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【オンデマンド】古代ローマへのいざない

  • 春講座

宮城 徳也(早稲田大学教授)

コード 910302
定員 −名
単位数
会員価格 受講料 ¥ 11,880
ビジター価格 受講料 ¥ 11,880

目標

・後世のヨーロッパ世界の枠組みをつくった「古代ローマ」について整理、紹介します
・「都市」と「芸術」の観点から、「古代ローマ」を考えます
・「共和政ローマ」と「ローマ帝国」の世界史的意義を「古代ギリシア」との比較を通して考察します

講義概要

古代ローマは紀元前753年に建国されたという伝説を持ち、村落国家から地中海周辺の広域を支配する大帝国に成長し、この大きな器の中で、キリスト教という宗教が発展したことと相まって、後世のヨーロッパ世界の枠組みを作りました。日本が欧米文化の影響を受けている以上、欧米文化の基礎となっている古代ローマの文明と文化は、直接、間接に現代日本に影響を与えています。その影響は選挙制度、政治制度に及びますが、本講座では文化、芸術を含む都市文化に焦点をあて、そこから古代ローマが持つ現代的意義を考察します。今回は、特にアテネを中心とする「ギリシア」の都市文化の影響を両都市の比較を通して整理し、ローマの持つ世界史的意義を考えます。

各回の講義予定

講座内容
1 ローマと古代ギリシアの歴史比較 古代ローマを考える上で、古代ギリシアの影響を無視することはできません。ともに長い先史時代を持ち、文字資料から遡ることができる歴史の始りは紀元前8世紀と考えられます(伝説上のローマ建国が753年、記録上の第一回のオリュンピア競技会が776年)が、それぞれ独自の発展を遂げ、先行して栄え、さらに南イタリアにも勢力圏を広げたギリシア人の影響を直接、間接に受けながら、ローマがイタリア、西地中海世界を統一して、ヘレニズム時代後期のギリシア人王朝を併合して、地中海世界を統一する過程だけでなく、「帝国」化したローマにおいてもギリシアの影響があったことを整理、考察します。
2 都市の成り立ちと構造 ローマとアテネ 都市ローマの成立はあくまでも伝説的で不明な点が多いとはいえ、建国者ロムルスから数えて五代目の王タルクィニウス・プリスクスが、フィルヘレニズム(ギリシア愛好の精神)を通してギリシアの影響を受けたエトルリアを出自とするばかりでなく、父もコリントス人であったとされ、ここにはローマの都市形成の過程で、エトルリアとギリシアの影響を受けたことが示唆されている。都市の建設から始まって、古代後期にいたるまでの都市ローマの歴史を、ギリシアを代表する都市であったアテネとの比較を通して考察します。
3 ローマ文学とギリシア文学 軍事国家として出発した古代ローマでは文学の発展が遅れていましたが、ヘレニズム時代のギリシア世界と接することにより、大衆の娯楽としての演劇、民族のアイデンティティーを形成する上で重要な叙事詩を中心にギリシア文学の影響を受けた作家たちが輩出し、前古典期から古典期にかけて「ローマ文学」が栄え、これらは後世のヨーロッパ文学に多大な影響を与えています。ギリシア文学の影響を受けながらも独自性を失うことなく、すぐれた作品を多く生み出したローマ文学の生成と発展を考察します。
4 ローマ芸術とギリシア芸術1 建築 有名なパルテノン神殿が現存するアテネのアクロポリスの丘周辺の古代都市の遺構と、ローマに残る「フォロ・ロマーノ」を比較するだけでも、海外領土を広げ、「帝国」化したローマの建築が、ギリシアの影響を受けていることは明らかですが、アーチ技術やコンクリート工法をエトルリアから引き継ぐことにより、ギリシア古典期とは異なるローマの独自性をも発揮しています。神殿建築、公共建築、広場の在り方について、ローマとアテネの比較を、ポンペイ、ヘルクラネウム、オスティアなどの古代イタリア都市も参考にしながら、整理、考察します。
5 ローマ芸術とギリシア芸術2 彫刻と絵画 名のあるギリシア彫刻家の作品の多くはローマ時代の模刻で伝わっていますが、古典期のギリシアやヘレニズム時代のオリジナル作品もあります。もちろん、ローマ時代の彫刻もあり、これらと、陶器画、エトルリアやポンペイのフレスコ画、モザイクを通して、ギリシア、ローマの視覚芸術(彫刻,絵画など)の比較から、古代美術とその歴史的背景を考えることが可能です。視覚芸術に焦点をあて、ローマが受けたギリシアの影響と独自性について考えます。
6 キリスト教の成立と発展に見られるギリシア語の役割とラテン語 ヨーロッパ世界を支える二大思潮がヘレニズムとヘレニズムとされ、前者は古代ギリシアに淵源を持ち、後者はキリスト教の母体となったユダヤ教の精神を背景と強いて、全く性質を異にするものと考えられています。確かにその通りですが、キリスト教(「キリスト」はギリシア語であり、『新約聖書』はギリシア語で書かれました)の成立とローマ帝国内での発展には、ヘレニズムの精神が影響したことは間違いがなく、そこに大きく影響した二つの言語、古代ギリシア語とラテン語の特徴と関係性を考察します。

ご受講に際して(持物、注意事項)

◆視聴期間は一般申込開始(2024/03/05)から学期終了翌月末(2024/07/31)までになります。一般申込開始(2024/03/05)以降はお申し込みいただけましたら視聴可能になります。
◆この講座は
 2023年度 秋期 「古代ローマへのいざない」 (10/20〜12/08 金曜日、全6回)
 で開講した講座のアーカイブ講座になります。
◆途中映像音声の乱れるところがありますがご了承ください。
◆オンデマンド講座のため講義内容に関する質疑は受付けいたしかねます。あらかじめご了承お願いいたします。

講師紹介

宮城 徳也
早稲田大学教授
1958年岩手県生まれ。京都大学博士後期課程研究指導修了による退学。博士(文学、京都大学)。専門分野は西洋古典学。主な著書として『ギリシャ・ローマ文学必携』(早稲田大学文学部 / トランスアート、2006)などがある。
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