ジャンル 人間の探求

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脳機能研究の最先端 脳はどこまでわかっているのか?

  • 春講座

櫻井 芳雄(京都大学名誉教授)

曜日 金曜日
時間 13:00~14:30
日程 全6回 ・05月10日 ~ 06月14日
(日程詳細)
05/10, 05/17, 05/24, 05/31, 06/07, 06/14
コード 710535
定員 40名
単位数 1
会員価格 受講料 ¥ 17,820
ビジター価格 受講料 ¥ 20,493

目標

・脳とその情報処理の特性を理解する
・脳に関する迷信に惑わされないようになる
・脳の病気と障がいについて正しく理解する

講義概要

本講義は、雑多な情報が溢れる「脳」について、最新の知見に基づき正しく理解していただくことをめざします。まず脳の情報処理の実態について、特に神経回路内の信号伝達が確率的であることに焦点を当て、その短所と長所を紹介し、脳がAI(人工知能)と本質的に異なる理由も解説します。また、脳の情報処理の例として視覚と記憶を取り上げ、研究の現状を紹介します。脳にまつわる様々な迷信についても随時取り上げ、それらが迷信である理由を説明します。最後に、自閉症、うつ病、統合失調症、認知症などの脳の病気や障がいについて、その原因と治療法に関する最新の知見を紹介し、また、脳が持つ独特の回復力(可塑性)についても解説します。

各回の講義予定

日程 講座内容
1 05/10 脳の情報処理と特性 − 機械とどう違うのか? 脳はどのような物体なのか? どのように情報を処理しているのか? 機械(コンピュータ)とどう違うのか? これらの問題について、最新の研究成果を示しながら解説します。また、人がまちがえる理由も、神経回路内の信号伝達の特性から解説し、実はまちがえることには利点があることも紹介します。さらに、脳の活動を見ればその人の心がわかるという宣伝が、現時点では虚偽である理由も説明します。
2 05/17 視覚の形成と変化 − 見ている世界は真実か? 脳の情報処理の例として、比較的研究が進んでいる視覚を取り上げ、信号伝達の経路と、最終的に視覚を形成する方法について、最新の研究成果を示しながら解説します。また、視覚がいかに変化しやすいか、また視覚を人工的に生成可能かについても解説します。さらに、ふだん右脳と左脳が異なる働きをしているという考えがほぼ迷信であることも、具体的な理由を挙げ説明します。
3 05/24 記憶の実態と個性 − 消えない記憶は有用か? 脳の情報処理の例として記憶を取り上げ、記憶が脳のどこで作られるのか、また神経回路にどのような変化を引き起こすのかついて、研究の歴史も踏まえ、最新の研究成果と共に解説します。また、記憶が不正確であることには意味があり、そこから高次機能が生まれることを紹介します。さらに、記憶の形成には個性があること、そして脳はそもそも個性的であることを解説し、男性脳と女性脳に分けることには意味がないことも説明します。
4 05/31 意識と自由意思 − 脳の研究で解明できるのか? 究極の高次機能として意識と自由意思を取り上げ、それらを脳の研究で解明するための方法および研究の現状について解説します。意識は脳の情報処理のどの段階で生じるのか、動物にも意識はあるのか、機械も意識を持ち得るのか、自由意思は脳のどこから生じるのか、脳はどのように意思決定しているのかなどについて、実験例を示しながら解説します。
5 06/07 脳の故障と回復 1 − 自閉症、強迫神経症、うつ病、新たな治療法 脳の障がいと病気の例として、自閉症、強迫神経症、うつ病を取り上げ、それらの原因と脳で起きている現象について、現時点でわかっていることとわかっていないことを正確に踏まえた上で解説します。また現在可能な治療法と予防法も紹介し、特に新たな治療法である脳刺激法や神経活動の条件づけについて、実験例を示しながら解説します。
6 06/14 脳の故障と回復 2 − 統合失調症、認知症、脳の回復力 脳の病気の例として、統合失調症と認知症を取り上げ、それらの原因と脳で起きている現象について、現時点でわかっていることとわかっていないことを正確に踏まえた上で解説します。また現在可能な治療法と予防法も紹介し、さらに、脳の障がいや病気から回復する力につながる独特の機能代償と可塑性について、実例を示しながら解説します。

ご受講に際して(持物、注意事項)

◆3/15(金) 11:00より本講座の無料体験講座を実施します。
◆無料体験講座お申込みはこちらから。https://www1.ex-
waseda.jp/online/
「無料体験講座」をクリックし、「絞り込み」をクリックしてください。


◆脳科学に関する予備知識がなくても受講可能です。文系・理系も関係ありません。
◆講義全体に関係する参考図書として『まちがえる脳』(櫻井芳雄著 岩波新書 2023年刊 ISBN:978-4004319726)を薦めます(必須ではありません)。
◆休講が発生した場合の補講日は6月21日(金)を予定しています。
◆Zoomウェビナーを使用したオンライン講座です。
◆お申込みの前に必ず
「オンラインでのご受講にあたって」
をご確認ください。
◆お申込みいただいた有料講座の動画は、当該講座実施の翌々日(休業日を除く)17:30までに公開します。インターネット上で1週間のご視聴が可能です。視聴方法は、以下をご確認ください。
【会員】授業動画の視聴方法(会員向け)
【ビジター・法人会員】授業動画の視聴方法(ビジター・法人会員向け)

備考

無料体験会での本講座の様子を公開しました。5分程度の動画です。
再生すると音が出ます。視聴の際はご注意ください。

講師紹介

櫻井 芳雄
京都大学名誉教授
京都大学大学院文学研究科博士課程中退。広島大学総合科学部助手、富山大学医学部助教授、生理学研究所客員助教授(併任)、京都大学文学研究科教授、同志社大学脳科学研究科教授などを歴任。専門は行動神経科学。医学博士。主な著書に『脳と機械をつないでみたら』(岩波書店)などがある。2023年出版の『まちがえる脳』(岩波新書)で第77回毎日出版文化賞を受賞。
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