ジャンル 現代社会と科学
中野校
西洋哲学と東洋哲学の架橋
古賀 勝次郎(早稲田大学名誉教授)
| 曜日 | 木曜日 |
|---|---|
| 時間 | 13:10~14:40 |
| 日程 |
全10回
・04月02日 ~
06月11日 (日程詳細) 04/02, 04/09, 04/16, 04/23, 05/07, 05/14, 05/21, 05/28, 06/04, 06/11 |
| コード | 310707 |
| 定員 | 24名 |
| 単位数 | 2 |
| 会員価格 | 受講料 ¥ 29,700 |
| ビジター価格 | 受講料 ¥ 34,155 |
講義概要
現在世界が直面しているニヒリズム、大衆民主主義、科学・技術の支配、自然破壊などの問題の根底には哲学の不在がある。西洋哲学はハイデガーあたりで解体され、その後再生されずに今日まできたが、それでもアガンベンやガブリエルなどの哲学には、今後の哲学の進むべき道も垣間見られる。他方日本でも、西田幾多郎や九鬼周造など京都学派の哲学が再び注目されるようになってきた。西洋哲学と東洋哲学の架橋ということが京都学派の伝統だったからである。本講座では、何故現在のような哲学の不在状況が起こったのかを歴史的に振り返るとともに、いかにすれば哲学の再生が可能になるかを、「西洋哲学と東洋哲学の架橋」というテーマの下に探る。
各回の講義予定
| 回 | 日程 | 講座内容 | |
|---|---|---|---|
| 1 | 04/02 | 第一回:新しい哲学への視座 | 現在、哲学は大きな曲り角に来ているが、他方で新しい哲学への試みも世界的に行われている。その際、鍵となるのが、ゲーテの自然・科学観と量子力学の発達で、この二つを哲学の中に組み入れることによって、新しい哲学への視座が開かれると思われる。そこで先ず、ゲーテと量子力学の双方を視野に入れ哲学や自然科学を論じた哲学者のE・カッシーラーと量子力学の創始者のW・ハイゼンベルクの議論を見ることから本講義を始める。 |
| 2 | 04/09 | 第二回:京都学派の再評価と可能性 | 京都学派を代表する哲学者は、西田幾多郎、田辺元、九鬼周造であるが、西田と九鬼は第二次世界大戦後も高く評価されてきたが、田辺に対しても近年、再評価の動きが見られる。これらの哲学者が高い評価を得ている理由にはいろいろあるけれども、その一つは、西洋哲学と東洋哲学を架橋しようとしたことが挙げられる。講義では、特にその面から、彼等の哲学を説明し、京都学派が今後、新しい哲学に向けていかなる貢献ができるかを探る。 |
| 3 | 04/16 | 第三回:古代ギリシア哲学から中世のキリスト教神学へ | 古代ギリシア哲学と中世のキリスト教神学との間には、連続性もあるけれども非連続もあった。にも拘らず、古代ギリシア哲学がキリスト教に組み入れられたのは、キリスト教の神が創造神だったからである。現代哲学の危機の遠因の一つも、そこにある。講義では、特に、プラトンのイデア論とキリスト教神学のロゴス論に焦点を当て、両者の非連性を論じ、それが現代哲学の危機とどう繋がっているかを説明する。 |
| 4 | 04/23 | 第四回:キリスト教神学と近代哲学の連続性 | 中世はルネサンス、宗教改革、科学革命などによって、近代へと席を譲るが、中世のキリスト教神学と近代の哲学との間には、連続性も認められる。それは特に、合理主義哲学(デカルトやスピノザ…)やそれと平行して発達したニュートン力学を支える自然概念の間に見られる。その背景には、キリスト教神学とそれらの存在論が、実体を中心とする構造を持っているからで、講義では、実体論と因果論に焦点を当て、説明する。 |
