ジャンル 世界を知る

中野校

西欧食文化ヒストリー 料理・食材・宴席など、食をめぐる人間の営みを通して、西欧食文化の面白さを知る!

  • 春講座

大原 千晴(食文化ヒストリアン)

曜日 水曜日
時間 10:40~12:10
日程 全5回 ・05月15日 ~ 06月12日
(日程詳細)
05/15, 05/22, 05/29, 06/05, 06/12
コード 310309
定員 24名
単位数 1
会員価格 受講料 ¥ 14,850
ビジター価格 受講料 ¥ 17,077

目標

「西欧食文化ヒストリー」2024年春季の目標は次の5点。
1.90分で知る英国食文化のポイント、宮廷・ミドルクラス・庶民の食の違いを知る。
2.新大陸南北アメリカからの食材革命、第2回。影響の広がりの具体像を知る。
3.カフェとコーヒーハウス、お国柄でまるで異なる歴史背景を知る。
4.モノ(道具や調度)から探る、食卓・台所・宴席の人間社会史、 第2回。モノが語る言葉を聴く。
5.ユダヤ人の食、戒律・流浪・グローバル。西欧社会で異端であり続ける人々の食文化を探る。

講義概要

近年極めて活発な動きがある世界の食文化史研究。そこで提起された様々な視点・論点・方法論を、講座目標として掲げた5点(※)の具体例を通して学びます。1.かつての大帝国、英国の食文化の過去と現在。2.未知の異国の食材が普及するまでの葛藤と道筋。3.同じ食材(コーヒー)が国により全く異なる形で受容される背景。 4.モノが語る歴史の物語を聴く方法。5.宗教上の食の戒律を守り続ける人々の世界。これらのテーマにつき、多数の歴史的な画像を提示しながら講義します。毎回、講師作成の資料を配付します。
※「講座目標」はホームページでご確認ください。

各回の講義予定

日程 講座内容
1 05/15 90分で知る英国食文化のポイント、宮廷・ミドルクラス・庶民の食の違い 島国である英国の食文化は、古くから大陸諸国からの影響を受けつつも、その独自性を保ち続けてきました。今回は、長い英国食文化の歴史の中で、重要な転換点として注目すべきポイントを選んでお話します。(1)古代ローマ帝国からの影響(2)1509年即位のヘンリー8世とその娘エリザベス1世のルネサンス宮廷宴席(3)1660年即位のチャールズ2世とジェームズ2世時代のフランスからの影響(4)1800年代中期〜後半、ビクトリア時代のミドルクラス独自の食文化誕生史(5)1980年代末からの30年間に起きた劇的な変化→欧州でも有数のグルメ都市ロンドン誕生への道筋。上記5つの転換点を経て、今の英国の食世界が誕生しています。若い頃から英国と日本の間を往来し続けてきた講師が語る、興味深いエピソード満載の講義となるはず。
2 05/22 新大陸南北アメリカからの食材革命、第2回 コロンブスをきっかけとして、南北アメリカ大陸から新たにもたらされた様々な食材。これが欧州の食文化に与えた影響の大きさは計り知れません。コロンブス以前と以後とでは、何がどう、変化したのか。具体的には、トマト、ジャガイモ、トウモロコシ、サツマイモ、 キャッサバ、唐辛子、カカオ豆、ヴァニラ、さらにはタバコまで。これらの作物が欧州に本格普及するまでには、かなりの時間が掛かっています。その経緯の面白さと意外性。アルゼンチン、メキシコ、合衆国で展開された広大な大地を利用しての牛の放牧と小麦の大規模農場が、既存の欧州市場に与えた影響。この大きなテーマをめぐっては、語るべきことは山ほどあります。一昨年春季の講義では語り得なかった点について、個々の食材の具体的な普及事例を含めて、新大陸発の食材の源流を探索し、その影響の広がりを見ていきます。
3 05/29 カフェとコーヒーハウス、お国柄でまるで異なる歴史背景 世界には、コーヒーを楽しむために誕生したカフェやコーヒーハウスが実に様々な形で存在しています。パリ・ロンドン・ウィーンそしてアメリカやトルコ文化圏さらにはインドまで。「コーヒーを飲む店」という点では共通するものの、その顧客と店のあり方は、国や地域により大きく異なります。その多様な形態がそれぞれの文化環境の下で、どのように発展していったのか。いつ頃から、どのような形で、それぞれの形態になっていったのか。17世紀頃オスマン・トルコ文化圏から徐々に西欧に浸透し始めたコーヒー文化。同じ頃誕生しながら、なぜパリとロンドンではまったく異なる形で発展していくことになったのか。様々な人々が集う社交の場としてのコーヒーハウスが果たしてきた社会性についても着目しながら、地域によって異なる形が誕生した背景を探ります。
4 06/05 モノ(道具や調度)から探る、食卓・台所・宴席の人間社会史、 第2回 昨年秋季の講義に続いての第2回目。例えば「包丁の歴史」のような「モノの歴史」の研究は古くから行われてきました。しかし、その大半は「モノそのものの形状 や素材等の変遷に焦点を絞って、これを追求する」というもの。1990 年代末、これが大きく転換し始めます。「モノは社会を映し出す鏡である、その作られた時代の精神が反映されている」という視点から、モノの持つ社会性に焦点が当てられ始めます。あるモノが誕生し、普及し、やがて忘れ去られていく。その背景に、どのような社会の変化が秘められているのか。「食」をめぐる様々なモノについて、この視点で凝視してみる。果たしてそこに何が見えてくるのか。食文化の歴史の中でも「これっ!」と思われるモノを選んで、そこに映し出される世界をご紹介します。モノが語る社会と人間の面白さ。前回に引き続き、欧州骨董銀器のプロである講師が深く語ります。
5 06/12 ユダヤ人の食、戒律・流浪・グローバル 常に西欧社会の一隅で独自の宗教と文化を保ちながら、異端者として存在し続けてきたユダヤの人々。長くキリスト教徒から差別されながらも、多くのユダヤ教徒はその信仰を捨てることなく現在に至っています。ユダヤ教の食に関する戒律カシュルート。そこでは何が「食べてはいけないもの」として禁忌の対象となっているのか。その背景に何があるのか。そして、その戒律に則って処理され調理されたコーシャ料理にはどのようなものがあるのか。料理を担当する主婦にして母の大きな存在感。迫害により各地を流浪せざるを得なくなったユダヤの人々が、その流れ着いた先の食文化を、どのような形で受け入れていったのか。1492年以降スペインから脱出したユダヤ人の足跡と独特の食文化。そして、多数のユダヤ人が住む北米アメリカ、特にニューヨークのユダヤ人世界の食文化に焦点を合わせて見ていきます。

講師紹介

大原 千晴
食文化ヒストリアン
1978年早稲田大学法学部卒業。西欧食文化史を広く「人間の営み」として捉える。これを料理・食材・宴席・食卓儀礼・農漁業と流通・医学や健康概念さらには宗教哲学との関係等の多彩な側面から読み解くことを旨とする。著書に『アンティークシルバー物語』(主婦の友社)、『名画の食卓を読み解く』(大修館書店)等。

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