学」について考えます。
5 バルカンの村のロマ(ジプシー)のブラスバンド 映画『アンダーグラウンド』で有名になったバルカンの村のブラスバンドの担い手は主としてロマ(ジプシー)で、これも一種のジプシー音楽でした。上記のジプシー音楽との連続と断絶について考えます。
6 バルカンのポップフォーク 「ポップフォーク」とは民俗的な色合いを持つポピュラー音楽のことですが、バルカン半島では極めて人気があり、しかも多くがロマによって担われています。ブルガリアの「チャルガ」、セルビアの「ターボフォーク」、ルーマニアの「マネレ」などから現在における「ジプシー音楽」について考えます。

ご受講に際して(持物、注意事項)

◆視聴期間は一般申込開始(2024/03/05)から学期終了翌月末(2024/07/31)までになります。一般申込開始(2024/03/05)以降はお申し込みいただけましたら視聴可能になります。
◆この講座は
 2023年度 秋期 「「ジプシー音楽」の過去と現在」 (09/27〜11/01 水曜日、全6回)
 で開講した講座のアーカイブ講座になります。
◆途中映像音声の乱れるところがありますがご了承ください。
◆オンデマンド講座のため講義内容に関する質疑は受付けいたしかねます。あらかじめご了承お願いいたします。

講師紹介

伊東 信宏
大阪大学教授
1960年京都市生まれ。大阪大学文学部、同大学院を経て、ハンガリーに留学。リスト音楽大学、ハンガリー科学アカデミー音楽学研究所などで研究を行う。大阪教育大学助教授などを経て大阪大学人文究科教授(音楽学)、中之島芸術センター長。著書に『バルトーク』(中公新書、1997年、吉田秀和賞)、『中東欧音楽の回路:ロマ・クレズマー・20世紀の前衛』(岩波書店、2009年、サントリー学芸賞)、『東欧音楽夜話』(音楽之友社、2021年)など。編著に『東欧演歌の地政学』(アルテス、2023年)、訳書に『バルトーク音楽論選』(太田峰夫と共訳、ちくま学芸文庫、2018年)、『月下の犯罪』(講談社選書メチエ、2019年)など。
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