ジャンル 芸術の世界
中野校
映画から見る〈境界〉のリアリティ―格差社会を考える
安井 裕司(駒沢女子大学教授)
| 曜日 | 月曜日 |
|---|---|
| 時間 | 13:10~14:40 |
| 日程 |
全10回
・04月13日 ~
06月22日 (日程詳細) 04/13, 04/20, 04/27, 05/11, 05/18, 05/25, 06/01, 06/08, 06/15, 06/22 |
| コード | 310430 |
| 定員 | 24名 |
| 単位数 | 2 |
| 会員価格 | 受講料 ¥ 29,700 |
| ビジター価格 | 受講料 ¥ 34,155 |
目標
・映画作品を通じて、グローバル化によって生み出される各地の格差社会を捉える。
・映画のストーリーを通じて諸外国の異なる社会状況と共通性を理解する。
講義概要
世界中の国々で、グローバル化による経済格差の拡大が著しくなっている今日、映画は各地の格差や貧困をどのように捉えてきたのでしょうか。また、映画は、未来の世界をどのように予見しているのでしょうか。格差、貧困、階級問題をテーマにした12本の映画作品を紹介しながら、それぞれ地域の特性や歴史的背景を把握した上で、世界各地における格差社会の共通性を確認していきます。そして、そこに聞こえる人々の声をくみ取り、作品のメッセージを受け止めていきます。
各回の講義予定
| 回 | 日程 | 講座内容 | |
|---|---|---|---|
| 1 | 04/13 | 映画『21世紀の資本』(フランス、2019年) | フランスの経済学者トマ・ピケティが監修し、出演するドキュメンタリー映画。同氏のベストセラー『21世紀の資本』の映画化。トマ・ピケティを始め、ジョセフ・E・スティグリッツ、イアン・ブレマー、ケイト・ウィリアムズ、フランシス・フクヤマ、ジリアン・ラットなどの著名人が出演し、「いくら働いても金持ちになれないのはなぜか?」「格差はなぜ生まれるのか?」といった現代の資本主義における問いに対し、300年の歴史を紐解き、分かり易く解いていく。 |
| 2 | 04/20 | 映画『メトロポリス』(ドイツ、1926年)/ 映画『エリジウム』(米国、2013年) | 〇映画『メトロポリス』 2026年.未来都市メトロポリスでは、摩天楼の上層階に住む限られた知識指導者階級と、地下で過酷な労働に耐える労働者階級に、極端に二極分化した階級社会が成立している。そのような中、支配的権力者の息子フレーダーと、労働者階級の娘マリアが恋をすることで、物語が動き出す。 〇映画『エリジウム』 2154年。人類は、完璧な医療技術で富裕層が暮らす宇宙空間のコロニー「エリジウム」と、人口過密で荒廃した貧困層の地球に二分されている。地球で暮らすマックスは、事故で致死量の放射能を浴び5日間で死ぬことを宣告される。生き延びるためには「エリジウム」に行って治療を受けるしか道はないが、貧しい彼は合法的には行けない。 |
| 3 | 04/27 | 映画『スノーピアサー』(米国他、2014年)/ 映画『逆転のトライアングル』(スウェーデン他、2022年) | 〇映画『スノーピアサー』 2031年。地球温暖化対策の失敗後、世界は逆に氷河期に入っていく。生き残った人々は、永久に地球を走り続ける列車「スノーピアサー」で暮らしている。 列車の先頭車は富裕層、最後は最貧困層と階級別なっていた。その不平等は革命の火種となる。 〇映画『逆転のトライアングル』 豪華客船の旅。そこは、大富豪の乗客たちと奴隷のように使われるスタッフたちに二分化された世界であった。船は、ある日、武装した海賊の襲撃を受けて沈没した。大富豪のたちは清掃係の中年女性アビゲイルと共にある島に流れ着いたが、火を起こし、海でタコや魚を捕まえて調理もこなすアビゲイルは、唯一サバイバル能力を持ち人々を支配する。 |
| 4 | 05/11 | 映画『パラサイト 半地下の家族』(韓国、2019年) | ソウル。両親と男女の子供の4人家族のキム家は、狭く汚い半地下のアパートに住んでいた。苦しい生活の中で、浪人中の長男ギウの友人で名門大学に通う青年が訪れ、自分が留学する間パク家の女子高生ダヘの英語の家庭教師をやらないかと提案される。ギウは、高い報酬のこともあり仕事を受けることを決意。名門大学の入学証書を偽造し、偽名を使い、ギウはパク家に採用される。それから、ギウは、徐々に同家に入り込んで行き、半地下の生活を脱していく。 |
