ジャンル 日本の歴史と文化
早稲田校
近代日本の対中国感情―多様な視点からの考察
金山 泰志(横浜市立大学准教授)
| 曜日 | 金曜日 |
|---|---|
| 時間 | 15:05~16:35 |
| 日程 |
全7回
・04月24日 ~
06月12日 (日程詳細) 04/24, 05/08, 05/15, 05/22, 05/29, 06/05, 06/12 |
| コード | 110271 |
| 定員 | 30名 |
| 単位数 | 1 |
| 会員価格 | 受講料 ¥ 20,790 |
| ビジター価格 | 受講料 ¥ 23,908 |
目標
・近代日本における対中国感情の歴史的変遷を体系的に理解する
・雑誌・映画・料理など多様なメディア史料を通して、民衆感情の形成過程を実証的に読み解く力を養う
・近代日本人の対中感情を相対化し、現代の日中関係を考察する視点を得る
講義概要
本講座では、近代日本人が抱いた対中国感情の歴史的変遷を、少年雑誌・映画・料理など多様なメディアを通して考察する。
授業の初回に、先行研究の整理と方法論を提示し、以降、明治・大正・昭和戦前各期のメディア表現を分析することで、対中国感情がいかに形成・変容していったかを追う。
授業後半では中国料理を題材に、近代日本の「文明/野蛮」意識の中に潜む優越と差異化の構造を検討する。
各回の講義予定
| 回 | 日程 | 講座内容 | |
|---|---|---|---|
| 1 | 04/24 | 近代日本の中国観・中国認識研究―そして対中国感情へ― | 第1回講義では、近代日本の対中国感情を論じる前提として、中国観・中国認識研究の整理を行う。従来の知識人中心の研究を整理し、民衆に共有された一般的な対中国感情に注目する意義を示す。また、「中国」「中国観」「対中国感情」などの概念を定義し、感情史・メディア史の視点からの接近を提示する。さらに、少年雑誌・映画などのメディアを史料として用いる意義を論じ、近代日本の対中国感情を捉える方法を紹介する。 |
| 2 | 05/08 | 明治期日本の対中国感情―少年雑誌に着目して― | 第2回講義では、明治期日本の少年雑誌を史料として、日清・日露戦争期を中心に日本人の対中国感情を検討する。『小国民』『少年世界』などに見られる挿絵や物語を通じ、中国人への敵愾心が、戦後の嘲笑や嫌悪感情へ変化する様子を見ていく。一方で、孔子・関羽ら古典的中国像への敬意や憧憬も併存していたことを示し、近代日本人の対中国感情が「同時代中国へのネガティブな感情傾向」と「古典中国へのポジティブな感情傾向」という二面性を帯びていたことを明らかにする。 |
| 3 | 05/15 | 大正期日本の対中国感情―少年雑誌・映画に着目して― | 第3回講義では、大正期日本の少年雑誌と映画を通して、日本人の対中国感情を考察する。『日本少年』に見られる挿絵や読者投稿から、辛亥革命・第一次世界大戦期の中国を「小癪」とみなす眼差しが広まった一方、「日中親善」への模索も生まれたことを示す。また、映画では欧米作品・日本作品を問わず、中国人が「悪人」や「滑稽な存在」として描かれ、蔑視的イメージが強化された点を分析する。同時に、『西遊記』『水滸伝』など古典世界の中国像への敬意が続いたことも確認する。 |
| 4 | 05/22 | 昭和期日本の対中国感情(1)―少年雑誌に着目して― | 第4回講義では、昭和戦前期の『少年倶楽部』や『キング』を中心に、満洲事変・日中戦争期の日本人の対中国感情を分析する。これらの雑誌は、漫画や挿絵、時事解説を通して中国人を「乱暴」「卑怯」「滑稽」と描き、敵愾心と蔑視感情を増幅させた。一方で、「日中親善」や古典的中国偉人への敬意を強調する記事も併存し、同時代中国への否定と「文化の中国」への肯定が入り混じる二重構造が見られる。娯楽・教育メディアを通じた感情形成の過程を明らかにする。 |
| 5 | 05/29 | 昭和期日本の対中国感情(2)―映画に着目して― | 第5回講義では、昭和期の日中戦争期を中心に、映画雑誌『キネマ旬報』を史料として日本人の対中国感情を分析する。ニュース映画・記録映画・劇映画における中国人描写を通じて、「残虐」「哀れ」「卑怯」などモラル・感覚両面でのネガティブ感情の表出を明らかにする。一方、「日中親善」や『孫悟空』など古典的中国像への郷愁も併存し、戦時の敵愾心の中に「文化の中国」への好意も残存していたことを指摘する。映画という大衆娯楽が民衆感情を反映し形成する過程を考察する。 |
| 6 | 06/05 | 近代日本の対中国感情―中国料理に着目して―(1) | 第6回講義では、中国料理を通して近代日本人の対中国感情を読み解く。明治期には「油臭い」「不潔」といったネガティブ評価が広がり、料理へのネガティブ感情が中国人像と結びついていたが、一方で中国料理には「美味・滋養・経済的・衛生的・簡単」といったポジティブ評価が付与されており、日本化を経て大衆に受容された。また、「不潔」という評価の背後には、近代日本が国際秩序の中で自らを「文明」と位置づけ、中国を「野蛮」とみなす認識構造があり、衛生観念と優越意識が対中感情形成の基盤をなしていたことを考察する。 |
| 7 | 06/12 | 近代日本の対中国感情―中国料理に着目して―(2) | 第7回講義は、上記内容の続きを行う(具体的には大正・昭和戦前期の中国料理受容)。 授業の最後にはこれまでの授業のまとめを行う。 |
ご受講に際して(持物、注意事項)
◆本講座では、近代日本の対中国感情そのものを検討するため、当時の史料に見られる中国・中国人へのネガティブな表現を多く扱います。現在の感覚では不快に感じられる可能性のある内容が含まれますので、その点をご理解のうえご受講ください。
講師紹介
- 金山 泰志
- 横浜市立大学准教授
- 横浜市立大学国際文化学部卒業、日本大学大学院文学研究科日本史専攻博士後期課程修了。博士(文学)。現在、横浜市立大学国際教養学部准教授。
[主要著作]『明治期日本における民衆の中国観』(芙蓉書房、2014年)、『近代日本の対中国感情』(中公新書、2025年)、「近代日本の中国料理受容と対中感情」(『日本史研究』719号、2022年7月)など。




