ジャンル 現代社会と科学

オンライン

地衣類―気づかれない共生体が語る環境・進化・文化

  • 夏講座

大村 嘉人(国立科学博物館植物研究部菌類・藻類研究グループ長、筑波大学教授)

曜日 土曜日
時間 10:30~12:00
日程 全6回 ・07月04日 ~ 09月05日
(日程詳細)
07/04, 07/11, 07/18, 08/22, 08/29, 09/05
コード 720704
定員 30名
単位数 1
会員価格 受講料 ¥ 17,820
ビジター価格 受講料 ¥ 20,493

目標

・共生体としての地衣類と種概念を理解する。
・極限環境の中で生きる地衣類を理解する。
・地衣類を文化と芸術の視点で深める。

講義概要

地衣類は「苔」と呼ばれながらも植物ではなく、分類上は菌類に位置づけられる。しかし実態は、菌類と光合成生物が一体となった共生体であり、一つの生きものか、二つの生きものか、あるいはそれ以上か、その存在自体が種や個体という概念への問いかけになっている。本講座では、この地味で小さな生きものを軸に、極限環境への適応と、大気汚染や温暖化に対する感受性という相反する性質、さらには文化・芸術における地衣類への視点まで、6回にわたって多角的に探求する。地衣類を知ると科学と文化の両面から自然の見え方が変わってくる。

各回の講義予定

日程 講座内容
1 07/04 苔ではない“コケ”の正体:地衣類の基本構造と共生、地衣類の「種」への問い 地衣類とは何かを、形態・内部構造・生理的特徴、生態から整理し、コケ植物や他の菌類との違いを解説する。地衣類を構成する菌類と光合成生物の役割分担、さらに第三、第四の共生パートナーの存在など、地衣類における共生様式を理解したうえで、共生体としての地衣類を「種」としてどのように捉えるべきかを問う。
2 07/11 地衣成分の世界:二次代謝産物から見た地衣類分類と成分の機能 地衣類に特徴的な化学成分(地衣成分)を概説する。地衣類が作る二次代謝産物には、他の生物からは見つかっていない独自のものが大多数を占める。抗菌や紫外線防御など、過酷な環境で生きるための機能、化学形質が種判別に使われてきた理由、分子系統との関係などを整理する。
3 07/18 強くて弱い共生体:極限環境への適応と大気汚染で衰退する地衣類 乾燥、低温、高紫外線などへの適応を、生理・形態・化学の観点から整理する。乾燥時に生理活動をほぼ休止し再水和で再開する仕組み、成長の遅さが意味する戦略などを扱う。極限環境に適応する一方、大気汚染や温暖化など人間活動に伴う急激な環境変化には脆弱であり、この相反する性質が地衣類を環境指標として際立たせている。絶滅危惧の地衣類についても紹介する。
4 08/22 地衣類の進化史:いつから?そしてどんな進化が起こっている? 地衣類はいつ、どのように誕生したのか。その答えはまだよく分かっていない。化石記録と分子時計から推定される起源と多様化の歴史を概観する。変動する地球環境の中で地衣類がどのように適応して進化したかを議論したい。
5 08/29 生態系の中の地衣類:岩石風化から物質循環、生きものをつなぐ役割まで 地衣類が岩石を風化させ土壌形成に貢献する役割、窒素固定や物質循環への貢献などについて整理する。さらに地衣類を餌・営巣材料・隠れ家として利用する動物や昆虫との関係など、他の生物とのつながりを幅広く紹介する。地味で目立たない存在でありながら、生態系の基盤を支える地衣類の役割を考える。
6 09/05 文化の中の地衣類:人々の生活・芸術・歴史的空間に存在する地衣類たち 食用地衣類や染色など生活における利用、芸術のモチーフとして扱われてきた事例を整理する。さらに、歴史的な鎮守の森など、長期にわたり維持されてきた文化的環境の中で生き続けてきた地衣類にも着目する。文化という人間の行為と時間の蓄積の中に存在する地衣類を捉え直し、その認識が自然の「見え方」をどのように変えるかを考察する。

ご受講に際して(持物、注意事項)

◆休講が発生した場合、補講日は9月12日(土)を予定しています。
◆Zoomウェビナーを使用したオンライン講座です。
◆お申込みの前に必ず 「オンラインでのご受講にあたって」をご確認ください。
◆お申込みいただいた有料講座の動画は、当該講座実施の翌々日(休業日を除く)17:30までに公開します。
インターネット上で1週間のご視聴が可能です。視聴方法は、以下をご確認ください。
【会員・法人会員向】授業動画の視聴方法(会員・法人会員向け)
【ビジター】授業動画の視聴方法(ビジター向け)

講師紹介

大村 嘉人
国立科学博物館植物研究部菌類・藻類研究グループ長、筑波大学教授
日本国内のみならず東アジア地域を対象に地衣類調査に出かけている。特にサルオガセ属の分類が専門。社会の中に地衣類を位置づけるために、大気汚染などの社会問題と関連する学際的研究も積極的に行い「地衣類の地位向上」を目指している。筑波大学グローバル教育院教授(併任)。著書に『街なかの地衣類ハンドブック』(文一総合出版)など。
  • 外国語 コースレベル選択の目安
  • 広報誌「早稲田の杜」
  • オープンカレッジ友の店