ジャンル 文学の心

オンデマンド

【オンデマンド】小説で読む現代中国百年 魯迅と日本文学

  • 春講座

藤井 省三(東京大学名誉教授、名古屋外国語大学教授)

コード 910104
定員 −名
単位数
会員価格 受講料 ¥ 9,900
ビジター価格 受講料 ¥ 9,900

目標

・魯迅が夏目漱石、森鷗外、芥川龍之介から受けた影響を読みましょう。
・魯迅が太宰治、村上春樹に与えた深い影響を考察しましょう。

講義概要

魯迅(ルーシュン、1881-1936)は明治・大正の日本文学から大きな影響を受けております。その日本文学の中から夏目漱石『坊つちやん』、森鷗外「舞姫」、芥川龍之介「毛利先生」を選んで、魯迅作品「阿Q正伝」、「愛と死(原題:傷逝)」、「孔乙己」における受容を読み解きます。
そのいっぽうで、魯迅は昭和・平成の日本文学に大きな影響を与えてきました。太宰治の魯迅を主人公とする長篇小説『惜別』、村上春樹の父の日中戦争従軍体験を描いた『猫を棄てる』と魯迅の自伝体小説「藤野先生」「父の病」とを対比してみましょう。

各回の講義予定

講座内容
1 夏目漱石『坊つちやん』と魯迅「阿Q正伝」 孤独で名前を持たない「坊っちゃん」から魯迅が“精神的勝利法”の名人阿Qを創造し、中国国民性批判を展開して行く過程を読みましょう。(テキスト第1章「夏目漱石と魯迅」)
2 森鷗外「舞姫」と魯迅「愛と死(原題:傷逝)」 「愛と死」は魯迅唯一の恋愛小説です。語り手が異郷の町で出会った女性と恋愛し同棲するものの彼女を裏切り、懺悔の文を書くという構造において、森鷗外「舞姫」に通じるものがあります。両作の影響関係を、アメリカ・サイレント喜劇映画等の補助線を引きながら考察しましょう。(テキスト第2章「森鷗外と魯迅」)
3 芥川龍之介「毛利先生」と魯迅「孔乙己」 旧制中学英語教師の毛利先生と科挙の万年落第生の孔乙己は共に着古した礼服を纏い、異様な言語を話し、そして物語の語り手は先生/先輩を嘲笑したことを後に後悔しますが・・・・魯迅最初の本格的近代小説成立の意義を、芥川を手掛かりに考えてみましょう。(テキスト第3章「芥川龍之介と魯迅Ⅰ」)
4 魯迅「藤野先生」と太宰治『惜別』 太宰は太平洋戦争末期に仙台留学時代の魯迅を主人公とする青春小説『惜別』を書き上げています。戦後の『斜陽』『人間失格』と「阿Q正伝」との影響関係も視野に入れて太宰と魯迅との影響関係を考察しましょう。(テキスト第6章「魯迅と太宰治」)
5 魯迅「父の病」と村上春樹『猫を棄てる』 臨終の父を前にしてその死を願ったと語る魯迅は、罪を背負って歩み続けて行きました。そして村上は日本古典文学者であり僧侶でもあった父の戦場での罪を凝視しつつ文学活動を続けております。深い因縁で結ばれた魯迅・村上文学における父・罪のテーマを読みましょう。(テキスト第8章「魯迅と村上春樹」ほか)

ご受講に際して(持物、注意事項)

◆視聴期間は一般申込開始(2024/03/05)から学期終了翌月末(2024/07/31)までになります。一般申込開始(2024/03/05)以降はお申し込みいただけましたら視聴可能になります。
◆この講座は
 2023年度 秋期 「【対面+オンラインのハイブリッド】小説で読む現代中国百年」 (11/18〜12/16 土曜日、全5回)
 で開講した講座のアーカイブ講座になります。
◆途中映像音声の乱れるところがありますがご了承ください。
◆オンデマンド講座のため講義内容に関する質疑は受付けいたしかねます。あらかじめご了承お願いいたします。

テキスト

テキスト
藤井省三『魯迅と日本文学』(東京大学出版会)(ISBN:978-4130830669)

講師紹介

藤井 省三
東京大学名誉教授、名古屋外国語大学教授
名古屋外国語大学図書館長、早稲田大学講師(2004―2022年度)、東大名誉教授。海外では南京大学海外人文資深教授等を務める。専門分野は現代中国大陸・香港・台湾・シンガポールの文学と映画。著書に『村上春樹と魯迅そして中国』(早稲田新書)、『魯迅と日本文学』(東大出版会)『中国映画 百年を描く、百年を読む』(岩波書店)などがある。

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