ジャンル 日本の歴史と文化

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日本皇族史 古代から近現代に至るまでの天皇一族の変遷

  • 秋講座

赤坂 恒明(元内モンゴル大学教授、早稲田大学中央ユーラシア歴史文化研究所招聘研究員)

曜日 金曜日
時間 10:30~12:00
日程 全10回 ・09月26日 ~ 12月05日
(日程詳細)
09/26, 10/03, 10/10, 10/17, 10/24, 11/07, 11/14, 11/21, 11/28, 12/05
コード 730230
定員 30名
単位数 2
会員価格 受講料 ¥ 29,700
ビジター価格 受講料 ¥ 34,155

目標

・日本の「皇統」に関する基礎知識を把握する
・天皇の周縁・外縁たる皇族・皇胤に関する最新の研究成果を知る
・「先例」としての皇族〜非皇族間の身位移動の具体例を知る

講義概要

令和時代は日本史上、皇位継承権を持つ皇族が最少の時代です。安定的な皇位継承に欠かせない皇族数確保のため、国会では皇室典範をめぐる議論が行われました。その際に、「天皇や皇族と養子縁組をして皇籍に戻った事例は存在しない」との主張がありましたが、その先例はあります。実は、前近代の皇族に関する研究は盛んではなく、研究者にも事実関係が十分に把握されていない場合が少なくありません。本講座では、最新の研究成果を踏まえて、皇統に属する皇族の歴史を、古代から近代に至るまで通史的に明らかにします。特に今般の皇室典範をめぐる国会議論の焦点の一つとなる皇族と非皇族間の身位移動について具体例を取り上げ検討します。

