ジャンル 芸術の世界

中野校

フランツ・リストの音楽観

  • 春講座

福田 弥(慶應義塾大学教授)

曜日 火曜日
時間 10:40~12:10
日程 全5回 ・04月28日 ~ 06月02日
(日程詳細)
04/28, 05/12, 05/19, 05/26, 06/02
コード 310431
定員 24名
単位数 1
会員価格 受講料 ¥ 14,850
ビジター価格 受講料 ¥ 17,077

目標

・リストの芸術観・音楽観について理解を深める。
・リストが19世紀音楽に果たした役割について理解する。
・リストの活動を通じて、19世紀の西洋音楽を特徴づける諸相を読み取る。

講義概要

市民社会の擡頭にともなって大きく変貌した19世紀のヨーロッパを、フランツ・リスト(1811-1886)は約75年に渡って生き抜いた音楽家である。サリエリの弟子でありながら、その最晩年には無調音楽にまで手を染めている。全ヨーロッパとロシアの主要都市に足跡を残し、19世紀ヨーロッパの音楽界から注目されると同時に、後世にも大きな影響を与える存在であった。そんな彼は、苦悩からの救済を自らの芸術の使命と考え、才能ある音楽家が社会に果たす役割をはっきりと認識していた。そうした芸術宗教ともいうべき彼の音楽観、生涯と作品を理解することは、とりもなおさず19世紀の西洋音楽史を理解することになるであろう。

各回の講義予定

日程 講座内容
1 04/28 作風の確立 若くしてピアニスト、ピアノ教師として生計を立てることになったリストは、19世紀前半のパリを中心とした音楽文化の中で、自らの様式を打ち立てていった。とくに1830年代半ばには独自の音楽観と音楽語法を確立していく。大きな影響を与えたラムネー神父、サンシモニストたち、マリー・ダグー伯爵夫人との関係に注目しながら、リストのオリジナル作品《巡礼の年報》などについて取りあげる。
2 05/12 コンサートと編曲 リストは、数多くの編曲作品を残したことでも知られている。一口に編曲と言っても、その創作の目的、用途、種類、ジャンルはさまざまである。リストの場合、ピアノ独奏のために編曲された作品が多数を占めることは確かであるが、一方、自作の編曲も多く、同一作品に数多くのヴァージョンを残していることも珍しくない。その場合、創作過程と改訂とは密接な関係にあるため、編曲行為とは彼の創作の本質と結びついたきわめて重要な問題となる。当時のコンサートのプログラムを確認しつつ、リストの編曲の世界を紹介する。
3 05/19 交響詩 かつてJ. S. バッハが活躍し、その後はゲーテ、シラーなどドイツ古典主義文学の中心地であった小都市ヴァイマルに、リストは1848年に居を構えた。ピアニストとしての活動に終止符を打ち、宮廷楽長として活動する道を選んだが、その活動は自身の作曲・著述活動とも密接に関わっていた。作曲家としては、ピアニスト時代の作品の改訂に取り組むばかりでなく、新ドイツ派の旗手として交響詩を創始した。交響詩とは器楽による叙事詩である。新ドイツ派の標題音楽について美学的な視座から触れた上で、リストがめざした理想主義ともいえる音楽世界を、交響詩というジャンルを通して考えていきたい。
4 05/26 オラトリオ ヴァイマルの宮廷楽長を辞したのち、自由に作曲に打ち込める時間を手に入れたリストは、1860年代、ローマにおいて充実した作曲活動を行う。とりわけ「最も高次な芸術領域」とみなしていたオラトリオに取り組むこととなる。オラトリオ《聖エリザベトの伝説》《キリスト》などにおいて、リストが目指した音楽は、交響詩と同じ芸術宗教とも呼ぶべき世界であった。
5 06/02 無調へ 人生の最後の15年、リストは1年をローマ、ブダペシュト、ヴァイマルで住み分ける「三分割された生活」を送るようになる。教育活動に力を入れる一方で、彼の作風は急激に前衛的になっていく。最晩年の傑作《十字架の道行》を中心に、不安な苦悩からの救済と表裏一体の関係を示す無調の世界を説明したい。

ご受講に際して(持物、注意事項)

◆休講が発生した場合の補講日は、6月9日(火)を予定しております。
◆参考図書として、講師の著書『人と作品 リスト』(音楽之友社)お読みいただくと、より理解が深まります。

備考

※パンフレットに記載されている日程から変更になっております。

講師紹介

福田 弥
慶應義塾大学教授
1966年、水戸生まれ。慶應義塾大学文学研究科後期博士課程単位取得退学。音楽学(西洋音楽史学)専攻、フランツ・リスト研究。1995-97年、ブダペシュトのリスト音楽院に国費留学。武蔵野音楽大学講師を経て、現在、慶應義塾大学文学部教授。著書『作曲家 人と作品 リスト』(音楽之友社2005年)。論文:Franz Liszt’s Cantico del Sol: A Source Study. Studia Musicologica, vol. 61, no. 3–4 December 2020. Budapest: Akadémiai Kiadó, pp. 381-396.ほか
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