ジャンル 芸術の世界
早稲田校
【対面+オンラインのハイブリッド】生誕200周年記念!めくるめくギュスターヴ・モローの幻想絵画 反レアリスムとしての象徴主義の夢幻郷
平松 洋(美術評論家、フリーキュレーター)
| 曜日 | 水曜日 |
|---|---|
| 時間 | 15:05~16:35 |
| 日程 |
全6回
・01月14日 ~
03月11日 (日程詳細) 01/14, 01/28, 02/04, 02/18, 03/04, 03/11 |
| コード | 140432 |
| 定員 | 30名 |
| 単位数 | 1 |
| 会員価格 | 受講料 ¥ 17,820 |
| ビジター価格 | 受講料 ¥ 20,493 |
目標
・ギュスターヴ・モローの生涯を辿りつつ、彼の作品展開を時系列で把握します。
・19世紀後半の美術の状況を踏まえながら、モロー作品の意義と魅力について理解します。
・独自の構図や場面構成など、極めて独創的な図像表現がどこから誕生したのか究明します。
・レアリスム絵画の潮流に対して、目に見えない世界を描くもう一つの美術史を学びます。
・象徴主義や世紀末美術の先駆となったモローの先進性とその影響について考察します。
講義概要
サロメやスフィンクスなど世紀末を飾った「運命の女」のモティーフから、両性具有的な身体像に、神話画と宗教画が融合したヴィジョンまで、ギュスターヴ・モローの作品は見る者を魅了し、夢想の世界へといざないます。かつてユイスマンスはその小説『さかしま』の中でモローを取り上げ、いかなる画家に源を発するものでもなく、師もいなければ、後継者もいない孤高の隠遁者として語っています。しかし、実際には師と崇める画家もいれば、その後継となる象徴派の潮流をも生み出してきたのです。本講座は栄えある生誕200周年を記念し、画家の人生に即しつつ、そのめくるめく幻想絵画に結晶化した、夢想と着想の造形原理を明らかにしていきます。
各回の講義予定
| 回 | 日程 | 講座内容 | |
|---|---|---|---|
| 1 | 01/14 | 19世紀美術の潮流とモローの修行時代/ドラクロワとシャセリオー、ロマン派からの影響 | 今から200年前、パリに生まれたモローは、裕福で文化的な環境の中で、画家を目指すようになります。ピコのアトリエを経てエコール・デ・ボザールに学んだ彼は、新古典主義のアカデミズムに飽き足らず、ロマン派に心酔します。当時の美術状況とともに、モローの初期作品を紹介します。 |
| 2 | 01/28 | イタリア遊学と研鑽の日々/ルネサンス名画の模写とカルパッチョへの心酔 | 師と仰ぐシャセリオーが亡くなり、モローは、イタリア旅行を思いたちます。約2年間滞在したイタリアでは、ラファエッロやミケランジェロはもちろん、ヴェネツィアでは、カルパッチョに傾倒し、模写に明け暮れます。彼が模写したイタリア美術と後の創作への影響を考察します。 |
| 3 | 02/04 | クールべの眠りを妨げるスフィンクス/スキャンダルのはざまで花開く歴史画の再生 | イタリアからの帰国後も、モローはサロンに出品することなく、地道な努力を重ねていきます。そして、10年近い沈黙を破ってサロンに出展したのが、出世作となった『オイディプスとスフィンクス』でした。マネのスキャンダルやクールベとの対比において、この作品評価の真の意味を考えます。 |
| 4 | 02/18 | 7年間の沈黙とサロメの成功/世紀末のアイコンとしての「運命の女(ファム・ファタール)」 | 50才になったモローは7年ぶりにサロンに復帰し、その際に出品したのが、2点のサロメでした。サロメといえば、男を破滅させる「運命の女(ファム・ファタール)」の典型で、ユイスマンスをはじめ、マラルメやワイルド、ビアズリーといった世紀末の芸術家に決定的な影響を与えていくのです。 |
| 5 | 03/04 | 最晩年の集大成『ユピテルとセメレー』/諸神混淆(サンクレティスム)の絵画世界 | ギリシャ神話とキリスト教はモロー作品の主要な2大源泉でした。しかし、晩年になると、両者を混淆しようとするサンクレティスムの傾向が顕著になります。それは神話の物語性に宗教画の持つ堅固な造形性を与えようとしたかのようで、その典型が『ユピテルとセメレー』だったのです。 |
| 6 | 03/11 | 教育者モローと美術館構想/フォーヴィスムの弟子たちと後世への影響 | 65歳でエコール・デ・ボザールの正教授に就任したモローは、ルオーやマティス、マルケにマンギャンといった後のフォーヴィスムの画家たちを教えています。さらには、自宅を国に寄贈して誕生した美術館を訪ねた後のシュルレアリスト、アンドレ・ブルトンにも影響を与えています。 |
ご受講に際して(持物、注意事項)
◆モローの絵を中心に美術作品を投影しながら読み解いていく講座なので、どなたでも受講可能です。
◆象徴主義をはじめとした世紀末美術から超現実主義まで、幅広い作品を取り上げますが事前知識は必要ありません。
◆美術用語や専門的な術語については、その都度、解説するとともに詳細な資料をご用意いたします。
◆休講が発生した場合の補講は3月11日(水)を予定しています。
◆本講座は対面でもオンラインでも受講できるハイブリッド形式の講座です。 対面・オンラインのご都合のよい形式でご受講いただけます。
◆オンラインは、Zoomのウェビナー形式を使用しています。
◆講師は早稲田校の教室で講義し、その講義がオンラインで同時配信されます。
◆対面で受講するときは、「受講証兼教室案内」に記載された教室へお越しください。「受講証兼教室案内」は開講が確定してから送付されます。
◆オンラインで受講するときは、マイページからご受講ください。
◆オンラインでの受講を予定している方は、お申込みの前に必ず「オンラインでのご受講にあたって」をご確認ください。
◆お申込みいただいた有料講座の動画は、当該講座実施の翌々日(休業日を除く)17:30 までに公開します。インターネット上で 1 週間のご視聴が可能です。視聴方法は、以下をご確認ください。
【会員・法人会員】授業動画の視聴方法(会員・法人会員向け)
【ビジター】授業動画の視聴方法(ビジター向け)
備考
※講師都合により1/7は休講となります。補講は3/11となります。
講師紹介
- 平松 洋
- 美術評論家、フリーキュレーター
- 1962年岡山生まれ。企業美術館学芸員として数多くの展覧会を手がける。その後フリーランスとなり、国際展や企画展のチーフ・キュレーターとして活躍。現在は、主に執筆活動を行い、美術書を刊行。『西洋絵画入門! いわくつきの美女たち』『ギュスターヴ・モローの世界』『名画の謎を解き明かす アトリビュート・シンボル図鑑』『誘う絵』『クリムト 官能の世界へ』『〈名画〉絶世の美女シリーズ』他、海外3カ国地域での翻訳出版を含めると著作は50冊を超える。




