ジャンル 文学の心

オンデマンド

【オンデマンド】源氏物語「竹河」巻を読み直す

  • 春講座

高橋 麻織(椙山女学園大学准教授)

コード 910103
定員 −名
単位数
会員価格 受講料 ¥ 11,880
ビジター価格 受講料 ¥ 11,880

目標

・『源氏物語』「竹河」巻を政治の物語として読み解く
・平安時代の貴族社会の常識(政治・習慣・制度)について理解する

講義概要

『源氏物語』「竹河」巻は光源氏の死後を描く続編の物語で、鬚黒大臣が亡くなり、未亡人となった玉鬘の二人の娘の結婚をめぐる苦悩が、薫や蔵人少将との恋の関わりとともに語られています。玉鬘の娘の結婚は、なぜ失敗に終わったのでしょうか。平安時代の常識を踏まえ、摂関政治の論理から「竹河」巻を政治的に読み解きます。

各回の講義予定

講座内容
1 先行研究と巻頭の草子地―「ひがごと」とは何か 「竹河」巻は、巻頭にある「悪御達」の語り手や、夕霧の官位の矛盾、薫や冷泉院の人物造型が他巻とは異なるなど、さまざまな問題をはらみます。「悪御達」の言う「ひがごと」とは何か、先行研究を把握しつつ、考えてみましょう。
2 玉鬘の二人の娘の求婚譚―大君の求婚者たち 玉鬘の娘・大君の求婚者が紹介されます。まず、今上帝、冷泉院、そして夕霧の息子・蔵人少将が続きます。夕霧は年賀の挨拶に玉鬘邸を訪れ、大君の結婚相手の相談をします。夕霧と玉鬘の駆け引きは、互いの腹を探り合う心理戦、その本心を暴きます。
3 玉鬘邸における薫と蔵人少将―柏木物語との関連性 玉鬘は薫の和琴の音色が亡き致仕大臣のそれに似通うこと、また薫の容貌が亡き柏木と似ていることに言及します。そして、蔵人少将は満開の桜のもと、二人の姫君を垣間見します。その様子は、女三の宮を垣間見て恋に落ちた柏木に重なるなど、正編との密接な関連性が見られます。
4 大君の冷泉院参院―「御気色よろしからず」 大君の冷泉院参院が決定します。なおも諦められない蔵人少将には、明らかに柏木の造型が投影されています。一方、大君は冷泉院から愛されますが、事態は思わぬ方向に進みます。大君入内を要請していた今上帝の機嫌を損ね、玉鬘は息子たちから責められます。そんな中、大君は懐妊します。
5 大君の出産と中の君の入内―孤立する大君 大君は冷泉院の女二の宮を出産します。これにより、玉鬘の異母妹である弘徽殿女御との間に不穏な空気が流れます。弘徽殿女御は冷泉院に唯一の子である女一の宮の生母でした。玉鬘は、今上帝の不快を解消すべく、大君の代替として中の君を入内させます。
6 大君男宮出産―喪失感に満ちた巻末 続いて大君は男宮を出産します。弘徽殿女御らの嫉妬は高まり、大君は孤立します。夕霧や薫、蔵人少将らが順調に昇進する中、玉鬘の息子たちは参議にさえなれません。結局、二人の娘の結婚は、関係者全員が不満をもらす結果に終わりました。玉鬘はどうすべきだったのでしょうか。

ご受講に際して(持物、注意事項)

◆視聴期間は一般申込開始(2024/03/05)から学期終了翌月末(2024/07/31)までになります。一般申込開始(2024/03/05)以降はお申し込みいただけましたら視聴可能になります。
◆この講座は
 2023年度 秋期 「源氏物語「竹河」巻を読み直す」 (10/02〜12/11 月曜日、全6回)
 で開講した講座のアーカイブ講座になります。
◆途中映像音声の乱れるところがありますがご了承ください。
◆オンデマンド講座のため講義内容に関する質疑は受付けいたしかねます。あらかじめご了承お願いいたします。

講師紹介

高橋 麻織
椙山女学園大学准教授
岐阜県生まれ。博士(文学)。専門分野は、平安時代の文学作品。著書『源氏物語の政治学―史実・准拠・歴史物語―』(笠間書院、2016年)、第19回紫式部学術賞(2018年)受賞、第14回全国大学国語国文学会賞(2019年)受賞。
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