ジャンル 日本の歴史と文化

中野校

世界の土偶を読む

  • 春講座

竹倉 史人(人類学者)

曜日 土曜日
時間 13:10~14:40
日程 全3回 ・06月01日 ~ 06月15日
(日程詳細)
06/01, 06/08, 06/15
コード 310200
定員 54名
単位数 1
会員価格 受講料 ¥ 8,910
ビジター価格 受講料 ¥ 10,246

目標

・世界中の古代遺跡から出土する先史時代フィギュアの謎に迫る。
・ホモ・サピエンス史を概観し、神話的思考やアニミズムといった世界観を理解する。
・認知言語学や記号論の基礎を学び、「土偶の解読」を通して人文科学の基礎的な思考法を獲得する。

講義概要

日本の縄文土偶によく似たフィギュアは世界各地の新石器時代の遺跡から発見されているのですが、欧米の考古学界においてもこれらは正体不明なまま一世紀以上が経過してきました。じつは、先史時代フィギュア研究には「適切な問題設定が構築できていない」という世界共通の問題点が隠されています。これを認知言語学や記号論の観点からあぶり出し、「土偶の解読」という作業を通じて事象の観察、思考、仮説立論という学問の基本的な方法について改めて確認したいと思います。また、柳田国男とJ・フレイザーが行った「植物霊」の研究を掘り起こし、世界の土偶の多くが「炭水化物の精霊」と深い関わりがあることを客観的なデータとともに示します。

各回の講義予定

日程 講座内容
1 06/01 世界の土偶を読む 世界中で発見されたさまざまな土偶を取り上げ、認知言語学やアメリカの論理学者パースの記号論に依拠しながら実際にその解読を行い、人文科学の基礎的な方法論について学びを深める。
2 06/08 穀霊の研究:柳田国男とJ・フレイザーが発掘した炭水化物の精霊たち われわれの文明は植物が光合成によって作り出すデンプン(炭水化物)を基盤にして成立していると言っても過言ではない。「植物の精霊」について研究した柳田国男とJ・フレイザーの業績を携えてながら、普遍的な人類社会の深層に迫ってみたい。
3 06/15 アニミズムと未来社会 近年の人類学において再び脚光を浴びている「アニミズム」。これまで「人間以外の事物にも霊魂が宿るという信仰」といった説明がなされることが多かったが、このように考えている限りアニミズムを理解することはできない。アニミズムを「信仰」ではなく人類における世界認知の一様式として位置づけ、そこからわれわれ自身の「生」と「死」のあり方自体を問い直してみたい。

ご受講に際して(持物、注意事項)

◆持ち物:メモ用紙、筆記用具
◆参考書籍:竹倉史人著『土偶を読む』(晶文社2021年)、『土偶を読む図鑑』(小学館2022年)を事前にお読み頂くとより理解が深まります。

講師紹介

竹倉 史人
人類学者
人類学者。在野の独立研究者として執筆、講演、大学講師、メディア出演などの活動を行っている。専門は人類の精神史(インテレクチュアル・ヒストリー)。古今東西の神話や考古遺物の分析を通じ、ホモ・サピエンスの認知の歴史的変遷を研究。著書に『土偶を読む』(2021年、晶文社、第43回サントリー学芸賞)、『土偶を読む図鑑』(2022年、小学館)、『輪廻転生』(2015年、講談社)など。テレビ出演に「おはよう日本」(NHK)、「歴史探偵」(NHK)、「賢者が映す未来」(TBS)など。東京大学文学部卒業後、東京工業大学大学院社会理工学研究科価値システム専攻博士課程満期中退。

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