ジャンル 現代社会と科学
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戦時期の日本の女性―「パーマネント大流行?」その背景を探る
飯田 未希(立命館大学教授)
曜日 | 月曜日 |
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時間 | 13:00~14:30 |
日程 |
全3回
・05月13日 ~
06月10日 (日程詳細) 05/13, 05/27, 06/10 |
コード | 710765 |
定員 | 30名 |
単位数 | 1 |
会員価格 | 受講料 ¥ 8,910 |
ビジター価格 | 受講料 ¥ 10,246 |
目標
・戦時期の日本の女性たちにパーマネントなど西洋的な髪形が流行したのはなぜか。
・日本の近代化・西洋化の中で、女性の外見や経済的自立という問題はどのように捉えられてきたのか。
・髪結や美容師など、当時の女性の髪形の流行を作りだす女性職業者はどのような社会的地位にあったのか。
・流行を作り出す側と作られる側の両者の関係から女性の外見と近代化の問題を考察します。
講義概要
戦時中の日本で女性たちの間にパーマが流行していたと言ったら奇異に思われるかもしれない。しかしパーマネント排斥運動があったにも関わらず、実際にはパーマを求めて女性たちは美容院の前に行列していた。この講座ではパーマネントという女性の髪形を手がかりに、女性の外見と経済的自立、自由への希求について考えたいと思っている。そして女性たちにとって近代化・西洋化とはどのような経験だったのかを考えてみたい。さらに髪結いから美容師へという女性職業者の流れを追うことで、女性たちにとって経済的自立の問題と外見の問題が戦時期にいかに強く結びつくようになったかを考えたい。
各回の講義予定
回 | 日程 | 講座内容 | |
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1 | 05/13 | 近代化と女性の外見の変化 | ※以下の予定は講義の進行状況により多少前後する場合があります。予めご了承ください。 戦時期日本のパーマの流行を考えるためには、そもそも女性たちが社会の近代化・西洋化の中でどのような髪形や服装をしていたのかを理解する必要がある。明治から昭和前期にかけて、女性たちの髪形や服装は社会的地位の表象としての側面と「ファッション」=美としての側面の間を揺れ動いていた。女性たちにとって外見はどのような意味を持っていたのかを髪形の変化を手がかりに考えてみよう。 |
2 | 05/27 | 髪結から美容師へ ― 女性職業者の系譜 | 戦前、戦中の日本では女性の髪形を扱う美容業者はほとんど女性であった。明治末から大正期にかけて流行を作り出すカリスマ的な髪結が登場し髪結は人気商売となった。昭和初期から活躍するようになった美容師は髪結が獲得した職業者としての高い評価をそのまま引き継ぐことができた。当時の髪結や美容師の人気という観点から、女性客と美容業者との関係、そして美容を通じて形成された女性文化について考えたい。 |
3 | 06/10 | 外見の「自由」と経済的自立による「自由」の関係について | 日中戦争が始まり総動員体制が強化された昭和前期は、参政権運動に敗れた女性リーダーたちが女性の社会参加を再度強く求めるようになっていた。このような中で中流層の未婚女性たちも働きに出るようになり、「活動的」であり同時に「美しい」髪形を女性たちが強く求めるようになった。戦時期の女性たちのパーマネントへの関心の高さは、女性たちの経済的自立を求める流れの中に位置づけることで理解できるのではないだろうか。またそのような女性たちの要求に美容業者がどのように応えたのかも考えたい。 |
ご受講に際して(持物、注意事項)
◆休講が発生した場合の補講は、6月24日(月)に行います。
◆Zoomウェビナーを使用したオンライン講座です。
◆お申込みの前に必ず「オンラインでのご受講にあたって」をご確認ください。
◆本講座の動画は、当該講座実施の翌々日(休業日を除く)17:30までに公開します。インターネット上で1週間のご視聴が可能です。視聴方法は、以下をご確認ください。
【会員】授業動画の視聴方法(会員向け)
【ビジター・法人会員】授業動画の視聴方法(ビジター・法人会員向け)
講師紹介
- 飯田 未希
- 立命館大学教授
- アメリカで女性学と社会学を学びました。(女性学修士、社会学博士)現在は立命館大学でジェンダー史を研究しています。最近は特に日本の戦時期の女性たちの(現在から見ると)意外な行動に心惹かれています。主著は『非国民な女たち 戦時下のパーマとモンペ』(中央公論新社)など。