ジャンル 文学の心

オンデマンド

【オンデマンド】ジェイムズ・ジョイス『ユリシーズ』を読む(第1〜6挿話)

  • 春講座

小林 広直(東洋学園大学 准教授)

コード 910101
定員 −名
単位数
会員価格 受講料 ¥ 11,880
ビジター価格 受講料 ¥ 11,880

目標

・ジェイムズ・ジョイスおよび『ユリシーズ』(1922)の第1〜第6挿話の読みどころを概観する
・難解と名高い『ユリシーズ』ではあるが、21世紀を生きる私たちの「生」に連なり、重なり合っていることを確認する
・翻訳を用いても海外文学を「味読」することができることを体験する(もちろん英語原文で読める方も大歓迎です)

講義概要

20世紀で最も優れた小説(の1つ)と称される、ジェイムズ・ジョイスの『ユリシーズ』は、2022年2月2日に出版100周年を迎えました。独力ではなかかな読み通すことの難しい本作品を、ぜひ一度紐解いてみましょう。英語で書かれたこの小説がなぜ「アイルランド文学」を代表する作品と言えるのか、そして、超絶的に(?)難解であると名高いこの作品を今読むことの意義は何か――以上2点の問いを念頭に置きながら、本講座では『ユリシーズ』第1〜第6挿話を各回で1挿話ずつ(適宜原文を参照しながら)その読みどころを解説いたします。
※講義では基本的に日本語訳を用いますので、英語が苦手な方でもご参加いただけます。

各回の講義予定

講座内容
1 第1挿話 テレマコス 1904年6月16日(木)朝8時、物語はダブリン郊外のマーテロ塔から始まります。主人公スティーヴン・デダラス(22歳)は1904年当時の作者ジョイスをモデルにしていますが、彼はなぜ「テレマコス」に擬えられているのか、「二人の主人」とは誰か、そして「内心の呵責」とは? 作者ジョイスの略年、さらには1904年のアイルランドの歴史的状況(コロニアル・アイルランド)を踏まえつつ、第1挿話を読み解きます。
2 第2挿話 ネストル 芸術家志望のスティーヴンは、裕福な家庭が多く集まるドーキーにある私立学校で、臨時講師をしています。彼は子どもたちにローマ史を教えながら、歴史の「可能性」に想いを馳せるのですが、その後給料をもらうために、ディージー校長(老賢人「ネストル」に対応)と会話をする中で、スティーヴンは歴史を「悪夢」に擬えます。あり得たはずの歴史と悪夢としての歴史――その2つを念頭に置いて、第2挿話を読み解きます。
3 第3挿話 プロテウス サンディマウントの海岸を歩くスティーヴンの思索、回想、想像を扱った、『ユリシーズ』の中でも最も難解と称される挿話です。彼の想念は、変幻自在に姿を変える、ポセイドンの従者、「プロテウス」に擬えられます。スティーヴンはここで何を想い、そして何に出遭うのか。己の姿を見定めようとする彼の苦心と、身代わりに死ぬかのような溺死した犬のイメジャリーを手掛かりに、第3挿話を読み解きます。
4 第4挿話 カリュプソ 物語は唐突に午前8時に戻り、『ユリシーズ』のもう1人の主人公、レオポルド・ブルーム(38歳)の朝食の準備の場面を描きます。ベッドでまどろむ妻モリー(33歳)――ニンフであるカリュプソーに対応――に配達されたばかりの手紙と朝食を甲斐甲斐しく運び、彼自身は15歳になったばかりの娘から届いた手紙を読みながら朝食を食べます。何気ない朝の風景から、この夫妻に訪れつつある出来事の兆候を第4挿話から読み解きます。
5 第5挿話 食蓮人たち 家を出たブルームが向かったのは、リフィー川南側の郵便局。彼は偽名を使ってマーサという女性と文通をしているのでした。その後、あまり親しくない知人に話しかけられたり、高架下で新聞に隠してこそこそ手紙を読んだり、その証拠を隠すために教会のミサに参列したり……特段何も起こらない、ある意味では非常に退屈なこの挿話はなぜ「食蓮人たち」と呼ばれているのか。ジョイスが言うところの「麻痺」を鍵語に、第5挿話を読み解きます。
6 第6挿話 ハデス 『ユリシーズ』前半の白眉とも言えるこの挿話は、ブルームが知人たちと共に、先ごろ亡くなったディグナムの葬儀へと向かう、馬車での会話から始まります。ユダヤ系であるため、彼は他の男たち3人(そのうちの1人はスティーヴンの父、サイモン)からは幾分疎外されていますが、墓地に到着後の後半部では、葬儀の様子を冷めた目で見つめながら展開するブルームの奇想が炸裂します。冥界の支配者「ハデス」に擬えられるのは誰か――ダブリン社会におけるブルームの立場を活写した第6挿話を読み解きます。

ご受講に際して(持物、注意事項)

◆視聴期間は一般申込開始(2024/03/05)から学期終了翌月末(2024/07/31)までになります。一般申込開始(2024/03/05)以降はお申し込みいただけましたら視聴可能になります。
◆この講座は
 2023年度 秋期 「ジェイムズ・ジョイス『ユリシーズ』を読む(第1〜6挿話)」 (09/30〜12/09 土曜日、全6回)
 で開講した講座のアーカイブ講座になります。
◆途中映像音声の乱れるところがありますがご了承ください。
◆オンデマンド講座のため講義内容に関する質疑は受付けいたしかねます。あらかじめご了承お願いいたします。

講師紹介

小林 広直
東洋学園大学 准教授
1983年埼玉県生まれ。早稲田大学文学研究科博士課程修了(博士)。早稲田大学文学学術院英文学コース助手、日本学術振興会特別研究員(PD)を経て現職。専門分野は、ジェイムズ・ジョイスを中心としたアイルランド文学。著書に『ジョイスの罠』(共著、言叢社、2022)、『ジョイスへの扉』(共著、英宝社、2019)、『ジョイスの迷宮』(共著、言叢社、2016)、『ジョイスの罠』(共著、言叢社、2016)などがある。現在、『ダブリナーズ』全15篇を3年かけて読破するオンライン読書会Deep Dubliners(https://www.stephens-workshop.com/deep-dubliners/)を主催している。
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