ジャンル 日本の歴史と文化

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激動の平安時代を知りましょう―桓武天皇から源平の合戦までの「裏話」 『謎の平安前期』『女たちの平安後期』を深堀りします

  • 秋講座

榎村 寛之(いつきのみや歴史体験館館長)

曜日 月曜日
時間 15:30~17:00
日程 全10回 ・09月22日 ~ 12月15日
(日程詳細)
09/22, 09/29, 10/06, 10/20, 10/27, 11/10, 11/17, 12/01, 12/08, 12/15
コード 730203
定員 30名
単位数 2
会員価格 受講料 ¥ 29,700
ビジター価格 受講料 ¥ 34,155

目標

・日本史の中で平安時代の意義を理解する力を身につける
・女性や官人など、大貴族や院(上皇)以外の立場からこの時代を考える力を身につける。
・平安時代を生きた人々の心性に触れ、同じ視点を共有する。
・国際的な視野から平安時代を深く考えていく。

講義概要

平安時代400年とひとくくりにされがちなこの時代を、官人、女性、庶民、武士、僧侶などいろいろな側面から見直し、前期200年、後期200年を動かしていた社会の違い、それに関わった人々の変化、そして後の歴史との関わり方の違いなどを踏まえ、「貴族の時代で、穏やかだけどつまらない」イメージで見られがちな平安時代とは何だったのか、を改めて考えます。

各回の講義予定

日程 講座内容
1 09/22 光仁・桓武・嵯峨天皇の見た夢ー平安時代の「天皇」とは? 奈良時代はなぜ終わったのか、どうして山城への遷都が行われたのか、そして平安京はいつ不動の京になったのか。この経緯を、光仁・桓武を経て、嵯峨が形成した新しい王統の性格、伊勢斎王(斎宮)・賀茂斎王(斎院)から見た「天皇」の位置付けの変化などから追跡していこうと思います。
2 09/29 空海と菅原道真ー貴族でないのに貴族に頭を下げさせる方法 奈良時代後期に伝わった新しい大陸仏教と、その本質をいち早く掴んだ男、空海のやったこと、そして大陸の情報に最も詳しい一族になり、学問の家を築いた菅原氏の代表でありながら遣唐使になることを拒んだ菅原道真。この二人を、九世紀の知識人のあり方、という観点から取り上げます。
3 10/06 女帝から国母へー女性の強さの質が変わってくる時代 九世紀になると女性の天皇がいなくなります。また、本来女官の執務空間だった内裏に男性貴族が入るようになります。しかし一方、内裏に「後宮」ともいうべき空間ができるのは桓武・嵯峨天皇の時代、つまり平安宮からなのです。女帝のみならず皇后もいなくなる九世紀という時代を、正子内親王・藤原明子・藤原高子という女性たちから考えていきましょう。
4 10/20 在原業平と紀貫之ー言葉が足りないなら物語でいかが? 『古今和歌集』は何のために作られたのでしょう。醍醐天皇という変わった天皇と、紀貫之という変わった官人、そして貫之が憧れてやまなかった在原業平、屈折して絡み合うこの複雑な関係が、『伊勢物語』『土佐日記』の成立にも関わってきます。九世紀から十世紀への転換の中で、この二人の不思議な人物について改めて考えてみましょう。
5 10/27 斎宮女御の人生から見る十世紀の社会ー斎王のプライドとは 斎宮女御徽子女王。父方の祖父は醍醐天皇、母方の祖父は摂政関白藤原忠平。伊勢斎王だった十代の頃に天慶の乱に遭遇、帰京の途上「志多羅神の御輿」に接近遭遇。帰京後叔父の村上天皇に入内。後宮の皇族歌人として名を馳せ、伊勢斎王急死事件の後、娘の規子内親王が斎王になると、娘と共に再び伊勢に下るという波乱に満ちた人生から、『伊勢物語』や『源氏物語』とも関連付けつつ、十世紀という転換期を考えます。
6 11/10 藤原道長の権力を支えたものー摂関家、とは?? 「この世をば」の歌で知られる藤原道長、摂関家のリーダーとしてその権力を究極まで高めたと言われます。しかし、彼の権力構造は、兄の道隆、父の兼家、祖父の師輔などとは大きく異なります。そもそも「摂関家らしい政治体制」というものはあったのでしょうか。そこに見られるのは、一代一代形を変えていく、不安定だが融通のきく政治体制、それは天皇と摂関が、女性を介して持ちつ持たれつのバランスで成立する体制でした。源氏やいろいろな藤原氏も視野に入れて、道長の、そして息子の頼通の権力について考えます。
7 11/17 右大将道綱母から赤染衛門へー紫式部と清少納言もいます 女流文学者の時代と言われる平安中期、しかしなぜこの時代だけが目立つのでしょう。女性が自分語りを始め、物語を作り、赤裸々な恋を語り、歴史を書く時代。右大将道綱母は、清少納言は、紫式部は、赤染衛門はどうして「文学者」になったのか、なれたのか、そしてこれらを受けた次世代の菅原孝標女はどうだったのか。歴史的な観点から女性たちの活動を見ていきます。
8 12/01 女院と院政 上東門院、陽明門院、郁芳門院、11世紀の歴史を飾る「女院」たち。女院とはあまり耳に馴染みがある言葉ではありませんが、実は彼女たちは、摂関政治を支え、またそれを弱体化させ、そして白河法皇の専制政治を導いた人々でもあるのです。女院の役割と、院政という得意な政治形態を結びつけて、11世紀社会の変化を見ていきます。
9 12/08 躍動する人々ー新猿楽記と11世紀の語る都会の暮らし 「京」は都会です。そこにはいろいろな人が集まってきます。いろいろな物が売られ、時には盗まれ、そこにいろいろな人が関わってきます。平安中期の京を舞台にある一家を語るパフォーマンスを記録した『新猿楽記』と、長徳二年(996)の犯罪記録、永長の大田楽の記録などからわかる、平安京の名もない人々の生き様について考える時間としたいと思います。
10 12/15 源平合戦と八条院 清和源氏とは何か、桓武平氏とは何か、なぜ彼らは時代を動かす存在になれたのか、河内源氏の源義家、伊勢平氏の平維衡から語り始める、貴族社会の「必要悪」としての武士の存在、そして平家全盛期に京で独自の存在として、源平合戦にも裏で関わっていたのではないかと見られる八条院とは何者か。なぜ源平の合戦で「武士の時代」は「来なかった」のか、という話でこの講義は終わろうと思います。