| 5 | 05/18 | 映画『少年の君』(中国、2019年) | 中国・架空の都市。進学校に通う高校3年生のチェン・ニェンは、母子家庭で母親が日夜働き、何とか学費を稼いでいる。彼女は一流大学に行き、成功することを何よりも目標としている。高校では大学入学のための全国統一の大学入試が近づき、クラスメイトがいじめを苦に自殺してしまう。そして、チェン・ニェンが次のいじめの標的とされる。そんな中、街中で集団リンチに遭っていた不良少年のシャオベイをチェン・ニェンが偶然助けたことから、今度はシャオベイが彼女のボディーガードを務めるようになる。 |
| 6 | 05/25 | 映画『息もできない』(韓国、2008年) | 韓国・ソウル市漢江。暴力に満ちた子ども時代を過ごしたキム・サンフンは、大人になって友人マンシクと暴力的な取り立て屋をしながら、甥に小遣いをあげることだけを楽しみに生きている。そんなある日、路上で女子高生のハン・ヨニと出会う。ヨニもまた、家庭の暴力と貧困に苦しみながら厳しい毎日を過ごしていた。サンフンとヨニは、ポケベルと携帯電話の番号を交換し、連絡を取り合うようになっていくが、ヨニの失業中の兄が、サンフンの取り立て屋に入ったことで、状況が大きく変化する。 |
| 7 | 06/01 | 映画『ブランカとギター弾き』(2015年) | フィリピン・マニラ。孤児の少女ブランカは、路上で、盗みや物乞いをしながらたくましく日々を生きている。そんなある日、ある女優が孤児を養子に迎えたというTVニュースを目にする。そこで、彼女は、それならば、お金を出して自分の母親を買えるのではないかと考えだす。まずはお金を創ろうと、盲目のギター弾きの老人ピーターと出会い、ピーターからブランカは得意な歌でお金を稼ぐことを教わり、二人はレストランで歌う仕事を得るようになる。しかし、ある事件によって二人は店を追い出されてしまう。 |
| 8 | 06/08 | 映画『12か月の未来図』(フランス、2017年) | フランス・パリ。名門アンリ4世高校のベテラン国語教師フランソワ・フーコーは、政治的な理由で1年間の期間限定ながらパリ郊外の貧困地域にあるバルバラ中学校に派遣されることになる。同校は、貧しい移民の生徒も多く、フランソワは名前を覚えるのにも苦労するが、勉強しても意味がないと諦め切っている生徒たちに学ぶことの喜びを知ってもらおうと奮闘する。『レ・ミゼラブル』をきっかけに生徒たちの心を掴むことに成功するが、ベルサイユ宮殿への学外授業で大事件が発生し、元の木阿弥となる。 |
| 9 | 06/15 | 映画『薬の神じゃない』(中国、2018年) | 中国・上海。怪しげな薬屋を経営するチョン・ヨンは、店の家賃さえ払えず、妻にも見放される惨状だった。ある日、白血病患者リュ・ショウイーが店に訪れる。国内で認可されている治療薬は非常に高価であるため、安価で成分が同じインドのジェネリック薬を購入してほしいという依頼だった。金に目がくらんだチョンは、ジェネリック薬の密輸・販売に手を染め、より多くの薬を仕入れるため、購入グループを結成するが、警察に密輸として目を付けられてしまう。 |
| 10 | 06/22 | 映画『家族を想うとき』(英国、2019年) | 英国・ニューカッスル。リッキーは、配達ドライバーをしている。リッキーは正社員を希望していたが、個人事業主として宅配事業者と契約をせざるを得なかった。 リッキーは個人事業主であるから宅配事業を行う際に必要となる車両費等も、リッキーが自己負担しなければならない。リッキーは仕事の車を購入するために、妻の車を売却することを余儀なくされる。更に病気になっても保険はない。全てのリスクはリッキーが負う。働いても、働いても、リッキーの借金は膨れ上がり、やがてどうにもならなくなっていく。 |
備考
※講師都合により、4月6日(月)は休講になりました。補講は6月22日(月)に行います。
講師紹介
- 安井 裕司
- 駒沢女子大学教授
- 栃木県出身。英国バーミンガム大学大学院博士課程修了(PhD)。ルーマニア・アカデミー歴史学研究所研究生、法政大学国際日本学研究所客員研究員、日本経済大学神戸三宮キャンパス教授を経て現職。NPO法人・大阪ユネスコ協会理事。




