ジャンル 日本の歴史と文化

早稲田校

「問い」を立てながら、近現代日本史を考える

  • 春講座

成田 龍一(歴史学者、日本女子大学名誉教授)

曜日 金曜日
時間 13:10~14:40
日程 全6回 ・04月19日 ~ 06月14日
(日程詳細)
04/19, 05/10, 05/17, 05/31, 06/07, 06/14
コード 110272
定員 30名
単位数 1
会員価格 受講料 ¥ 17,820
ビジター価格 受講料 ¥ 20,493

目標

・近現代日本史を、〈いま〉の観点から理解することを目指します。
・近現代日本の出来事と、その歴史的な意味を把握することを、目標とします。
・近現代日本史を学ぶことの重要さと面白さを、共有したいと思います。

講義概要

世界と日本は、<いま>大きな激動のなかにあります。そのなかで、高等学校に「歴史総合」という新しい科目ができ、これまでの歴史像が書き換えられています。そのとき「歴史総合」では、同時に「問い」を立てることの重要性が説かれます。「問い」を立てることによって歴史に向き合うのですが、このことによって歴史が、ぐっと身近なものとなります。歴史を学ぶことは、たんに「事実」を学ぶのではなく、その意味を考えることなのです。今学期は、「問い」を立てながら、日本近現代史を考えてみたいと思います。「明治維新」「大正デモクラシー」「アジア・太平洋戦争」「戦後日本社会」を対象とします。

各回の講義予定

日程 講座内容
1 04/19 はじめに  「問い」を立てるということ 歴史の教科書は、出来事=事実が淡々と記されているように見えます。しかし、その出来事が選び出され、説明されるにあたっては、教科書執筆者による「問い」が込められています――なぜ、この出来事が重要であるか、という「問い」です。「問い」を意識することによって、歴史をより深く理解できるはずです。そのことを、入り口として共有したいと思います。
2 05/10 「明治維新」は、なぜ「明治革命」ではないのだろうか 「明治維新」は、近現代日本の出発点として、きわめて重要な出来事です。江戸幕府という封建社会が倒れ、近代国家(国民国家)としての明治国家ができあがった出来事です。世界史においては、市民革命と呼ばれるものに当たります。となれば、「明治革命」と呼んでもよいのに、なぜ「明治維新」と言い慣わしているのでしょうか。
3 05/17 「大正デモクラシー」は、どのようなデモクラシーであったのだろうか 日清戦争、日露戦争によって、日本は大国化し、植民地を有した大日本帝国となります。このとき、外に対しては「帝国主義」ですが、内に対しては「立憲主義」の動きがおこり、高等学校の教科書では「大正デモクラシー」として記されています。しかし、大日本帝国憲法では、統治者は天皇と定められています。では、「大正デモクラシー」とは、いったいどのような「デモクラシー」だったのでしょうか。
4 05/31 「大正デモクラシー」のあと、なぜ戦争となったのだろうか 「大正デモクラシー」のなかで、男性の普通選制度が実現します。女性たちが、参政権を求める運動も起こります。しかし、1930年代に入ると、軍部の台頭があらわになり、1931年の「満州事変」をきっかけに、長く続く中国との全面的な戦争となり、さらにはアメリカ、イギリスをはじめとする国々とも戦争となります。「デモクラシー」の運動がありながら、なぜ戦争に入りこんでしまったのでしょうか。
5 06/07 昭和期の戦争の名称は、なぜなかなか定まらないのだろうか 戦争のさなかにおいては、「大東亜戦争」と呼ばれた戦争は、敗戦後にはその名称の使用が禁止されました。代って「太平洋戦争」という名称が使用されましたが、歴史学会は「十五年戦争」という呼び方を提起しました。しかし、現在ではメディアをはじめ「アジア・太平洋戦争」という言い方が一般的になっています。戦争の名称が、まだ揺れ動いているのです。どのような理由が、ここにあるのでしょうか。
6 06/14 「戦後日本社会」は、いつまで続くのだろうか 敗戦後の日本は、「戦後」の歴史を歩むことになります。「戦後日本社会」の目標は、経済的には「戦前」の水準を復活することであり、その目的が達せられると、さらなる経済成長が追求されました。その過程で「もはや戦後ではない」と言われもしましたが、1985年に「戦後40年」が言われ、その後も「戦後50年」はおろか、「戦後60年」「戦後70年」さえも言われる状況でした。なぜ「戦後」ということが、ここまで言われるのでしょうか。

ご受講に際して(持物、注意事項)

◆講師都合により4/12は休講になりました。補講は5/31に行います。

講師紹介

成田 龍一
歴史学者、日本女子大学名誉教授
1951年生まれ。早稲田大学第一文学部卒業後、ひきつづき、大学院文学研究科で近現代日本史を学ぶ。博士(文学・早稲田大学)。著作に、『戦後史入門』(河出文庫)、『近現代日本史との対話』(2冊、集英社新書)、『歴史論集』(3冊、岩波現代文庫)などがある。

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