ご受講に際して(持物、注意事項)

◆8/30(土) 16:00より本講座の無料体験講座を実施します。
◆無料体験講座お申込みはこちらから。https://www1.ex-waseda.jp/online/ 「無料体験講座」をクリックし、「絞り込み」をクリックしてください。
◆休講が発生した場合の補講日は12月22日(月)を予定しております。
◆Zoomウェビナーを使用したオンライン講座です。
◆お申込みの前に必ず「オンラインでのご受講にあたって」をご確認ください。
◆お申込みいただいた有料講座の動画は、当該講座実施の翌々日(休業日を除く)17:30 までに公開します。インターネット上で 1 週間のご視聴が可能です。視聴方法は、以下をご確認ください。
【会員・法人会員】授業動画の視聴方法(会員・法人会員向け)
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講師紹介

榎村 寛之
いつきのみや歴史体験館館長
(三重県立)斎宮歴史博物館で学芸員を35年務めて、本年3月に卒業しました。専攻は日本古代史、特に祭祀研究です。斎宮(いつきのみや、とも)は伊勢神宮に仕えた皇族女性、斎王の宮殿で、飛鳥・奈良・平安・鎌倉時代の660年の間存在しました。斎王や斎宮の資料は、歴史文献、古典文学、和歌、伝承、そして斎宮跡の発掘調査にも広がっています。それらの研究の積み重ねの成果として執筆した、中公新書『謎の平安前期ー桓武天皇から『源氏物語』誕生までの200年』『女たちの平安後期ー紫式部から源平までの200年」が予想外のご好評をいただき、本人が誰より驚いています。
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