ジャンル 現代社会と科学

早稲田校

失われる「香港」を探して―街、歴史、文化

  • 春講座

久末 亮一(日本貿易振興機構アジア経済研究所開発研究センター副主任研究員)

曜日 月曜日
時間 10:40~12:10
日程 全10回 ・04月06日 ~ 06月15日
(日程詳細)
04/06, 04/13, 04/20, 04/27, 05/11, 05/18, 05/25, 06/01, 06/08, 06/15
コード 110715
定員 30名
単位数 2
会員価格 受講料 ¥ 29,700
ビジター価格 受講料 ¥ 34,155

目標

・香港とはどのような「場」であったのかを知る。
・香港の歴史的文脈から現在と未来を考える。
・アジアの多面性やダイナミクスを理解する。

講義概要

香港は19世紀半ばから21世紀初頭まで、アジア太平洋の経済センターとして繁栄を謳歌してきました。そこでは経済的・文化的な交錯のなか、多面性やダイナミクスに溢れた独特な都市空間が形成され、世界でも唯一無二の魅力を放ってきました。しかし、1997年に英国から中国への主権返還を経て、2010年代に入ると大きく変容し、今やかつての「香港らしさ」は急速に消失しています。本講座では香港の歴史を、さまざまな切り口から多面的に紹介します。これによって、香港という「場」を成り立たせていた根源を紐解きつつ、失われつつあるその面影を求める旅に出ます。

各回の講義予定

日程 講座内容
1 04/06 イントロダクション:私と香港 本講義の内容紹介、そして私と香港の関わりについて。
2 04/13 「マーチャント・プリンス」たちの時代:19世紀後半の経済発展 アヘン戦争を経て開港した香港は、1850〜60年代から本格的に発展します。さまざまな出自の外国商人が交易し、これを円滑化する「香港ドル」という通貨、「香港上海銀行」などの金融機関、華洋の取引を仲介した「買弁」なども登場します。これらの考察を通じ、香港の経済基礎がどのように形成されたかを探ります。
3 04/20 華僑たちの「見えざる首都」:アジア太平洋の結節点へ 19世紀後半に香港を成り立たせたもう一つの大事な要素が、華南からアジア太平洋の各地に拡散した華僑です。このヒトの移動に伴うモノ・カネ・情報の巨大な流動は、香港という心臓を経由して循環します。公式な国家とは異なる、非公式な華僑世界がネットワークを形成し、香港がその「見えざる首都」となっていった様相を解説します。
4 04/27 「食は香港に在り」:食文化の迷宮を歩く 東西南北をつなぐ「場」となった香港には、「食在香港」(食は香港にあり)ともいうべき食文化が開花します。上から下まで、迷宮ともいえるその世界を、美味しくご紹介します。
5 05/11 戦後の経済成長と社会変容:「香港人」意識の形成 太平洋戦争での日本軍占領を経て、戦後の香港を取り巻く環境は大きく変化します。19世紀以来の自由経済圏は崩壊し、遮断された世界となったにもかかわらず、香港は新たな役割と発展の機会を掴んだのです。一方で社会構造も大きく変容し、「香港人」というアイデンティティーが形成されます。この戦後という時代の社会経済の変容を考察します。
6 05/18 土地の魔力:「不動産本位制」の隆盛と限界 1960年代から現代に至るまで、香港経済の真の「本位」は不動産でした。それは香港の財政構造、寡占財閥の形成、市民の不動産信仰など、マクロからミクロまで影響する巨大メカニズムとして、香港経済を規定するものでした。しかし21世紀にはいると、このメカニズムには限界が生じます。その淵源と限界を探ります。
7 05/25 香港アンダーグラウンド:死者とヤクザの物語 香港という街には、見える世界と見えない世界があります。その境目を彷徨う代表格ともいえるのが、死者とヤクザです。アングラな香港をご紹介します。
8 06/01 「借り物の場所、借り物の時間」:香港返還という宿命 1970年代、繁栄の裏で中国への主権返還という課題が浮上します。それは「借り物の場所、借り物の時間」の上に成り立つ、香港という都市の宿命でもありました。1997年という区切りまで、葛藤しながら揺れ動いた香港の姿を解説します。
9 06/08 文学と映画のなかの「香港」 世界でも唯一無二の都市空間である香港は、さまざまな文学や映画のなかにも登場してきました。これらの紹介・考察を通じて、「香港」というものが何を表象してきたのかを考えます。
10 06/15 21世紀における政治化、そして衰退:変容を迫られる「香港」らしさ 2010年代、中国本土で習近平政権が成立すると、香港への介入・弾圧・統制が強まります。それは19世紀以来の香港を成り立たせていた、根源を破壊するものでもありました。急速に失われてゆく「香港らしさ」と、そのなかで葛藤する人々。その姿が、私たちに何を示唆しているのかを考えます。

ご受講に際して(持物、注意事項)

◆3/7 (土) 10:00より本講座の無料体験講座を早稲田校で実施します。
◆無料体験講座お申し込みはこちらから。 https://www.wuext.waseda.jp/course/detail/68373/

講師紹介

久末 亮一
日本貿易振興機構アジア経済研究所開発研究センター副主任研究員
学術博士(東京大学)。専門は近現代アジア史、香港経済史、シンガポール政治経済史。東京大学助教、政策研究大学院大学助手を経て、日本貿易振興機構アジア経済研究所。主著に『評伝 王増祥:台湾・日本・香港を生きた、ある華人実業家の近現代史』(勉誠社、2008)、『香港:帝国の時代のゲートウェイ』(名古屋大学出版会、2012)、『転換期のシンガポール』(アジア経済研究所、2021)。
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