ジャンル 日本の歴史と文化
早稲田校
旧石器時代の遺跡と文化
長﨑 潤一(早稲田大学教授)
曜日 | 月曜日 |
---|---|
時間 | 10:40~12:10 |
日程 |
全7回
・09月29日 ~
12月08日 (日程詳細) 09/29, 10/06, 10/20, 11/10, 11/17, 12/01, 12/08 |
コード | 130208 |
定員 | 36名 |
単位数 | 1 |
会員価格 | 受講料 ¥ 20,790 |
ビジター価格 | 受講料 ¥ 23,908 |
目標
・列島の旧石器遺跡について発掘調査の成果に基づいて解説し、旧石器遺跡への理解を深める。
・列島各地に居住していた旧石器人の生活について知る。
・定住しないノマドとして暮らしていた旧石器人類の暮らしを理解することは、人間の本性について知ることになる。人間理解を深める。
講義概要
現代日本人の起源は縄文人でしょうか。そう、違いますよね。日本列島には1万か所以上の旧石器遺跡が見つかっています。そして縄文人は旧石器人の末裔です。この講座では列島の旧石器遺跡を紹介しながら、氷河期の環境下で旧石器人がどんな暮らしをしていたのか、旧石器文化は地域によってどのように異なっていたのかを解説します。豊富な写真や図表を見ながら、旧石器人の独特の暮らしと文化について学びます。定住しない旧石器人の暮らしを理解することで現代社会に生きる我々の中にひそむ「旧石器人の心」について、理解を深めましょう。
各回の講義予定
回 | 日程 | 講座内容 | |
---|---|---|---|
1 | 09/29 | 武蔵野台地最大の旧石器遺跡を知る(小平市鈴木遺跡) | 鈴木遺跡は旧石器時代のほぼ全ての時期に居住されている。旧石器時代の各時期の石器群編成について鈴木遺跡を例に解説する。石神井川の源流部にある鈴木遺跡は黒曜石の出土が多いことでも知られている。国史跡となった鈴木遺跡のさまざまな謎に迫る。 |
2 | 10/06 | 旧石器時代に磨製石斧あり | 世界史では磨製石斧は農耕が開始された新石器時代に特有とされている。しかし日本列島では旧石器時代に刃部を磨いた(研いだ)石斧を使っていた。旧石器時代の磨いた斧は世界的に見ても大変珍しく、日本とオーストラリアだけで見つかる。この刃部磨製石斧について詳述し、日本列島の旧石器文化の特質に迫る。 |
3 | 10/20 | 旧石器時代の暮らしを知る(所沢市砂川遺跡) | 砂川遺跡では出土石器の石材を丹念に分類し、石器を原石別に分類することができた。原石が遺跡内に持ち込まれ、どのように石器が作られ、使われ、捨てられたのか。石材消費という視点でこうした「個体別資料分類」について解説し、それによって明らかにされた旧石器人の遺跡への再回帰、遺跡の連鎖について考えてみたい。 |
4 | 11/10 | 旧石器時代の環状のキャンプを知る(東久留米市川岸遺跡と前半期の巨大環状ブロック群) | 後期旧石器時代前半期、日本列島各地で直径20〜60mの環状のキャンプ跡が見つかっている。環状ブロック群とは何のために、どんな作業の結果遺された遺跡なのだろう。環状ブロック群から前半期における旧石器人の暮らしに迫る。 |
5 | 11/17 | 国分寺崖線の遺跡群をたずねて(多摩欄坂遺跡、武蔵台遺跡、下山・瀬田遺跡) | 武蔵野台地南部にある国分寺崖線は、旧石器遺跡の宝庫である。1970年代以降、日本の旧石器研究を牽引したのが国分寺崖線の遺跡群の調査である。国分寺から世田谷に至るこの国分寺崖線沿いの旧石器遺跡について解説する。 |
6 | 12/01 | 北海道の旧石器遺跡を知る(千歳市柏台1遺跡) | 新千歳空港のすぐ近くにある柏台1遺跡。この遺跡の調査では、分厚い火山灰層(恵庭a火山灰)に覆われて保護された石器群が検出された。保存状態の良好だったこの遺跡では石器集中部に必ず炉があった。柏台1遺跡の調査から旧石器時代の居住地の景観に迫る。 |
7 | 12/08 | 旧石器時代から縄文時代草創期へ(帯広市帯広空港南遺跡、山形県角二山遺跡、新潟県津南町上原E遺跡) | 旧石器時代の終末期には細石刃石器群や尖頭器石器群が盛行する。その各地の変遷過程は一様ではない。北海道から本州北半の遺跡で、複雑な変遷をたどるこの時期の石器群について見る。細石刃石器群、尖頭器石器群、神子柴・長者久保系石器群が交錯する姿について解説する。 |
ご受講に際して(持物、注意事項)
◆2025年度の春学期の「旧石器時代の考古学」とは別講座であり、内容・構成を異にしています。初めて受講しても十分に理解出来る講義を行います。
◆休講が発生した場合の補講日は12/15(月)を予定しています。
講師紹介
- 長﨑 潤一
- 早稲田大学教授
- 1961年岡山県生まれ。早稲田大学大学院出身。専攻分野は旧石器考古学。主な著書は『大論争 日本人の起源』(宝島社新書)、「白滝第30地点遺跡の1957年調査資料について」菊池徹夫編『比較考古学の新地平』(同成社)、「長野県日向林B遺跡の石斧について」『史観』(第164冊)(早稲田大学史学会)、「北海道蘭越町立川1遺跡第4次・5次調査概報」『早稲田大学大学院文学研究科紀要』70。