ジャンル 芸術の世界

中野校

シュルレアリスム美術を読み解く―デ・キリコからダリまで

  • 春講座

長尾 天(早稲田大学講師)

曜日 月曜日
時間 10:40~12:10
日程 全5回 ・05月20日 ~ 06月17日
(日程詳細)
05/20, 05/27, 06/03, 06/10, 06/17
コード 310409
定員 24名
単位数 1
会員価格 受講料 ¥ 14,850
ビジター価格 受講料 ¥ 17,077

目標

・シュルレアリスムについての基本的知識を身につける。
・ある程度難解な絵画を解釈する力を身に着ける。
・シュルレアリスム美術がはらむ問題系を理解した上で、これを解釈することの意味を考えることができる。

講義概要

20世紀最大の芸術運動とも称されるシュルレアリスム(超現実主義)は、詩人アンドレ・ブルトンによる『シュルレアリスム宣言・溶ける魚』(1924年)によって開始されます。シュルレアリスムは当初、詩人たちを中心とした運動でしたが、ほどなく美術の領域も包含するかたちで発展していきます。本講義では、シュルレアリスムの美術について、画家たちの具体的な作品を取りあげながら、これを読み解く試みを行います。そして謎めいたイメージ、不可思議なイメージ、あるいは無意味なイメージについて考えるとはどういうことかを考えてみたいと思います。

各回の講義予定

日程 講座内容
1 05/20 マックス・エルンストとオートマティスムの諸相 シュルレアリスムとはそもそも詩人たちによるオートマティスム(自動記述)の実践であり、このオートマティスムが美術において応用される場合には様々な手法が取られました。そこでまずは、美術におけるオートマティスムの様々な実践をマックス・エルンストを中心に踏まえていきます。
2 05/27 ジョルジョ・デ・キリコと記号の孤独 シュルレアリスム美術においては、しばしばイメージ同士の突飛な組み合わせが用いられます。これをデペイズマン(転置)を呼びますが、こうしたイメージの並置の実践をシュルレアリスムに示唆したのは、先駆者であるジョルジョ・デ・キリコでした。この回では、デ・キリコの形而上絵画理論を解説しながら、デペイズマンの一つの源流として、デ・キリコの「記号の孤独」という概念について考えてみます。
3 06/03 イヴ・タンギーとイメージの領域 イヴ・タンギーはジョルジョ・デ・キリコの絵画に出会ったことで画家を志し、海底のような空間に蠢く不定形の物体群を描き続けました。タンギーの描くイメージは、デペイズマン(転置)に拠ることなく、デ・キリコの「記号の孤独」の問題を極限まで押し進めたものと言え、そこからシュルレアリスム固有のイメージの領域という視点を導き出してみたいと思います。
4 06/10 ルネ・マグリットと反形而上学的遠近法 ルネ・マグリットもまたタンギーと同様に、ジョルジョ・デ・キリコの作品を目にすることで自身の進むべき道を見出した画家です。この回では、デ・キリコに端を発するシュルレアリスムにおける遠近法の問題を追いながら、マグリットにおける部屋と風景の問題を考えます。
5 06/17 サルヴァドール・ダリと偏執狂的=批判的方法 サルヴァドール・ダリは1920年代末にシュルレアリスムに加わり、当時のシュルレアリスムに大きなインパクトを与えました。ダリは、従来のシュルレアリスムにおけるオートマティスムを「受動的」なものとして、「能動的」なオートマティスムの在り方として偏執狂的=批判的方法を提案します。しかしダリの偏執狂的=批判的方法は次第に行き詰まりを見せ、1930年代末には、人種差別的な発言などを理由にシュルレアリスムを除名されます。シュルレアリスムにおけるダリの問題とは何だったのかについて考えてみたいと思います。

講師紹介

長尾 天
早稲田大学講師
東京生まれ。博士(文学、早稲田大学)。専門分野は20世紀美術史、シュルレアリスム。早稲田大学等で、美術史の講義を担当。書籍等著作物として『イヴ・タンギー:アーチの増殖』(水声社、2014年)、『ジョルジョ・デ・キリコ:神の死、形而上絵画、シュルレアリスム』(水声社、2021年)がある。
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