ジャンル 文学の心

中野校

『日本書紀』を読む 巻第二十四・皇極紀

  • 冬講座

小林 真美(東京理科大学准教授、古事記学会理事)

曜日 水曜日
時間 13:10~14:40
日程 全5回 ・01月21日 ~ 03月04日
(日程詳細)
01/21, 01/28, 02/18, 02/25, 03/04
コード 340102
定員 36名
単位数 1
会員価格 受講料 ¥ 14,850
ビジター価格 受講料 ¥ 17,077

目標

・本講座では、奈良時代に成立した最古の勅撰史書である『日本書紀』に注目し、主に文学としての観点から記事を読み解きます。
・他の文献との比較や奉斎神社の現状を通して、そこに登場する神・人物に関する理解を深めていきます。

講義概要

今学期は、『日本書紀』巻第二十四・皇極天皇条を中心に読み解きます。はじめに、『日本書紀』巻第二十三・舒明天皇条を中心に、これまでの各天皇条の概要をみます。次に、講読では、記事内容の細部を踏まえつつ、漢籍の利用や、背景にある祭祀・信仰及び習俗、後世にみられる受容などを捉えることに重点を置きます。その上で、『風土記』『万葉集』『藤氏家伝』等にみる関連記事や、海外における類話、さらには現在奉斎する神社をも視野に入れつつ、『日本書紀』の持つ魅力を多角的に考えていきたいと思います。本学期から初めてご受講なさる方も歓迎いたします。初回時に、これまでの概要を解説いたしますので、お気軽にご受講ください。

各回の講義予定

日程 講座内容
1 01/21 『日本書紀』巻第二十三・舒明紀までの各天皇条の概要、巻第二十四・皇極紀(即位前紀)、同紀 系譜及び人となり、舒明天皇の崩御、即位、蘇我蝦夷・入鹿の権勢、百済弔喪使の来朝、阿曇連比羅夫による百済国内の実情報告、百済弔喪使らが語る翹岐追放などの王族内の政争、高句麗使者の来朝及び国王殺害などの政変の報告、高句麗・百済使者に対する饗応、各国への使者派遣、高句麗・百済使者の帰国、新羅の賀騰極使・弔喪使の来朝と帰国、翹岐の拝朝、蘇我蝦夷と翹岐の懇談、依網屯倉の射猟を観覧する翹岐、百済調使の朝貢、翹岐の子の死と喪儀、翹岐らの転居
2 01/28 巻第二十四・皇極紀 大旱魃、天文異変、百済使者・智積への饗応、相撲を観覧する翹岐、蘇我氏に同時に贈られた二羽の白雀、群臣による旱魃対策の失敗、蘇我入鹿による請雨祈願の失敗、天皇による南淵の河上での祈雨の成功、百済使者の帰国に伴う船舶賜与と座礁、百済人質・長福への授位、各国使者の帰国、百済大寺建立の詔、飛鳥板蓋宮造営の詔、蝦夷の帰順、続発する天変地異、朝廷及び蘇我蝦夷による蝦夷の饗応と慰問、新羅の弔喪使・賀騰極使の壱岐停泊、天皇らによる新嘗の儀式、舒明天皇の喪葬の礼挙行と滑谷岡埋葬、小墾田宮遷都
3 02/18 巻第二十四・皇極紀 蘇我蝦夷・入鹿の専横、蘇我蝦夷による葛城の高宮における祖廟の造営と「八佾の舞」、蘇我氏による双墓の造営と遺恨、続く天変地異、難波館らの火災、翹岐の来朝(重出)、飛鳥板蓋宮遷都、高句麗使者の来朝、百済使者の来朝及び調・献上品への不審、茨田池の異変、舒明天皇の押坂陵改葬、吉備島皇祖母命の薨去と殯宮・檀弓岡埋葬、蘇我蝦夷による入鹿への紫冠授与及び大臣の呼称、入鹿の謀議と童謡、入鹿による斑鳩宮襲撃、胆駒山に脱出する山背大兄王ら、捜索を試みる入鹿、山背大兄王一族の斑鳩寺入りと自経、悔やむ蘇我蝦夷、時人による童謡の解釈、百済太子・余豊による三輪山での養蜂
4 02/25 巻第二十四・皇極紀 神祇伯を固辞する中臣鎌子連(鎌足)、鎌子を厚遇する軽皇子(後の孝徳天皇)、法興寺・槻樹の下における中大兄皇子(後の天智天皇)と鎌子の接触、蘇我倉山田麻呂の次女を妃とする中大兄皇子、度重なる予兆と謡歌、蘇我蝦夷と休留の産卵、倭国の芝草をめぐる奏上、大伴馬飼連による連理の百合の花の献上、志紀上郡による三輪山の猿の歌及び解釈の奏上、剣池の双頭蓮を瑞祥とみる蘇我蝦夷、巫覡らによる多くの神託、複数の謡歌
5 03/04 巻第二十四・皇極紀 大生部多による虫(常世神)祭祀の勧奨と都鄙での流行、大生部多を討つ秦河勝、時人の歌、蘇我蝦夷・入鹿のさらなる専横と物々しい防備、猿の嘯く声と時人らの解釈、高句麗学問僧の帰国、高句麗による鞍作得志の毒殺、中大兄皇子による入鹿殺害の謀議、大極殿における蘇我入鹿の誅殺、中大兄皇子の法興寺入り、賊徒の四散、蘇我蝦夷による天皇記・国記・珍宝の焼滅、国記を救う船史恵尺、許可された蘇我蝦夷・入鹿の葬儀、或人による謡歌の解釈、軽皇子への譲位及び中大兄皇子の立太子

ご受講に際して(持物、注意事項)

◆2025年度秋学期講座から継続する内容を取り扱いますが、初回におきまして、これまでの概要も解説いたします。本学期から初めてご受講なさる方も、お気軽にご受講ください。

テキスト

テキスト
坂本太郎ほか校注『日本書紀(四)』(岩波文庫)(ISBN:978-4003000441)

講師紹介

小林 真美
東京理科大学准教授、古事記学会理事
1976年山梨県出身。2006年國學院大學大学院文学研究科日本文学専攻博士課程後期修了。博士(文学)。著書に『『古事記』諸本における受容と展開の研究』(単著・國學院大學大学院)、『日本書紀【歌】全注釈』(分担執筆・笠間書院)、『先代旧事本紀論』(同・花鳥社)等がある。
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