ジャンル 現代社会と科学

オンライン

戦場から読み解く世界―戦争と作家・ジャーナリスト

  • 冬講座

横村 出(ジャーナリスト、作家)

曜日 土曜日
時間 13:00~14:30
日程 全8回 ・01月10日 ~ 02月28日
(日程詳細)
01/10, 01/17, 01/24, 01/31, 02/07, 02/14, 02/21, 02/28
コード 740702
定員 30名
単位数 1
会員価格 受講料 ¥ 23,760
ビジター価格 受講料 ¥ 27,324

目標

・現代の戦争と言論の自由、言論表現の果たす役割を考える。
・ノンフィクションと文学を通じて戦争と人間の真実に迫る。

講義概要

スペイン内戦と第2次世界大戦からベトナム戦争まで、20世紀に起きた世界の戦争をめぐって、戦時下の人間社会と戦争の真実を題材とした作家・ジャーナリストの名著を読み解く。全8回の講座を4つに分けてそれぞれの戦争と時代を概説し、関連するノンフィクションや文学作品をセットにして取り上げる。作家・ジャーナリストは、アーネスト・ヘミングウェイ、ジョージ・オーウェル、サン=テグジュペリ、ジョン・ハーシー、大佛次郎、ドナルド・キーン、開高健、デイビッド・ハルバースタムの計8人。著作を必ずしも読まなくても受講できますが、図書館等で主要な作品に触れることをお勧めします。

各回の講義予定

日程 講座内容
1 01/10 スペイン内戦〜ファシズムとコミュニズム 第2次世界大戦の前哨戦ともいわれるスペイン内戦(1936-1939)は、共和国派をソ連が支持する一方で、保守反乱派をナチスドイツが支援していた。バスク地方のゲルニカに加えられたナチスによる空爆など内戦の真実は、ジャーナリズムだけでなく文芸作品を通じても継承された。第2次大戦とは真逆にフランコ独裁体制が勝利したこの内戦は、戦争をめぐる国際政治の不条理とプロパガンダの虚飾にまみれていた。
2 01/17 ヘミングウェイ、ジョージ・オーウェルの作品から スペイン内戦には多くの作家・ジャーナリストが関わり、その後の世界に影響を与えた。戦場ジャーナリストとしてスペインへ赴いたアーネスト・ヘミングウェイは、共和国派の側から戦争と人間の運命をめぐって実践的に思索を深め、ジャーナリズムの枠を越える作品を発表した。同じく共和国派側で取材したジョージ・オーウェルは、人民戦線に従軍して戦場の現実と不条理に直面し、イデオロギー批判へと転換した。
3 01/24 第2次世界大戦〜大義と人道 第2次世界大戦の本質とは、政治経済と軍事の覇権対立をめぐる世界規模での再編にあった。大戦当初からヒトラーとスターリンにみられた闇取引や、大戦末期のヤルタ会談後の米ソの駆け引きと日本による終戦裏工作まで、大義のプロパガンダの裏には戦争の真実が隠されている。粉飾された戦争の大義に心酔した作家・ジャーナリストがいた半面で、戦争の非人間性に直面してようやく目覚めさせられた者もいた。
4 01/31 サン=テグジュペリ、ジョン・ハーシーの作品から ナチスドイツによる支配からフランスを解放するため、サン=テグジュペリは偵察飛行士を志願した。その任務のかたわら戦争中に書いた作品からは、祖国フランスへの熱烈な思いに駆られるのと同時に、地上をさまよう敵国の避難民と破壊された文明の間で葛藤する姿が浮かぶ。一方、米国人ジャーナリストのジョン・ハーシーは、欧州とアジアの戦線を広く取材して〝ヒロシマ〟へたどりつき、戦争の真実を悟った。
5 02/07 日本の戦時言論統制〜翼賛体制下の作家・ジャーナリスト 太平洋戦争期の日本での言論統制は、戦前からの治安維持法に加え国家総動員法などによって強化された。新聞の統合が行われただけでなく自律取材の制限と検閲に直面し、作家・ジャーナリストは戦争プロパガンダの宣伝員として利用されるようになった。さらに戦場の現実を忠実に描写した作家らに刑事罰を課すなど圧力が強められ、戦時下のジャーナリズムと文壇の大半が言論を放棄し思想統制の強化に従った。
6 02/14 大佛次郎、ドナルド・キーンの手記から 国威発揚一色に染まった戦時下の日本で、大佛次郎のように戦争支持の世論とは距離を置き、戦争の実相を美化せずに淡々と記録する作家もいた。一方でこの時代の文壇には、戦争を虚無的にとらえながら敗戦と屈服への恐怖から〝総玉砕〟の誘惑に駆られる葛藤もあった。米軍の側から戦争を冷静に観察した作家ドナルド・キーンは、戦後に日本研究を深め、こうした作家たちの戦中の苦悩を記録文学から読み解いた。
7 02/21 ベトナム戦争〜熱狂と冷静の間 第2次世界大戦における〝勝利〟とは、事実上、米ソの新たな覇権争いの始まりだった。だが、中ソと対峙する地政学上の要であった南ベトナムへの介入は「共産化を防ぐ民主主義の戦い」と粉飾され、ジャーナリズムが未熟だった大戦期までのプロパガンダを引きずってベトナムの泥沼にはまった。国家と同じで戦勝国の大義から脱せないジャーナリストがいた半面、戦場の真実がリアルに伝えられた戦争でもあった。
8 02/28 開高健、ハルバースタムの作品から 太平洋戦争に敗戦した日本の〝戦中派〟である作家・ジャーナリストの開高健には、ベトナム戦争を命懸けで取材するだけの理由があった。かつて日本が侵略した東南アジアで、米国による〝イデオロギー侵略の大義〟は通用するか——。米軍とベトコンの激戦取材を通じ、開高は戦争の真相に迫ろうとした。米国の戦場特派員デイビッド・ハルバースタムもこの大義を疑い、ジャーナリズムに立ち返って警鐘を鳴らした。

ご受講に際して(持物、注意事項)

◆休講が発生した場合の補講は3月7日(土)を予定しています。
◆Zoomウェビナーを使用したオンライン講座です。
◆お申込みの前に必ず「オンラインでのご受講にあたって」をご確認ください。
◆お申込みいただいた有料講座の動画は、当該講座実施の翌々日(休業日を除く)17:30 までに公開します。インターネット上で 1 週間のご視聴が可能です。視聴方法は、以下をご確認ください。
【会員・法人会員】授業動画の視聴方法(会員・法人会員向け)
【ビジター】授業動画の視聴方法(ビジター向け)

講師紹介

横村 出
ジャーナリスト、作家
1962年生まれ。早稲田大学政経学部政治学科卒・大学院政治学研究科博士前期課程修了(政治学修士)。朝日新聞社入社後、ロシアのサンクトペテルブルク国立大学へ留学し、モスクワ特派員になる。ロシア東欧・中東アフリカなどで戦争や革命を取材した。現在、米ロと関わる国際紛争や安全保障をテーマにするほか、小説を執筆している。著書に、プーチン政権の政治と戦争の闇を記録したルポ『チェチェンの呪縛 — 紛争の淵源を読み解く』(岩波書店)、現代世界を点描した小説『漆黒のピラミッド — 世界をめぐる十の短編』(新潟日報メディアネット)などがある。詳しくは、公式サイト(izuruyokomura.com)をご覧ください。
  • 外国語 コースレベル選択の目安
  • 広報誌「早稲田の杜」
  • オープンカレッジ友の店