ジャンル 世界を知る
オンデマンド
【オンデマンド】多文化社会アメリカ、その系譜と現在
南川 文里(同志社大学大学院教授)
| コード | 930306 |
|---|---|
| 定員 | 20名 |
| 単位数 | − |
| 会員価格 | 受講料 ¥ 15,840 |
| ビジター価格 | 受講料 ¥ 15,840 |
目標
・多文化社会としてのアメリカを作り上げてきた歴史を理解する
・アメリカで「多からなる一」という理想がどのように追求されてきたのかを理解する
・21世紀の多文化社会アメリカの課題について、歴史的な視点から理解する
講義概要
アメリカ合衆国は「多からなる一(e pluribus unum)」という言葉を国家的なモットーとして掲げています。さまざまな人種・民族集団(=多)で構成される「1つのアメリカ」とは、どのようにして実現されるのでしょうか。本講座では、多文化社会といわれるアメリカが歴史的にどのように作られてきたのかを理解したうえで、20世紀以降のアメリカがどのように「多からなる一」を模索してきたのかを追いかけます。多様性に対して否定的といわれるドナルド・トランプの勝利に終わった2024年大統領選挙とその後のアメリカの課題を、歴史的・社会的な視点から考えてみましょう。
各回の講義予定
| 回 | 講座内容 | |
|---|---|---|
| 1 | 「移民の国」アメリカの成り立ちと変貌 | アメリカは長く「移民の国(a nation of immigrants)」を自認してきました。「移民の国」という独特なナショナル・アイデンティティがどのように作られたのか、そして実際に移民がどのようにアメリカのあり方を変えてきたのかを考えます。 |
| 2 | アメリカ人種主義の過去と現在 | 人種主義(racism)は、アメリカのあり方を長く規定してきました。奴隷制や人種隔離制度などの黒人との不平等を組み込んだしくみが、どのように現在のアメリカに引き継がれてきているのか。現在の人種不平等の実態とその由来を考えます。 |
| 3 | 「多からなる一」の系譜(1)同化から文化多元主義へ | 「多からなる一」(複数の集団からなる一つのアメリカ)を実現するために、どのような取り組みが行われてきたのか。同化主義が主流であった20世紀前半を経て、文化的な多様性を尊重する文化多元主義が広がるまでの過程を、とくに1960年代の公民権運動の展開とその帰結に注目しながら考えます。 |
| 4 | 「多からなる一」の系譜(2)多文化主義とは何か | 公民権運動以後、黒人などの人種マイノリティによる社会運動から生まれた「多文化主義(multiculturalism)」とは何か。文化多元主義との違いにも注目しながら、その基本的な社会像と代表的な取り組みを紹介します。 |
| 5 | 「多からなる一」の系譜(3)アファーマティブ・アクションという試み | 多文化主義政策の一つといわれるのが、人種不平等を積極的に是正する措置として導入されたアファーマティブ・アクションです。「逆差別」という批判を呼んで激しい論争を巻き起こしたアファーマティブ・アクションの変遷を通して、「多からなる一」の実現のために、アメリカがいかに試行錯誤してきたのかを考えます。 |
| 6 | 21世紀アメリカ多文化社会の軌跡(1)多様性の時代とオバマの功罪 | 2009年、初の「黒人大統領」となったバラク・オバマは、多様性の時代を象徴するリーダーといわれています。オバマ時代に人種平等と「多からなる一」は本当に実現したのか。オバマ時代がその後のアメリカに残した正と負の遺産を考えます。 |
| 7 | 21世紀アメリカ多文化社会の軌跡(2)トランプ現象からブラック・ライヴズ・マター運動まで | 2016年大統領選挙でのドナルド・トランプの勝利は大きな衝撃をもたらしました。なぜ多様性に否定的なリーダーを選んだのか。そして、トランプ政権末期に広がったブラック・ライブス・マター運動は「多からなる一」という理想をどのように再定義したのか。2010年代後半の激動の時代を考えます。 |
| 8 | 21世紀アメリカ多文化社会の展望:2024年大統領選挙が示すもの | 2024年大統領選挙はドナルド・トランプの勝利に終わり、多様性を推進する時代は幕を閉じたという論評も見られます。第2期トランプ政権の時代、「多からなる一」というアメリカの理想はどうなるのか。政権初期の取り組みと市民社会の反応から展望します。 |
ご受講に際して(持物、注意事項)
◆視聴期間は一般申込開始(2025/8/26)から学期終了翌月末(2026/01/31)までになります。一般申込開始(2025/08/26)以降はお申し込みいただけましたら視聴可能になります。
◆この講座は 2025年度 春期 「多文化社会アメリカ、その系譜と現在」 (04/07〜06/02 月曜日、全8回) で開講した講座のアーカイブ講座になります。
◆途中映像音声の乱れるところがありますがご了承ください。
◆オンデマンド講座のため講義内容に関する質疑は受付けいたしかねます。あらかじめご了承お願いいたします。
講師紹介
- 南川 文里
- 同志社大学大学院教授
- 同志社大学大学院グローバル・スタディーズ研究科教授。一橋大学大学院社会学研究科博士後期課程単位取得退学。博士(社会学)。専門は社会学・アメリカ研究。主な著書は、『アファーマティブ・アクション:平等への切り札か、逆差別か』(中公新書、2024年)、『アメリカ多文化社会論[新版]:「多からなる一」の系譜と現在』(法律文化社、2022年)、『未完の多文化主義:アメリカにおける人種、国家、多様性』(東京大学出版会、2021年)、『「日系アメリカ人」の歴史社会学:エスニシティ、人種、ナショナリズム』(彩流社、2007年)など。