| 5 | 05/07 | 第五回:キリスト教神学と近代哲学の非連続性 | 近代哲学の中で、キリスト教神学と非連続的な哲学を展開したのは経験主義哲学である。もっともロックやバークリの哲学は、キリスト教から導かれているが、しかし実体論に批判的・否定的な点で、非連続的である。これに対して、ヒュームの哲学は古代ギリシア・ローマ哲学に由来し、しかも実体論を否定しているのでより非連続的である。講義では、思考様式と存在論の側面から、キリスト教神学と経験主義哲学の非連続性を説明する |
| 6 | 05/14 | 第六回:古代ギリシア哲学とキリスト教の融合の模索 | 近代の哲学は、18世紀後半になると、ヘルダーやゲーテなどの批判に晒されることになる。近代の哲学、それが支えている近代の自然科学が、文化を歪め、衰弱させているといい、その原因を古代ギリシア哲学とキリスト教の不調和に求め、両者の融合を模索する。講義では、彼らの文化観、自然概念、自然科学論を詳しく説明するとともに、ゲーテの影響を強く受けた自然科学者A・フンボルトのユニークなコスモス思想にも言及する。 |
| 7 | 05/21 | 第七回:量子力学の衝撃 | ニュートンまでの自然科学論は、神がまだ存在していたが、ラプラス以降、神は不在となり、それが19世紀末まで続いた。しかし、20世紀にはいると、先ず相対性理論が、続いて量子力学が登場し、それまでの自然観、自然科学論は大きく変わり、現在に到っている。講義では、ボーア=アインシュタイン論争をはじめ、E・カッシーラーやK・ポパー、W・ハイゼンベルク、A・ツァイリンガーなどの量子力学をめぐる議論を取り上げ説明する。 |
| 8 | 05/28 | 第八回:東洋哲学の特質と現代的意識 | ゲーテなどによるギリシア哲学とキリスト教の融合による新しい学問の模索は、その後の急速な専門化によって顧みられるが、量子力学の登場によりふたたび見直されてきたが、他方で、東洋哲学にも世界的に注目が集まるようになった。講義では、東洋の仏教、老荘思想、儒教、日本の国学を取り上げ、それぞれの自然観、社会観、存在論を述べるとともに、西洋哲学と比較し、東洋哲学の特質と現代世界における意義を説明する。 |
| 9 | 06/04 | 第九回:曲り角にある現代哲学 | 西洋哲学は、20世紀初頭、ハイデガーによって解体され、その後、フランスの思想家たち(サルトル、メルロ・ポンティ、ドゥルーズ…)などによって再生が試みられたが、ポジティブな成果は得られなかった。しかし、今世紀に入り、ガブリエルなどによって新しい哲学も登場し注目されている。講義では、西洋では、シェリング、ハイデガー、ガブリエルなどを、日本では、西田幾多郎、九鬼周造、木田元などを取り上げ、現代哲学の危機の原因を探るとともに現状を説明する。 |
| 10 | 06/11 | 第十回:西洋哲学と東洋哲学の架橋としての多元的総合知 | 最終回の講義では、西洋哲学と東洋哲学の架橋が、量子力学の用語を使えば、「相補性」の関係として可能なことを述べ、その学問全体を「多元的総合知」として説明する。それは、人文知(宗教、芸術、道徳)と社会知(法、政治、経済)と自然知(ニュートン力学、相対性理論、量子力学…)とを総合するもので、おのおのの知が、それぞれ意識、秩序、実在の多層的構造をしていて、しかもそれらの知が総合されている知のことである。 |
ご受講に際して(持物、注意事項)
◆発表や議論などを行う場合があります。
講師紹介
- 古賀 勝次郎
- 早稲田大学名誉教授
- 1947年福岡県生まれ。早稲田大学大学院経済学研究科博士課程修了。経済学博士(早稲田大学)。専門分野は、経済学、西洋思想史、比較社会思想。これまで主として西洋の自由主義を研究。著書に、『ハイエクと新自由主義』(行人社)、『ヒューム体系の哲学的基礎』(行人社)、『鑑の近代』(春秋社)、『複眼的世界思想史講義』(春秋社)などがある。




