ジャンル 日本の歴史と文化
中野校
幕末日本の海軍建設―幕府海軍の興亡
金澤 裕之(防衛大学校准教授)
曜日 | 水曜日 |
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時間 | 10:40~12:10 |
日程 |
全5回
・05月15日 ~
06月12日 (日程詳細) 05/15, 05/22, 05/29, 06/05, 06/12 |
コード | 310216 |
定員 | 24名 |
単位数 | 1 |
会員価格 | 受講料 ¥ 14,850 |
ビジター価格 | 受講料 ¥ 17,077 |
目標
・幕府海軍を事例に近世から近代への連続性/断絶性を理解する。
・時間軸と空間軸を交差させ、立体的な歴史像を描く。
・個別の事象をより包括的な概念のなかで相対化して捉える。
講義概要
幕末を舞台にした小説、ドラマなどには江戸幕府の海軍(幕府海軍)や勝海舟、榎本武揚といったこれに連なる人々がよく登場しますが、軍事組織としての幕府海軍の活動実態は意外と知られていません。この講座では幕府海軍を事例に日本における近代海軍建設の過程を追いながら、江戸から明治への連続性と断続性、海軍力という包括的な軍事概念からみた幕末海軍の意義、19世紀後半の国際社会と幕末日本の関係などについてみていきます。歴史を単に昔の出来事としてのみ捉えるのではなく、今を生きる私達に示唆を与えるものとしてどう捉えるか、人生経験豊富な受講者の皆さんの御知見も伺いながら一緒に考える講座にしたいと考えています。
各回の講義予定
回 | 日程 | 講座内容 | |
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1 | 05/15 | 西洋の衝撃 | 19世紀東アジア世界への西洋列強の進出、いわゆる「西洋の衝撃」へのリアクションとして日本で海軍創設の気運が高まっていく経緯をみていくと同時に、そもそも海軍とはいかなる軍事力なのか、現代にあって幕末海軍に注目する意義は何かを考えていきます。 |
2 | 05/22 | 海軍創設 | 日本初の近代海軍教育である長崎海軍伝習、「咸臨丸」の太平洋横断航海、さまざまな実動任務を経て急速に成長する一方、文久の改革で海軍建設計画が頓挫するなどこの時期に幕府海軍が経験した成功と挫折を例に、幕末期における近世と近代の桎梏について考えていきます。 |
3 | 05/29 | 動乱期の海軍 | 創設された海軍が初めて本格的な実戦に投入された幕長戦争(長州征討)、将軍徳川慶喜主導で行われた慶応の改革を経て幕府海軍が近代化を進めていく過程をみながら、海軍建設を通じた外国からの技術導入、武器移転などの視点から、19世紀国際社会のなかで幕末日本を相対化させて考えていきます。 |
4 | 06/05 | 幕府海軍の終焉 | 大政奉還、王政復古、鳥羽・伏見の戦いによる徳川政権の崩壊に伴い幕府海軍が解体され、さらに旧幕府海軍を率いる榎本武揚が箱館戦争に敗れたことで幕府海軍が名実ともに終焉していく過程をみながら、箱館戦争を軍事史的な観点で考察していきます。 |
5 | 06/12 | 江戸から明治へ | 明治維新によって創設された新政府海軍は全てがゼロからスタートしたわけではなく、人的資源、艦船、施設などさまざまな面で幕府海軍の遺産を継承しており、いわゆる「薩摩の海軍」以外の要素も数多くあったという観点から、人材、装備、制度などを例に近世から近代への連続性と断続性について考えていきます。 |
ご受講に際して(持物、注意事項)
◆参考図書:金澤裕之著『幕府海軍』(中央公論新社)をお読み頂くとより理解が深まります。
講師紹介
- 金澤 裕之
- 防衛大学校准教授
- 1977年東京都生まれ。慶應義塾大学文学部卒業。防衛大学校総合安全保障研究科後期課程修了。博士(安全保障学)。2等海佐。防衛省防衛研究所戦史研究センター所員、防衛省海上幕僚監部基地対策班員などを経て現職。専門分野は明治維新史。日本の近代海軍建設過程を中心に研究している。著書に『幕府海軍の興亡』(慶應義塾大学出版会、2017年。第3回猪木正道賞受賞)、『幕府海軍』(中公新書、2023年)など。慶應義塾福澤研究センター客員所員。