各回の講義予定

日程 講座内容
1 09/26 序:「皇族」とは何か 皇族に関する基礎知識について、皇族の範囲、皇族の身位(皇子・皇女、親王・内親王、王・女王)、出家した入道親王・法親王、「宮」号、研究用語としての「王家」、近現代における皇室制度の変容、「皇統」の概念、その他を確認します。
2 10/03 「大化の改新」以前の皇族 現在に至る「皇統」が確実に遡ることができる最初の「天皇」である継体天皇とその一族、また、詳細な系譜が残されている聖徳太子(厩戸王)の一族、その他を取り上げます。聖徳太子の母が夫(用明天皇)の没後、夫の子(義理の子息)と再婚したという当時の婚姻制度についても注目します。
3 10/10 「大化の改新」〜長岡京期の皇族 国制が整備され、律令制度が確立した奈良時代とその前後の時代は、多くの皇族が非業の死を遂げた時代でもあります。有間皇子、大津皇子、長屋王、道祖(ふなど)王、他戸(おさべ)親王、早良(さわら)親王など、政治抗争に巻き込まれた彼らの悲劇を、彼らに関わる文学作品等にも触れながら概観します。
4 10/17 平安前・中期の皇族 国家体制が「律令国家」から「王朝国家」へ変容すると、皇族自身の権力志向が減退し、政争に巻き込まれて落命する皇族は激減します。また、皇子・皇孫の臣籍降下の盛行により源平両氏が成立し、諸王(皇孫〜皇玄孫)が没落します。この時期、人数が数百名に及んだ皇族の実態を明らかにすることを試みます。
5 10/24 院政期の皇族 平安後期には、皇子の減少と出家により、皇孫以下の諸王も減少します。朝廷儀式で親王・諸王が担うべき所役に事欠く事態が生じ、対処のため王の子孫が代々王号を称する「王氏」が成立しました。また、政治的敗者たる皇子が親王となれない事例が以仁(もちひと)王から始まります。これら皇族制度の変質について説明します。
6 11/07 鎌倉中・後期〜南北朝時代の皇族 院政期に天皇家に蓄積した大規模な所領は、私有財産として皇族にも継承されました。経済的基盤の確立を背景に、皇族の子孫が天皇から世代が離れても皇族の身位を保ち続ける世襲宮家が成立しました。それらの宮家の成立過程や、御醍醐天皇の諸皇子を中心とする、軍事活動を行なった皇族について言及します。
7 11/14 室町中期〜戦国期の皇族 南朝消滅後の世襲宮家には、持明院統の伏見宮・五辻宮、大覚寺統の常盤井宮・木寺宮・土御門宮(柳原宮)、後醍醐天皇後裔の宮家がありました。この時代、彼らの経済的基盤たる庄園の維持が困難となります。庄園を直接支配するため地方に下向する宮家もありましたが、伏見宮家を除き全て断絶しました。乱世における宮家の興亡をたどります。
8 11/21 近世の皇族 織豊期〜江戸時代、八条宮(のち京極宮、桂宮)、高松宮(のち花町宮、有栖川宮)、閑院宮が新たに創設され、伏見宮家と併せ「四親王家」が成立しました。もと鍛冶屋の徒弟であった御落胤の伏見宮貞致親王や、宮家の王子・養子が継承して法親王となることを望んだ浄土真宗准門跡の伊勢一身田(いしんでん)専修寺の門主についても紹介します。
9 11/28 近代の皇族 幕末維新期、法体の男性皇族は悉く還俗し、後の久邇宮、山階宮、後の小松宮、後の北白川宮、華頂宮、後の梨本宮の各宮家が成立しました。明治22年、皇室典範が制定され、永世皇族制の成立、皇族の養子の禁止、臣民出身の后妃の皇族化、臣民と結婚した皇族女性の皇籍離脱など、皇室制度が一新しました。この激変期における「皇統」に属する皇族を取り上げます。
10 12/05 総括:皇族と非皇族 明治40年の皇室典範増補により、王が臣籍降下して華族となることが可能となりました。昭和22年制定の新しい皇室典範では皇統に属する皇太子・皇太孫以外の皇族の皇籍離脱が認められ、同年、皇后以外の伏見宮系の皇族とその配偶者が皇籍を離れました。皇位継承権を持つ皇族が日本史上最少である令和時代には、非皇族男性が皇族となることが既定路線となっております。これらの経緯を踏まえて、皇統における皇族〜非皇族間の身位移動の先例を検討し、総括とします。

ご受講に際して(持物、注意事項)

◆休講が発生した場合の補講日は12月12日(金)を予定しております。
◆Zoomウェビナーを使用したオンライン講座です。
◆お申込みの前に必ず「オンラインでのご受講にあたって」をご確認ください。
◆お申込みいただいた有料講座の動画は、当該講座実施の翌々日(休業日を除く)17:30 までに公開します。インターネット上で 1 週間のご視聴が可能です。視聴方法は、以下をご確認ください。
【会員・法人会員】授業動画の視聴方法(会員・法人会員向け)
【ビジター】授業動画の視聴方法(ビジター向け)

◆参考図書として、一般読者向けの拙著『「王」と呼ばれた皇族 古代・中世皇統の末流』(ISBN 978-4642083690. 吉川弘文館、2020年1月)があります。お読みいただければ理解に役立つものと思われます。また、学術論文集である拙著『前近代傍系皇族・皇胤研究』(ISBN 978-4909868169. 志学社、2025年6月)においても本講座の内容と関係する諸問題が検討されております。

講師紹介

赤坂 恒明
元内モンゴル大学教授、早稲田大学中央ユーラシア歴史文化研究所招聘研究員
千葉県野田市出身。早稲田大学大学院修了、博士(文学)。専攻分野は東洋史学。モンゴル帝国史を中心とする内陸ユーラシア史のほか、日本史の研究業績がある。日本史の著書に、『「王」と呼ばれた皇族』(吉川弘文館、2020年)、『前近代傍系皇族・皇胤研究』(志学社、2025年)がある。http://akasakatsuneaki.c.ooco.jp/

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